今見ても未来感満載のいすゞ ビークロス。コンセプトカーとほぼ同じ姿で市販化された、かなり思い切ったモデルであったが、どう考えても不思議な箇所が。そう、デザインがお見事すぎる背面タイヤカバーなのだが、そもそもどうやってタイヤを取り外すのか!? という点。これかなり凝っているうえ、隠されているホイールもさすがなのだった。
文:小鮒康一/写真:茂呂幸正・ベストカーWeb編集部
■エンジンこそ違うけど…ほぼコンセプトカーまんまで市販化
今では“運ぶを支える”クルマのスペシャリストとして、トラックやバスといった商用車を中心に製造・販売を行っているいすゞ。しかし、過去には乗用車も多く手掛けており、今でも名車と呼ばれるものも少なくない。
そんないすゞが手掛けた乗用車の中でもひと際存在感を放っているのが、1997年にリリースされたクロスオーバーSUVの「ビークロス」だろう。
ビークロスの源流となるモデルは、1993年の東京モーターショーに展示された「ヴィークロス」というもの。エクステリアのデザインなどはほぼ市販版と変わらないものとなっていたが、このときは3代目ジェミニのメカニズムを流用していたため、ボディサイズは一回り小さく、エンジンも1.6Lの直噴スーパーチャージャーとなっていた。
一方、市販版のビークロスはビッグホーンのプラットホームを使用しており、エンジンもV6 3.2Lのガソリンエンジンとなるなど大型化がなされていたが、前述したようにデザインはほぼそのまま踏襲されているのが大きな特徴となっていた。
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■クーペSUVの始祖!? 足まわりもいすゞ本気のデキだった
当時すでに乗用車の自社生産から撤退していたいすゞにとっては、ビークロスはスペシャリティカーというポジションも担っており、そのデザインは現在流行のクーペSUVの先駆けという声もある。
だが、見た目だけでなくエンジンも型式こそビッグホーンに搭載されたものと同一ながら、大幅な改良が施されていたほか、足回りも純正でKYB製の別タンク式ショックアブソーバーがおごられるなど、スペシャリティカーに相応しいものとなっていたのである。
また特徴的なエクステリアデザインであるものの、実はヘッドライトなどの灯火類は既存の車種(別メーカー)のものが多く流用されており、コストダウンに寄与していた点も見逃せないポイントと言えるだろう。
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■内側から取り外すスタイル!! それより背面タイヤのホイールが本気すぎ
そんなビークロスは当時のSUVには定番だった背面スペアタイヤが備わっているのだが、エクステリアデザインの統一感を壊さないようにリアゲートと一体化したシームレスなデザインとなっていて、一見するとスペアタイヤを取り出すことが不可能なようにも思える。
ではどうやってスペアタイヤを取り出すのかというと、実はメチャクチャ単純に内張りを外して内側からアクセスするという方式となっているのだ。
ちなみにこのスペアタイヤはリアゲート内に格納されるということもあってかアルミ製となっており、スポーク裏まで肉抜き処理が施されたスポーツホイールのようなものとなるなど、ほかのクルマとはコチラも一線を画す内容だったのだ。
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