空港あたりでよく見かけるジャンボタクシーやワンボックスカーを使用した幼稚園バスであれば普通免許で乗れそうな気がするものだが、一概にそうとは言えないのが運転免許のややこしいところ。バスなのか乗用車なのか?運転免許証を見つめながら乗れる自動車を再認識してみよう。

文:古川智規(バスマガジン編集部) 写真:東出真
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■観光バスはダメでもポンチョなら?

小型バスは小型でも中型免許?

 路線バスや高速バス、観光バスで使用される大型バスはもちろん、大型免許が必要だ。有償で旅客を運ばないのであれば、あるいは回送であれば二種免許は必要ないので大型一種免許で運転できる。

 バスのカテゴリーでは中型バスと総称されるものでも運転免許は大型が必要だ。コミュニティバスのスタンダードでバスのくくりでは小型バスと称される日野ポンチョはマイクロバス程度の大きさだが、これは微妙なバスだ。

 中型免許で運転できるのは乗車定員が29人以下だ。ポンチョに30人は乗れないだろうと思いきや、ほとんどの車種は立席が可能なので30人を超えるのだ。扉が1枚のショートボディには定員29人以下の仕様があるのでショートだけは中型免許で運転が可能だ。

 なお、構造変更等で定員を10人以下に改造した特殊用途車やキャンピングカーの場合はこの限りではないが、本稿では言及しない。

■マイクロバスは中型免許必須

大型バスはダメでもマイクロバスなら?

 マイクロバスは概ね乗車定員が29名以下になっているので中型免許で運転できる。ただし昔の普通免許で現在、中型8トン限定になっている方はダメだ。限定のない中型免許が必要なので、マイクロバスを運転したい8トン限定免許をお持ちの方は試験場で限定解除審査または教習所で審査教習を受けて合格しなければならない。

 要するに荷物を運ぶトラックに関しては普通、準中型、中型、大型と車両総重量や最大積載重量で免許が細かく分かれているが、人を運ぶには一種か二種かを問わず普通から中型8トン限定までは同じで乗車定員10人以下だ。

 限定のない中型免許で初めて乗車定員が11人以上29人以下になるのでマイクロバスが運転できる。それ以上、すなわち乗車定員30人以上は大型免許がなければ運転することはできない。

■ジャンボタクシーは普通免許でOK?

ハイエースは定員10人以下なので普通免許でOK(有償旅客輸送には普通二種)

 空港で見かけるジャンボタクシーや小型の幼稚園バスなどは、トヨタのハイエースを使用しているケースが多い。ジャンボタクシーという用語の定義が決まっていないためややこしいのだが、ワンボックスタイプのワゴンタクシーと思えばよい。

 ハイエースだから普通免許でOkでしょう?と思ってもそうはいかない車種がある。若干全長が長いハイエースコミューターという車種の場合だ。地方のコミュニティバスでもポンチョほどの需要がない路線では使用例が多い。

■ハイエースコミューターは中型以上!

ハイエースコミューターは限定のない中型免許が必要

 ハイエースコミューターは乗車定員が14人なので、残念ながら普通免許では運転できない。限定なしの中型以上が必要だ。要するにマイクロバスと同じ扱いということになる。

 なお、ハイエースコミューターの幼稚園バス(幼児バス)は、定員が22人だがおとな4人と幼児18人という計算だ。学科教習で習ったように幼児は3人で大人2人計算なので、大人換算での乗車定員は16人である。

■間違えたら無免許?

ポンチョでもショートなら中型でOkな場合も?

 例えば中型8トン限定免許の方がマイクロバスを運転してしまった場合、法令を厳密に解釈すると免許条件違反だが、現認した警察官によっては無免許で検挙する例も実際にある。もちろん定員30人以上の大型バスを運転した場合は無免許運転だ。

 普通免許や準中型免許(5トン限定を含む)の方が中型免許が必要なハイエースコミューターを運転した場合も無免許運転だ。行政処分は違反点数25点、持っている免許は原付はもちろんすべて失う。さらに最低2年間の欠格期間があるため、向こう数年間は原付はもちろんすべての免許の取得ができない。

 刑事罰は3年以下の懲役または50万円以下の罰金で、反則通告制度は適用されないため必ず刑事事件として扱われ処理される。

 検察官が起訴して裁判所の判決(略式手続きに同意すれば略式命令)により有罪であれば刑事罰が課せられる。(制度上は判決で刑の全部または一部について執行を猶予することはできる)免許の種類を確認して、くれぐれも勘違いやうっかりでバスやハイエースコミューターを無免許運転することだけはやめよう。

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