マツダの新型3列シートSUV「CX-80」が欧州で4月18日に登場するらしい。そもそもマツダの3列シートモデルはボンゴに始まる。ここではその長い歴史をおさらいしておこう!

文/ベストカーWeb編集部、写真/マツダ

■ボンゴに始まるマツダ3列シート車の歴史

 マツダが本格的に多人数乗車に取り組んだのは、ボンゴが最初だろう。初代ボンゴの登場は1966年。いわゆるワンボックスというスタイルの原型となったのがこのクルマと言われており、クリーンで未来的なスタリングが大ヒットした。いわゆるキャブオーバーだがエンジンをリアに積むRRである。

 ボンゴは働くクルマとして長くマツダを代表する3列シート車だったが、1980年代に入るとアメリカでミニバンが誕生し、乗用車としての3列シートが求められるようになる。そこから誕生したのがMPVだ。

 MPVが登場したのは1988年。ただしこれは北米の話で日本では1990年にデビューした。ルーチェのプラットフォームを使ったFRで、マツダはミニバンと呼ばず「新カテゴリーの高級サルーン」をうたった。確かに明確なボンネットを持ったスタイリングはミニバンとは一線を画す雰囲気があった。

 MPVは時代の波を読んでヒットし、3代目まで世代を重ねたが、2010年代に入るとSUVの人気に押されじわじわと人気を落とすことに。ラインナップの選択と集中を進めていたマツダは3列シート車をSUVと統合することに決め、日本ではCX-8に、北米ではCX-9に後継を託した。

■ミニバンからCX-8へ

オートフリートップという電動ルーフテントがファミリー層に受けたボンゴ・フレンディ

 いっぽうでマツダは3列シート車を車格に合わせてマルチに展開させていく。

 北米ではオフローダーのプロシードマービーに3列シートを作ったがこれはやや特殊なケースとして、日本ではボンゴの発展形であるボンゴフレンディ(1995年)と、5ナンバーサイズに収まるコンパクトミニバン、プレマシー(1999年)が人気を誇った。

 ボンゴフレンディは出っ張ったボンネットがセミキャブオーバーのような造形だったが、実際はエンジンをシート下に置くキャブオーバーFRだった。初代にはオートフリートップと呼ぶ電動ルーフテント仕様があり、オートキャンプファンから支持を集めた。

 いっぽうプレマシーは扱いやすいサイズとコンパクトカーのような使い勝手が特長で、リアドアもあえてヒンジドアを採用、エンジンは1.8Lと2Lをラインナップし、ラゲッジルーム優先というユーザーに向けて2列シート仕様も販売された。

 ボンゴフレンディはその座をビアンテにゆずったものの、MPVと同じ理由から2018年に生産を終了、プレマシーも3代目まで進化を続けたもののビアンテとほぼ同時に生産を終え、マツダからコンパクトな3列シート車は消滅した。

 こうした系譜を一身に受け継いだのが、2017年に登場した3列シートSUV「CX-8」というわけだが、マツダのラージ商品群戦略によってモデル交替が決定、それが4月18日に登場するCX-80へと継承されることになる。

 駆け足で見てきたが、マツダの3列シート車にはそれぞれ個性が強かった。CX-80もマツダらしさを感じさせる1台であることを願いたい。

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