6月25日、トヨタが有価証券報告書を公開した。それによれば、2023年度の役員報酬は豊田章男会長が16億2200万円、佐藤恒治社長は6億2300万円。豊田会長の報酬は昨年に対しておよそ6割のアップとなるが、報酬決定では中長期的な成長やグローバルな人材確保といった奥深い評価・分析が行われていた。

文:ベストカーWeb編集部/写真:トヨタ自動車

■報酬の内部構成を見直して中長期的視点を導入

5月8日の決算説明会の様子

 連結報酬などの総額が1億円を超えるとして、トヨタが公表した7名の役員報酬は以下の通りだ(敬称略)。

豊田章男 16億2200万円

早川 茂 3億8900万円

佐藤恒治 6億2300万円

中嶋裕樹 2億9500万円

宮崎洋一 2億9700万円

サイモン・ハンフリーズ 1億4300万円

ジェームズ・カフナー 5億3100万円(ウーブン・バイ・トヨタ分を含む)

 トヨタは近年、役員の数や報酬の改定を進めてきたが、今年の役員報酬決定にあたって報酬の内部構成を改め、固定報酬+STI(ショート・ターム・インセンティブ)+LTI(ロング・ターム・インセンティブ)とした。それぞれの比率は30%+20%+50%になるという。

 固定報酬は従来の個人査定、STIは時価総額や営業利益などから導かれる短期的な成果だが、注目は、LTIだろう。これは複数年の営業利益や自己資本利益率、サスティナビリティ課題への取り組みといった中長期的な成長を評価しようというもので、現金ではなく株式で支払われるという。

 こうした評価の結果、豊田章男社長に関しては16億2200万円という報酬になった。2021年度が6億8500万円、2022年度が9億9000万円だったから、今年は約1.6倍ということになる。

 この金額は、トヨタの組合員や管理職、さらにはトヨタを支えるサプライヤーたちとともに成長しようという考えと、グローバルに優れた人材を確保・維持するうえでの相場観などを勘案して決められたようだ。

 後者については、欧州の主要6カ国計240社をベンチマークとし、そのうち上位10%の企業の役員報酬が参考となったという。ちなみにトヨタは現在、認証不正などの問題に対応中だが、こちらの評価もしっかりマイナス要素として織り込まれているそうだ。

 近年では、テスラのイーロン・マスク氏が約8兆円という報酬を承認されるなど、アメリカ企業を中心にもらいすぎといわれるような役員報酬が支払われている。そんな中で、役員としてだけではなく、モリゾーやマスタードライバーとしても活躍する豊田章男会長の報酬を考えると、16億は高くないという印象を抱くのだが、はたしてどうだろうか。

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