カーボンニュートラルに挑むトヨタ、スバル、マツダの3社。すでにスーパー耐久シリーズなどでクルマを鍛え上げている3社だが、実際の市販車の開発状況について共同ワークショップで明らかにした。トヨタは新型直4、スバルは水平対向エンジン、そしてマツダはロータリーエンジンを残す決意を明らかにした。これって本当にワクワクするぞ!!
文/写真:ベストカーWeb編集長 塩川雅人
■名機3Sも説明に出し新型直4を押し出すトヨタ
「エンジンリボーン」というスライドからスタートしたマルチパスウェイワークショップ。マルチパスウェイとはトヨタが進めてきた戦略だが、BEVだけではなく、ユーザーの置かれた状況にあったクルマを提供していこうというもの。
あくまでも「敵は炭素」という大きな共通認識のもと進められており、そこにはハイブリット、PHEV、FCEV、そしてBEVなど多岐にわたる選択肢を用意するのが顧客の幸せに繋がるというコンセプト。だからこそ内燃機関にも本気を出そうというのがトヨタのスタンスだ。
そこにスバルとマツダも共調し、新しいエンジン開発を進めていることが明らかになった。
トヨタの佐藤恒治社長は小排気量の直列4気筒エンジンの開発を明言。コンセプトとしては「電気リッチなHEV・PHEV」。電気ユニットに内燃機関を乗せるというもので、あくまでも主役は電動化。そこに生かせる直列4気筒エンジンがトヨタのキモだ。会見ではかつての名機3Sを投影する描写もあり、非常にワクワクドキドキする内容となった。
■スバルは水平対向+AWDで炭素に挑む
続いてスバルの大崎篤社長のプレゼンテーションがスタート。自動車メディアにとってもスバルは「職人気質」な印象が強いが、ややもすると「頑固」な一面もあり、そこがまたスバルらしさでホッコリするところだし魅力のひとつだ。
しかしスバルのアイデンティティを担ってきた水平対向エンジンはカーボンニュートラルなど、環境性能については足かせになっている印象もある。スバルはいったいなにをしていくのだろう、そう思うユーザーが多いのも事実だ。
しかし大崎社長の答えは実に明確だった。「SUBARUのシンボルを未来につなぐ」。つまり水平対向エンジンとAWDを残すことをハッキリと明言。もちろんより電動化に適応させた水平対向エンジンの開発などが明らかになり、スバルらしさは維持される。
やっぱりスバルはそうじゃなきゃ!!!
■マツダはロータリー存続を明言
最後はマツダの毛籠勝弘社長。プレゼンでいきなりロータリーエンジンの画像を出した。スバルが水平対向エンジンならマツダはロータリー。ああ、1990年代のあの頃のような技術的な対抗心をメラメラしている、メーカー間の真剣度が伝わってくる。FDか、GC8か……。
共通の敵は炭素だが、やはり各社ともに自分の持っているアイデンティティと技術を後世に残すことに誇りを持っている。
またロータリーエンジンは小型、軽量で実は電動化との相性もいい。パッケージングがよくデザイン面や実用面での自由度が高い。しかしながらロータリーエンジンならではの燃費的なネガが消えてはいない。
この点についても毛籠社長は「ロータリーエンジンの課題を克服していく」と発言し、新たなロータリーエンジンの登場もあるはずだ。
質疑応答でトヨタの佐藤社長は「仲良くケンカしよう」という言葉を出し、決して仲良しクラブになるつもりはないという。マルチパスウェイはあくまでもユーザーの選択肢を増やすことが目的。それであれば手をつなぐことはガッチリつなぎ、ライバルとして競うべきところは競うという。
もっと楽しい、エモーショナルな3社のよさを生かした電動車を待っていますよ!!
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