午後4時のマツダを皮切りに、5時からトヨタ自動車、そして6時からはホンダと、まるでモビリティショー(旧東京モータショー)などのプレスブリーフィングの時のような会場を駆け回るほどの慌ただしさの中で行われた「型式指定」の不適切事案に伴う緊急記者会見。
出席したトヨタの豊田章男会長をはじめ、マツダの毛籠勝弘社長、ホンダの三部敏宏社長らが、それぞれに「心よりおわび申し上げる」と、頭を下げて謝罪した。
きょうの各紙も、朝日と東京を除いて読売、毎日、産経、日経が1面トップで「認証不正 トヨタなど5社、38車種一部出荷停止、マツダ・ヤマハ発・ホンダ・スズキも」などと大きくも報じたほか、関連記事を総合面や経済面などに詳しく取り上げている。
その関連記事では「車不正拡大 信頼揺らぐ」(読売)や「認証制度、根幹揺らぐ」(産経)、「揺らぐ日本車不正多発」(東京)、さらに「不正、日本車の信頼に傷」(日経)などと、日本企業の一番のウリでもあったはずの「安全・安心」という信頼を揺るがしかねない不正行為だと指摘。さらに「今回の不正で各社の生産停止が長引いたり、認証制度の信頼性の低下が、消費者の新車購入意欲の減退につながったりすることがあれば景気に打撃となる恐れもある」(産経)とも伝えている。
一方で、 国交省は、スズキとヤマハ発動機を含めた5社から「申請に不正はあったものの、国の安全・環境基準自体は満たしている」と報告を受けたとしている。各社が会見でも「定められた認証基準のルールよりも高いレベルで安全性をより厳しい条件で試験をしてきた」などと「悪質性はない」ことを強調。
豊田会長も「この会見の場では言うべきではない」と何度も前置きしながらも、国が定めた認証制度のあり方について「現場の認識とギャップがあり、これをきっかけに、国と自動車メーカーがすりあわせをして、制度をどうするのかという議論になれればいい」と述べた。
振り返れば、豊田氏が日本自動車工業会の会長の時にも日野自動車などの不正行為が発覚しても「個社の問題」として言及を避けていたが、「型式指定」を “形式指定”に書き直したほうがよさそうな現行制度の見直し議論についても、棚上げせずに持ち前のリーダーシップを発揮して素早く着手していればよかったと悔やみきれないのではないだろうか。
2024年6月4日付
●「型式」5社38車種不正、トヨタなど6車種出荷停止、国交省、立ち入りへ (読売・1・2・27面)
●今国会の解散見送り、首相最終調整、支持率低迷で判断、9月の再選戦略に影響 (朝日・1面)
●豊田会長「ブルータスお前もか」トヨタ、認証プロセスに疑問も (朝日・7面)
●不正横行 車業界全体に、国際競争激化背景、日本経済に悪影響(毎日・3面)
●ライドシェア「規制緩和を」米ウーバーCEO参入に(毎日・6面)
●5月の新車販売台数4.4%減 (産経・10面)
●ドコモ「空飛ぶ基地局」始動、26年商用化へエアバス系に出資(日経・13面)
●ベア「満額以上」6割に、日鉄やスズキ、会社主導で (日経・15面)
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