経済は大きく揺れ動き、私たちの生活もお金の融通が難しくなってきた。変化の大きい今だからこそ、金融の知識をフル活用して、ローンを有効活用していきたいものだ。そこで自動車ユーザーと切っても切り離せない自動車ローンの使い方を、令和の最新バージョンでお伝えしていく。

文:佐々木 亘/写真:トヨタ

■「頭金を入れないとローンが通らない」は大昔の話

フルローン購入も珍しくなくなった昨今の新車購入

 自動車ディーラーで車両購入時のクレジット契約をする際、「頭金はどうしますか」と聞かれることが、最近は少なくなった。

 少し前なら400万円のクルマを買うのに、4分の1にあたる100万円くらいは頭金を用意して購入するというのが当たり前だったが、現在は購入諸経費すらローンの中に入れてしまう、フルローンを組むのも珍しくない。

 新車を買うのに、1円も手元から出さないというのが、令和のクルマの買い方なのだ。

 そんな申し込みでローン審査は大丈夫かと思う人もいると思うが、これが結構大丈夫なもの。他の金融機関で無担保ローン(カードローン等)を使っていなければ、数分で審査は終わり、承認が取れる。

 通常ローン・残価設定、変則2回払いなど、ローンの種類が多岐にわたっており、必ずしも頭金を入れることが、生活を優位するとは限らなくなってきた。手元に現金を残しておく重要性が、最近では見直されてきているのだ。

■虎の子の現金で負の無限ループから脱却せよ

 お金に対する向き合い方は、人それぞれだと思うが、まず「頭金をできるだけ入れた方が良い人」に触れていく。

 これに該当する人は、お金を貯めるのが苦手な人。つまり、現金が手元にあると使ってしまう人だ。こういう人は、できる限りローンを組む際には頭金を入れること。そして、ローンの種類は残価設定ではなく、通常の払い切りローンを使って欲しい。

 貯められない人が残価設定ローンを使い、月々の返済額を見た目だけ下げてしまうと、残価設定ローンの満了時期に、必ずクルマを買い替えなければならず、また残価設定ローンを組むことになる。ローンの金額はどんどんと大きくなり、残価設定ローンから抜け出せなくなるのだ。

 筆者はこれを「残価設定ローンの無限ループ」と呼ぶ。

 使いやすいイメージが強い残価設定ローンだが、最終回支払い額を「貯める」もしくは「残しておく」ことができない人は、絶対に足を踏み入れてはいけない。安くなった月々の返済は、まとめて最後に大きな額になって降りかかってくる。

 ローン地獄に陥らないためにも、知識を持って残価設定ローンと向き合って欲しい。

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数年たっても車両の残存価値が大きく下がらないクルマを買った場合は、頭金ゼロの買い方もアリだ

 では、ローンの頭金をほとんど入れなくていいケースを考えていく。まずはユーザー自身が、未来のことを考えてお金の融通ができる人というのが、前提条件だ。「現金虎の子」の意識を持っている人なら大丈夫。

 こうしたユーザーが、今でいうランクルやハリアーといった、数年たっても車両の残存価値が大きく下がらないクルマを買った場合は、車両本体から諸経費まで、丸ごとローンに組み込んで、頭金はゼロという買い方をしても良いと思う。

 残価設定ローンを使い月々の返済は、毎月の給料から行える範囲にして、貯めてある頭金の原資にはできるだけ手を付けないでおく。そして、手元の現金は5年先を見据えた「投資」に充てるのだ。

 投資と言っても、株式や投資信託のような投機に充てるだけではない。例えば、子供の進学準備のために使う、ライフステージの変化に合わせて使っていく、これらも投資だ。

 数年で買い替えることが普通になってきたクルマに対しては、できるだけ手元の預貯金を使わないというのが、令和版自動車金融のススメである。マイナス金利が解除されても、貸出金利が低いままの今なら、頭金ゼロの買い方も、まだまだ推奨できる。

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