スズキのイグニスと言われてピンと来た人はかなりのクルマ通かもしれない。なんたってイグニスは実にレアなクルマになってしまったのだから……。実はめっちゃいいクルマだから世の中に紹介したいっす!! ってな原稿を書いていたら、販売終了のニュースが。ああ、イグニスさよなら…。

文:ベストカーWeb編集部/写真:スズキ、編集部

■スズキの歴史がギュッと詰まったデザイン

クラムシェルボンネットやリアの3本スリッドなどなど、歴代スズキ車のエッセンスがマルっと凝縮されていたのだ

 イグニスというとなんとなく形が思い浮かぶ人もいれば、正直なところ「まだあったの?」という人もいるはず。

 2016年の登場以来、多くのカーマニアを感動させた存在なのだがやっぱりちょっと地味だ。しかしデザインはスズキの本気を見た気がするほどまとまっている。

 ヘッドライトはセルボ、Aピラーはスイフト、前後フェンダー付近のデザインはエスクードとフロンテクーペの意匠をオマージュしている。このまとまり感が絶妙でぱっと見ではスズキらしからぬ存在感を醸し出している。

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■走りも実用性も及第点だけど身内に敵あり?

パッと見シンプルなデザインではあったが、エアコンパネルやメーターなど超凝っていたのだ。ちなみに先代ソリオなどと同時にスズキ初のAppleカープレイやAndroidオートに対応していたのはお見事

 実はイグニス、この見かけだが走りだって悪くなかった。なんたってスピードメーターが200km/hスケール。1200ccなのになんかすごそうじゃん!! もちろん日本の公道で出せるわけないんだけど、この演出はかっこよかった。

 そして肝心の走りは決して軽快というわけではないが、シャシーはしっかりしているのは感じ取れる。ロールもやや渋い感じをしているのだが、まあ普段使いにはまったく問題ないだろう。

 近未来的なインテリアや国産車ではかなり早かったアップルカープレイ対応など、スズキとしても意欲作だったクルマなのは間違いない。しかも多くのクルマって共有しがちなエアコンパネルも専用設計(のちにクロスビーにも採用)で、デザインもかなり凝っていたのだ。でも売れなった……。

 その理由は軽自動車ハスラーと、兄弟車のクロスビーの存在だろう。身内のヒットモデルがいればわざわざ個性的なモデルを選ぶ理由は希薄になってしまう。後席スペースやラゲッジなどを考えると、やはりハスラーやクロスビーなどを選んでしまうのはわからんでもない。2024年3月の月間販売台数は248台。ちょいと厳しいぜ。

 この超絶意欲作のイグニスが生産終了してしまったのだ。色々述べたモノの、スズキの登録車SUVのボトムラインを担ってきた9年間はお見事。またこんな個性バリバリのSUVをまた出してくれスズキ!!!!

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