運転免許の区分が細分化されてから久しいが、それらの変更は主に貨物自動車向けのものだった。細部化されている運転免許では人を乗せる人数はどうなっているのだろうか。免許お持ちの方は学科教習で勉強したはずだが、改めて整理しておこう。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)
■既得権を含めれば6種類
四輪自動車でけん引や小型特殊、大型特殊等の例外的なものを除けば、運転免許は普通免許から大型免許まである。人を乗せることができる人数は一種と二種の区別やAT限定では変わらないので、本稿では区別しない。
以前に普通免許を取得した人が既得権として持っている免許を含めれば下から、普通・準中型5トン限定・準中型・中型8トン限定・中型・大型となり、6種類となる。
この区分は主に車両の総重量と最大積載量、乗車定員で決められている。多くの人が持っている普通免許は車両総重量が3.5トン未満、最大積載量が2トン未満、乗車定員が10名以下の自動車が運転できる。
■普通から中型8トン限定まで同じ!
車両の物理的な大きさは特に決められていないのが特徴でもある。そして人を乗せる場合は普通から中型8トン限定まではすべて10名以下なので、「人を輸送する」という目的のみに限って言えば中型8トン限定までは同じ条件となる。
中型免許で初めて乗車定員が11人以上29人以下となり、主にマイクロバスの運転が可能になる。そして大型免許では乗車定員が30人以上になり、大型バスの運転が可能になる。
■昔はいろいろとやるマニアは存在した!
前述したとおり、運転できる車両の物理的な大きさには制限がないため、バスの座席を外して減量しキャンピングカーとして改造したうえで、乗車定員を10名以下にしてしまえば昔の普通免許、現在の中型8トン限定で運転できた。ところが現在の普通免許では総重量が3.5トン未満なのでマイクロバスでも少し厳しい。
このような特殊な事例は除くとしても、人を乗せる人数としては中型8トン限定までは条件は同じということである。
■トラック運転手確保のための変遷
もともと普通免許と大型免許の間に中型免許が登場したのは、当時の普通免許で運転できる事実上の最大積載量4トントラックでの事故が多発したことによる。既得権ですでに持っている人はそのまま中型8トン限定として残ったが、以降の普通免許では4トントラックは運転できなくなった。
ところが中型免許を取得するのに年齢制限が設けられたことから、若いトラック運転手の確保が難しくなった。業界の要請によりさらに細分化して準中型免許が登場した。こちらは事故防止というよりも運転手確保のための苦肉の策と思われる。
■バスは中型か大型!
ここでも、それまでの普通免許所有者の既得権は守られ、準中型5トン限定として残ることになった。こうして普通から大型まで既得権の限定を含めて6種類の免許区分が存在することになった。
主に貨物自動車向けの細分化だったが、バスは旅客輸送には二種免許が必要なことと、中途半端な定員のバスは存在しないことから、乗車定員としては従前の区分のまま、大型と中型とそれ以下の3区分になっている。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。