トムスが主催する「トムスフォーミュラーカレッジ」。実際にフォーミュラマシンを自分の手でドライブできるのが魅力なのだが、今回メディア体験会に参加してその魅惑の世界の一端を垣間見ることができた。いや、こりゃスゴい体験だ!!

文、写真:ベストカーWeb編集部・渡邊龍生

■気軽にフォーミュラマシンを体験できるコースから始まる!

FIA-F4マシンに実際に試乗することができる

「トムスフォーミュラーカレッジ」とは、4種類のカレッジから構成されているトムスのフォーミュラマシン体験講座。

 初心者向けの「エクスペリエンス・コース」、トムス独自の評価基準でドラテクを向上し、本コース走行に向けたカリキュラムが組まれた「アドバンス・コース」、富士スピードウェイの本コースを実走行し、コース占有走行やスポーツ走行でトッププロドライバーによるレッスンなど希望に応じたカスタムが可能な「プラクティス・コース」、フォーミュラレースに参戦&フォーミュラカーを所有して自由に走りたいといった本格的な活動をサポートする「エキスパート・コース」の4種類が設定されている。

 今回、私が体験したのはもちろん、初心者向けのエクスペリエンス・コース。FIA規定のF4用フォーミュラマシンを使用し、実際にフォーミュラの走りを体感できるプログラムで、マシンへの乗り込み方に始まり、エンジン始動や各部の操作などを丁寧にトムスのスタッフからサポートしてもらえる。

走行したのは富士スピードウェイのP2駐車場特設コース

 プログラムの走行は富士スピードウェイのP2駐車場を使用し、パイロンを使った特設コースでフォーミュラマシンの走りを体験できる。このプログラムで走りや操作を学ぶことにより、富士スピードウェイのショートコースや本コースでの試乗も可能になる。

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■FIA-F4マシンとは?

フォーミュラマシンに乗れるとは……感激の体験だ

 当日、私が試乗したフォーミュラカーはFIA-F4マシンで、シャシーとエンジンはワンメイク。シャシーは童夢が開発した「童夢F110」、エンジンはトムスが手がける「TZR42」となっている。

 そのボディサイズは全長4340×全幅1738×全高950mm、ホイールベース2750mm。車重は610kgと軽量で、エンジンのトムスTZR42は直4の2LDOHC(最高出力160ps)。ギアボックスはTODA RACING製6速パドルシフト、シャシーはカーボンモノコック/フロントおよびサイドアンチイントリュージョンパネル。

F4のコックピットはこのような感じ。当たり前だが非常にタイトだ

 こちらのプログラムの参加資格は身長150~185cm、体重85kg以下で普通自動車免許(AT限定は不可)所持など。ヘルメットとグローブは持参できない場合、レンタルもありで、当日は運転免許と緊急用に健康保険証、長袖&長ズボン、底が薄い細身のスニーカー推奨となっている。

■座学でコース説明とマシンの操作方法を学ぶ

座学で走行コースについての説明を受ける

 まずはフォーミュラマシンへの乗り込み方と操作方法のレクチャーからスタート。エンジンのかけ方はステアリング左側のイグニッションスイッチを上げ、メーター左上のN(ニュートラル)を確認したらブレーキを踏みながらエンジンスタートボタンを押すというもの。この際にクラッチペダルは踏まない。

 シフトアップは右側パドル、シフトダウンは左側パドル。狭いフォーミュラマシンなのでペダル間の隙間は超タイトだが、右からアクセルペダル、ブレーキペダル、クラッチペダル、そして小ぶりなフットレストがあるのはふつうのMT車と変わらない。

右からアクセルペダル、ブレーキペダル、クラッチペダル、そして小ぶりなフットレストという配置

 ちなみにクラッチペダルを踏むのはスタートの発進時とストップ時のみ。特に難しいのが発進時のクラッチペダルの離し方で、ゆっくりつなぎながらスタートする。トムススタッフによれば、レースなどを走ったことのないふつうのユーザーでスタート時にエンストしない人はけっこう珍しいのだとか。まあ、それだけクラッチのミートポイントが狭いということなのだろう。

 続いてP2特設コースの走行内容について説明。まずは先導するトムスのGRスープラに続いて2週は1速のみで慣熟走行。その後、1台ずつの単独フリー走行に入る。当日は実際にトムスから参戦しているレーシングドライバーの古谷悠河選手からの無線によるレクチャーが入った。

■いよいよフォーミュラマシンを試乗!

いよいよコースを走行。写真は最後のストレート部分

 前置きが思い切り長くなったのだが、いよいよフォーミュラマシンの試乗に。ヘルメットとドライビンググローブをつけてトムススタッフのサポートでシートに収まり、シートベルトを装着してもらう。う~ん、さすがに狭い、狭いぞ。

「いきなりエンストしてしまったらどうしよう」とドギマギしながらイグニッションスイッチを上げてエンジンスタート。そこからスタッフのレクチャーどおり、踏んでいたクラッチペダルを離しながらスタートさせるのだけど、ペダルがなんせ市販車よりも圧倒的に重いのだ。

 ヒイコラ言いながら、どうにかクラッチミートを成功させ、フォーミュラマシンをスタートさせた。最初の1週目と2週目は先導するGRスープラの尻を追いかけながらまずはコースを頭のなかに叩き込む。

 最初の1~2週目のラップタイムは59秒台と56秒台。我ながら遅い、遅すぎる。で、5週目くらいから徐々に挙動などをつかんできたこともあり、ラップタイムは40秒台後半から37秒台までアップ。

自分のラップタイムがデータロガーで計測されている

 結果的にはベストラップは全17周中12週目の35秒79となった。私の次に走行したメディア関係者のほぼ1秒落ちのタイムだけど、とりあえずスピンしなくてよかった(ホッ)。

 それにしてもフォーミュラマシンは違う! カートとはまた違った感覚のスピード感ですべてが低く、圧倒的な臨場感なのだ。あとは響き渡る2LDOHCのエンジンサウンドが何ともエキサイティング! 

 特設コース最後のヘアピンカーブは右に左にハンドルを切りながらストレートに向かうのだが、このドライビング感覚はハコ車とはまさに別モノ。いやはや、非常に貴重で楽しい体験をさせてもらった。

走行終了後に古谷選手(左)から修了証をいただく

 終了後に講師の古谷選手から「修了証」をいただく。ゴールド、シルバー、ブロンズとレベルごとの修了証なのだが、もちろん私はブロンズ。それでも無事に終えたことが嬉しいのだ。

 この日のエクスペリエンス・コースの参加費用はひとり8万8000円(富士スピードウェイの入場料と消費税込みで、会場までの交通費や宿泊費は別)。でも、憧れのフォーミュラマシンをドライブできる価値は充分にあると思った。

フォーミュラマシンに試乗できるのはサイコーだ!

 ちなみにひとつ上の「アドバンス・コース」の参加費用は27万5000円で、各30分の走行を3回体験できるのだ。

※詳細については「トムス フォーミュラ カレッジ事務局」(TEL03-3704-1887)formulapj@tomsracing.jp

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