価格が手頃ということもあり、どうしても安っぽいイメージが先行するコンパクトカー。でも、周りの人から“安そうなクルマ”と思われたくないのは誰でも同じ。ということで、ここでは見栄えがいい4台を厳選してみた。
文:FK/写真:トヨタ、スズキ
■装備の充実度はもはや当然! デザイン性の高さも魅力でしかないトヨタのシエンタ
安心して扱えるコンパクトなボディサイズに広い室内空間と7人乗車の利便性をプラスしたミニバンとして登場した初代のコンセプトを受け継ぎつつ、大きな進化を遂げて2022年8月に発売された3代目の現行シエンタ。
先行予約の段階では約3週間で2万台を超える受注を記録したが、ヒットの要因のひとつとして挙げられるのは扱いやすい5ナンバーサイズはそのままに2列目シートの居住性を向上させた使い勝手のよさに加え、欧州車テイストあふれる洗練されたエクステリアデザインにある。
コーナー部を丸くしてコンパクトに見せることで取り回しのよさにもつながるシカクマルシルエットは、気兼ねなく使えるツールとしての機能を表現した大きなサイドプロテクションモールや日常に溶け込むボディカラーとも相まってセンスのよさを感じさせる仕上がりを見せる。
また、安全・安心で快適・便利な先進装備がより充実した3代目は最新の予防安全パッケージであるトヨタセーフティセンスを全車に標準装備し、対応する事故形態をいっそう拡大して安心なドライブをサポートしてくれることもうれしいポイントだ。
加えて、ハイブリッド車とガソリンエンジン車の両モデルに採用されている1.5Lのダイナミックフォースエンジン(M15A-FXE)はいずれもクラストップレベルの燃費性能を実現しているが、なかでもハイブリッド車はWLTCモード走行燃費28.8km/Lを達成しており、お財布にやさしいところもグッド。
すべてのグレードで7人乗りと5人乗りが選べて、なおかつ広い室内空間と取り回しのよさも魅力のシエンタ。そんなクルマが195万円から310万8000円の範囲で買えるのだから、人気が出るのも納得といわざるを得ない。
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■ジムニー買うならバーフェン装備でグッドルッキンなスズキジムニーシエラを選ぶべし
今も納車1年以上待ちといわれているジムニー。維持費が安い軽自動車の本格クロカンモデルなだけに人気が出るのも当然だが、どうせ買うならエンジンの排気量が大きいジムニーシエラのほうがいいという人も決して少なくないはずだ。
0.8Lのジムニー8(1977年発売)を原点とするパワフルなエンジンとワイドなボディを採用したジムニーシエラがデビューしたのは1993年5月。骨太のフロントグリルガードと大型フォグランプが圧倒的な存在感を放った初代モデルは本格ミディアム4×4の名のもと、RVシーンに新たなジャンルを生み出した。
そんなジムニーシエラの現行モデルは、半世紀に及ぶこだわりと技術を継承しつつ本格的な四輪駆動車としての性能をさらに進化させて2018年7月に登場。
新開発のラダーフレームにFRレイアウト、副変速機付パートタイム4WDに3リンクリジッドアクスル式サスペンション、さらには丸型ヘッドランプ、5スロットグリルなどはジムニー伝統の車体構成をしっかりと継承。
一方、エンジンは新たに開発したK15B型の採用で動力性能と信頼性を高め、高い脱出性能を実現するべく新たに採用されたブレーキLSDトラクションコントロールで走破性もいっそう高められている。
また、スクエア形状が印象的なボディは取り回しのよさと高速走行時の安定性を実現するべく、先代モデルから全長を50mm短くするとともに全幅を45mm拡大。
加えて、面の剛性を高める造形、降雪時に雪がたまりにくい凹凸が少なさ、走破性・積載性を高める細部の工夫など、機能に徹したこだわりの造形も特徴となっている。
車両本体価格はジムニーが165万4400~200万2000円なのに対して、ジムニー シエラは196万2400~218万3500円と大差なし。だったら、ジムニーを買うんだったら見栄えがいいオーバーフェンダーを装備するシエラがいいんじゃない?
