「ブルータス、お前もか?」というよりも、そのあとの「もはやシーザーもここまでか!」というセリフのほうが、ぴったりするような続報ばかりが際立つ。
◆5社に立入検査、行政処分へ
トヨタ自動車をはじめ、マツダ、ヤマハ発動機、ホンダ、スズキの5社が、量産に必要な認証の「型式指定」をめぐる不正行為を、足並みそろえて公表してから一夜が明けたが、間髪入れず、国土交通省が、トヨタ本社に対し、道路運送車両法に基づく立ち入り検査を開始した。トヨタ以外の4社も6月中に立ち入り、行政処分を検討するという。
きょうの各紙をみると、読売が1面の準トップで「トヨタ本社に立ち入り、他4社も月内検査」との大見出しで「型式指定の不正でトヨタ本社が立ち入りを受けるのは初めて」としながら「国交省は、品質管理や認証試験などの担当幹部らへの聞き取り調査や関係書類の確認に加え、未報告の不正の有無も併せてチェック。5社の中で最初の検査対象とした理由については『車種や試験項目の数などから最も影響が大きい』」などと報じている。
◆調査は継続中
その読売は、1面のほか、総合面には「認証独自に解釈、制度見直し求める声も」のタイトルで、「一部では制度の形骸化を指摘する見方もあるが、自動車大国としての信頼が揺らぎかねない事態となり、経済への影響も懸念される」。
また、朝日も経済面に「車両認証不正、影響どこまで、納車直前説明なく」として「生産や販売への影響が懸念される中、一部の企業ではなお調査が続いており、問題が広がる恐れもある」。さらに、社会面には「お客様目線 どこに」との見出しで「日本の屋台骨を支えてきた自動車産業で相次ぐ不正に、ユーザーたちからは戸惑いの声が上がった」とも伝えている。
不正公表まで出荷・生産していた『ヤリスクロス』、『カローラフィールダー』、『カローラアクシオ』の3車種については「少なくとも6月末まで生産を停止する」(東京)という。
◆社説は5紙が「車の認証不正」
きょうの社説のテーマにも、毎日を除く5紙が一斉に「車の認証不正」を取り上げている。その見出しをみると、読売が「法令軽視なぜ繰り返される」、朝日が「法令逸脱謙虚に反省を」、産経が「品質の信頼貶める行為だ」としているほか、東京は「『トヨタまで』の深刻さ」、そして、日経が「自動車メーカーは過信を捨て再出発を」などと、各紙ともほぼ同じような論調だ。
このうち、朝日はトヨタの豊田会長の「認証制度と現場の実情に『ギャップがあると思う』と語り、制度のプロセスに疑問を呈した」ことに言及。「必要な見直しの議論は進めるべきだが、現行ルールを守らない理由にはならない」。東京も「ルールを順守した上でなければルールを変える議論は成り立たない。真摯な反省と不正の原因究明が最優先だ」と指摘する。お説ごもっとも、でもあり、かえって火に油を注いでしまったようだ。
2024年6月5日付
●認証不正、トヨタ本社に立ち入り、国交省、他4社も月内検査(読売・1面)
●社説、車の認証不正、法令軽視はなぜ繰り返される(読売・3面)
●6並ぶ日、記念乗車券、京王電鉄(読売・24面)
●車両認証不正影響どこまで、生産・販売現場取引先にも波及か、続く調査出荷停止広がる可能性(朝日・7面)
●「社会の信頼失う行為」同友会・新浪代表幹事(東京・2面)
●トヨタ月末まで生産停止、不正3車種(東京・2面)
●高速料金25年度から変動制、「骨太方針」原案、中小の価格転嫁も推進(東京・6面)
●水素活用へ1500億円基金、トヨタなど企業連合(日経・1面)
●自賠責保険計算見直し、金融庁、経費の新基準検討(日経・8面)
●インド、EV・半導体に重点、経済的自立へ脱中国依存(日経・11面)
●ホンダ、阪大と新研究所「接合技術」でコスト削減(日経・15面)
●自動車保険、再開目指す、ウィーカーズ・田中社長、年内にも ほけんの窓口と連携(日経・15面)
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