毎年5月に支払う自動車税種別割を筆頭にガソリン税、重量税、消費税、中には税という名前を変え、いかにも割引のようにして徴収されている環境性能割(旧自動車取得税)なども出てくる有り様だ。そこで我々ユーザーは、税の知識をしっかりと身につけておくのが大切だ。

文:佐々木 亘/写真:日産

■税率23%ってマジ? ぜいたく品だった自動車

今では主流の3ナンバーも30年前は23%もの税金がかかっていた

 自動車と消費税を考えるうえで、まず押さえておきたいのが物品税の存在だ。1940年に恒久法として制定された物品税は、自動車にも大きく影響を及ぼしている。

 高級高額な自動車も、物品税の対象から漏れることなく、1988年当時、3ナンバーの普通乗用車に課されていたのが23%、5ナンバーの小型自動車が18.5%、軽自動車が15.5%と、現在の消費税とは比べ物にならないくらいの高い税率がかけられた。

 なお、トラックやバス、軽ボンネットバン(商用車)については、生活の中で必要なモノという位置づけから、物品税は非課税となっている。

 そして1989年に登場したのが、お馴染みの消費税だ。自動車に対する物品税は廃止され、物品税と比べると大幅に税率の低い消費税は、自動車市場を活性化させる起爆剤となっていく。

■消費税導入時って3%じゃなかったっけ?

 今や当たり前にある税金の消費税。1989年4月に3%で導入され、1997年には5%、2014年には8%となり、2019年には現在の10%(軽減税率適用で8%)になった。

 100円のモノを買って103円払わなければならないことでさえ、消費税導入当時は違和感であり、猛反発を受けたのだが、時代の経過とともに慣れてしまったのか、110円を支払うことに、抵抗がなくなってきている。

 この消費税、一般的な物品に対しては、はじめ3%の税率だったわけだが、クルマは税率が異なった。1989年4月から1997年3月まで、自動車の消費税率は6%だったのである。一般商品の倍の税率に設定されていた自動車は、当時の意識の中でも、まだぜいたく品だったのだろうか。

 さらに複雑なのは、クルマに関係するモノの種類で、かかる税率が違うということだ。

 平成3年8月に発行された、エスティマの価格表を見ていくとしよう。車両本体には、もちろん6%の消費税がかかる。しかし、付属品や代行手数料にかけられる税率は3%だった。

 ただし、付属品の中でもエアコン・ステレオ・ラジオ等の車両本体と一体になる装備品に関しては、車両本体と同じく6%の税率が課されているのだ。

 その後、平成4年4月からは、普通乗用自動車にかかる消費税の税率は4.5%へと変わる。そして平成9年(1997年)に、クルマにかかる消費税は本則税率と同じ5%へ変わった。以降、クルマに対する消費税は本則税率と同値になる。

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■自動車ユーザーから税金を取りまくる日本ってどうなのよ?

改めて自動車と税について考え、行動することが、日本の自動車文化を守るために必要なことだろう

 物品税の設定や、あえて複数税率にしてまで、クルマから高い税金を徴収しようとしていた日本。こうした名残は、現在も残るガソリンに対する二重・三重の課税や、重量税・取得税(あえてこう書かせていただく)、さらには初度登録から13年経過で負担の重くなる自動車税にも感じられるものだ。

 自動車大国「日本」でありながら、自動車関連税環境に関しては、古い考えの残り続ける後進国と言わざるを得ない。

 いたずらに徴収され、どのように使われているのかが不透明な自動車関連税。税金を支払うこの時期に、改めて自動車と税について考え、行動することが、日本の自動車文化を守るために必要なことだろう。

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