50代以上のおじさんにとってクルマの装備の進化ぶりについていけないという人も多いはず。ここではどうしてこんなの作っちゃったの? アイデア倒れという失敗作の装備と、ぜひ復活してほしい装備を紹介していきたい。

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部

■リトラクタブルヘッドライトワイパー/S12型シルビア&ガゼール

S12型シルビア&ガゼールに装備されたリトラクタブルヘッドライトワイパー。左下はスイッチ

 どうしてこんな装備を作っちゃったの、と思うユニークな装備は主に1980年代に登場している。特に1980年代中盤以降からのバブル経済に沸く好景気が余裕からユニークなアイデアが生まれたのだろう。

 まずはリトラクタブルヘッドライトワイパー。ヘッドライトワイパーというのは1971年にサーブ99に採用されたのが世界初だったが、1983年8月に登場したS12型シルビア&ガゼールに、世界で初めてリトラクタブルヘッドライトにヘッドライトワイパーが装着された。

S12型シルビア。当時のスペシャリティカーはリトラクタブルヘッドライト装着車が多かった

 この時代のリトラクタブルヘッドライトを装着していたセリカXXやスタリオンはウオッシャー噴射で、さすがに贅沢すぎると思ったのか、ワイパー付きのリトラクタブルヘッドライトは、最初で最後となった。

■サイドウインドウワイパー/X80系6代目マークII

サイドウィンドウワイパー (1988年6代目マークII) スイッチを押すとサイドウィンドウの下から上に向かってワイパーが作動する

 1988年8月デビューの6代目マークIIに装備されたサイドウインドウワイパーはまさに無駄な装備といえる真骨頂。ドアミラーの鏡面ではなく、サイドウィンドウの前側に小さな電動ワイパーとウォッシャーを装着して視認性を確保した。

 初代レパードはフェンダーミラー、初代シーマはドアミラーに、ワイパーを装着したが、マークIIはサイドウィンドウの雨滴を除去して、クリアな視界を得ようと考えたのだ。雨滴を除去すべきはサイドウィンドウか、それともドアミラーか、非常に悩ましい選択だ。

 後期型マークIIやコロナには、超音波で雨滴を除去する機能もあった。鏡面の裏側で超音波を発生させ、雨滴を霧化している。

超音波雨滴除去装置付きミラー(1988年6代目マークII)。数秒間、超音波振動で雨滴を飛ばし、残りはヒーターで雨滴を除去する珍なハイテク装備

 両方装着する方法もあるが、1989年に発売された初代セルシオは、世界初の超音波を使ったドアミラー雨滴除去装置を採用した。これにサイドウィンドウワイパーを組み合わせると完璧? 個人的には今でも助手席側につけてほしいと思っている……。

■GTオートスポイラー/7代目スカイラインGTSクーペ

スカイラインクーペに設定されたGTオートスポイラー(1986年スカイラインクーペ)は効果はともかく、スカGファンはGTオートスポイラーにシビれた。GTS-Rは固定式に変更

 「その時、精悍。」のキャッチコピーで有名な7代目スカイラインクーペ(1986年)に装着されたGTオートスポイラーは、意味があったのかとちょっと疑ってしまうスポイラーだった。速度が70㎞/hに達すると自動的に下降し、50km/h以下で格納され、スイッチ操作で任意に降ろすこともできた。

 三菱GTO(1990年)もフロントベンチュリーカバーとリアスポイラーが速度に応じて自動的に動くアクティブエアロシステムを採用。GTOには後輪操舵を含めて可変機能が多く、排出ガスの流れる経路を変えてマフラーの音質を変化させるアクティブエキゾーストシステムもあった。

アクティブエアロシステム (1990年GTO) 速度に応じてフロント&リアスポが自動で動く

 このアクティブエアロシステムは、時速80km以上では、フロントベンチュリスカートが50mm下側へせり出し、リアスポイラーは角度が14度増えて揚力を抑えた。

 実はスカイラインGTSクーペのオートスポイラーはR32、R33にもひっそりとオプション設定されていたのはあまり知られていない。

■スペアタイヤ警告灯:R30型6代目スカイライン5ドアHB

R30スカイラインの5ドアHB車には日本初の省スペース型テンパータイヤがスペアタイヤ、その空気圧警告灯も初装着

 今ではパンク修理キットが主流になりつつあるが、昔はスペアタイヤ(ティンパータイヤ)が必ずといってもいいほど、トランクに取り付けられていた。

 そこまでするか! と唖然としたのが、このスペアタイヤ空気圧警告灯だ。1981年8月登場のR30スカイラインの5ドアハッチバック車には、日本初の省スペース型テンパータイヤがスペアタイヤに装着されたのだが、なんと空気圧警告灯も初装着したのだ。

■オープンベンチモード:初代オデッセイ

実際に座ると、かなりお尻が沈みこみ、足は持ち上がる感じで、身動きがとりづらかった印象がある

 初代オデッセイは、3列目のシートが床下格納だった。背もたれを前側に倒し、後ろ側に反転させると床下にスッポリと収まる。

 この機能を活用したのがオープンベンチモードだ。停車時にリアゲートを開き、3列目シートを後ろ側へ反転させると、背もたれに腰掛けて外を向いて座ることができたのだ。きっとメルセデスベンツS124ワゴンにあったサードシートを参考にしたのだろう。

 写真を見ると、釣りをする時に便利だと思うが、リアゲートが開いているので、釣り竿を操るのは難しかったのではないか。でもこのシートにカップルで座って……というのもいいかも。

■最後に復活してほしい昭和の装備

復活してほしい装備として三角窓を挙げた

 50代以上のクルマ好きのみなさん、復活してほしい昭和の装備はありますか? 筆者は三角窓と、アンブレラポケット、そして細かいところではコインホルダーである。

 三角窓は今さら説明するまでもないことかもしれないが、フロントドアガラスの前方に備えられ、回転して開閉する小さな窓。開けて走ると涼しい風が車内に吹き込むという仕組みみ。昔はクーラーやエアコンなしでも三角窓さえあれば涼しいと言われていた。

 今はエコの時代だから三角窓を復活させてなるべくエアコンを使わない、というふうにならないだろうか?

アンブレラポケット (1986年3代目パルサー) 2代目パルサーから3代目まであったのだが、以後は使い勝手の悪さからか、なくなってしまった

 アンブレラポケット、これもぜひ復活してほしい。雨が降るといつも傘の置き場に困ってしまうからだ。3代目パルサー(1986年)はドア開口部のボディ側(ストライカー金具の上側)に穴が設けられ、専用の傘を収納できた。

傘ドアポケット (1981年6代目スカイライン)

 筆者の理想は6代目スカイライン(1981年)に採用された、傘入れ兼用のドアポケット。なんと傘から流れ出す滴が車外へ流れていくように設計者が工夫して開発していたのだというから驚き。2LのLグレー ド以上に標準装備されていた。ぜひ、この傘入れ兼用ドアポケットを復活させてほしい。

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