■トヨタヤリスクロスは走りも外装も内装もクラスを超越する仕上がりのよさが自慢
トヨタのドル箱モデルとして老若男女を問わず高い支持を誇るヤリス。その“軽快な走り”、“先進の安全・安心技術”、“低燃費”を継承しつつ、これからの時代に求められるコンパクトSUVの新たな価値を追求するべく開発されたのがヤリスクロスだ。
ヤリスというとトヨタのラインナップのなかでも安価で購入できるコンパクトカーというイメージがあるかもしれないが、ことヤリスクロスにいたってはSUVならではの力強さや存在感を表現した洗練されたプロポーションや、ユーティリティ性にこだわり抜いた室内空間とゆとりあふれる荷室空間によってコンパクトSUVであることを忘れさせるほどの車格を誇る。
走りのほうも手抜きはなく、コンパクトカー向けTNGAプラットフォームを採用して軽量・高剛性・低重心なボディを追求するとともに、サスペンションの一新によって軽快なハンドリングと上質な乗り心地を両立。
また、さまざまな路面状況に対応できる4WDシステムも特筆点でガソリン車ではオフロードや滑りやすい路面における走破性の向上に寄与する、路面状況に応じた走行支援を3つのモードから選択可能なマルチテレインセレクトも採用されているほどだ。
いっぽう、ハイブリッド車も雪道などで威力を発揮するE-Four(電気式4WDシステム)をトヨタのコンパクトSUVで初設定するなど機能が充実。
2024年1月には最新のディスプレイオーディオを搭載してコネクティッドナビを5年間標準付帯にしたり、メーター部に7.0インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイを標準装備するなどの一部改良を実施。
安っぽさを微塵も感じさせない作り込みと走りに加えて、車両本体価格も190万7000~315万6000円と比較的リーズナブル。加えて人気のSUVとくれば、売れて当然!
■総合力の高さで人気沸騰中のスズキスイフトはコスパも最高!
歴代モデルで培ってきたデザインのよさや走行性能の高さをいっそう高めつつ、安全装備や利便性の高い装備を充実するフルモデルチェンジで人気を集めている新型のスイフト。172万7000~233万2000円という手頃な車両本体価格でありながら、総合的にレベルの高い仕上がりで“安く見えない”ことも大きな魅力となっている。
ひと目見たら印象に残るデザインを目指して開発されたエクステリアはクルマ全体を包み込むようなラウンド形状が先進的なイメージを与えながら、バックドアサイドスポイラーの採用やフロントストレイク・フロントバンパー・ホイール形状などを最適化して先代モデルに比べて空気抵抗を約4.6%低減。
また、高張力鋼板使用範囲の拡大や構造用接着剤の採用で剛性を高めたボディは優れた操安性や乗り心地を提供。加えて、バッフル材の追加やボディ結合部へ減衰接着材の塗布などによって静粛性も高められている。
走りの面でも先代から大きな進化を果たした新型スイフト。
コーナリング時の操縦安定性を向上するべくスタビライザーの仕様変更し、リアサスペンションもストローク量を増やして路面の凹凸などによる大きな衝撃を緩和することで高い乗り心地を実現。
ブレーキも歴代モデルの特徴だったスポーティな特性を踏襲しつつ、ブレーキ利きはじめのピーキーさを解消してストップ&ゴーを繰り返す街中での扱いやすさにも配慮するなど、走りの質の高さも見逃せないポイントとなっている。
高い燃費性能を実現した新開発のエンジンも低速から滑らかに発生するトルクによって街乗り走行での軽快感をもたらし、軽量化した新開発のCVTとの組み合わせでさらなる燃費性能の向上と静粛性を両立。しかも安全装備も充実している……となれば、まさに鬼に金棒ともいうべきコンパクトカーといえる。
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