現在建設中の新東名高速道路の新御殿場IC~新秦野IC区間。この未開通の一部区間を利用して運転支援システムに関する実証実験が行われている。その実験内容は一体どのようなものなのか?得られた結果はどのように生かされているのか?現地での取材会を基にリポートしていく。

文/写真:西川 昇吾

実験概要はこれだ!!

更なる進化を求め、私達は試行錯誤を繰り返す

 実験は2024年5月13日から開始されていて、7月末まで実施予定だ。行われている実験は「路車協調実証実験」だ。

 路車協調とあるように、道路と車両間を繋げる技術を実証実験で試すのが主な目的となっている。2021年12月に公募が開始され、10の企業・団体が参加している。

 実証実験は約2.8㎞の一般区間と約3.1㎞のトンネル区間の2か所で実施されている。今回その様子が公開されたのは一般区間だ。

 一般区間では約100~600mの間隔で支柱を設置し、参加している企業・団体のアンテナを始めとした通信設備が設置されている。トンネル区間では約500m間隔で5本設置されている。

 なお車両とインフラ設備の無線通信はV2I(「Vehicle to Infrastructure」の略)と呼ばれているものだ。

 それぞれの支柱は光ファイバーケーブルで繋がっており、各種情報の伝達がすぐさま出来るようになっている。

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気になる実証実験、ところでモデルケースは?

何かすごいことが行われているのかも…!

 ではこの設備を使ってどのようなことが出来るのだろうか?今回の取材会では2つのモデルケースが実演された。1つが前方で停止している故障車がいた場合のケースだ。

 こちらは沖電気工業㈱、㈱交通総合研究所、富士通㈱、古河電気工業㈱、三菱重工機械システム㈱が関係している。

 内容は故障車から近い位置で後続を走行している車両がセンサにより障害物(故障車)を検知。

 この情報を車両から支柱に飛ばし、支柱間の光ファイバーケーブルによって後ろの支柱に伝達され、後ろの支柱から後続車両に情報を伝え、事前の危険回避をより安全に可能にするというケースだ。

 もう1つのモデルケースは将来の自動運転を想定したケースで、KDDIが実験をしている。自動運転を行っている車両が緊急停止した場合だ。

 車両から緊急停止の信号が送られると遠隔操作に切り替わり、車両を安全な場所へと移動させるケースだ。

 今回実演されたモデルケースはどちらもスムーズに行われており、その完成度の高さを感じさせた。

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実用性や如何に….. 実際の高速道路での実験

この実験結果が、いつか多くの人を救うと信じて…..

 他にもホンダとソフトバンクが提携した実験では、前方車両から得た速度や走行環境などの情報を基にリスク解析を行い、後続車両へ事前に前方車両が車線変更を行う可能性があることなどを伝達する実験などがある。

 すべての実験を紹介すると長くなってしまうが、開通前とは言え、トンネル区間もある実際の高速道路において通信機器を用いて実験出来ることは、運転支援システムや自動運転の進化に大いに意義のあることだろう。

 後続車両への危険情報伝達、そのような観点で言えば最新の運転支援システムが備わっていない車両であっても、情報の受信やドライバーへの共有を可能とする車載装着を後付けすれば、古いクルマでも事前に事故を防ぐことが出来るだろう。

 工事スケジュールの関係で実証実験の期間は3か月であるが、ここで得られた実験がどのように生かされていくか注目だ。

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