バイクのハンドルにレジ袋は違反？スクーターの足元に荷物を置くと厳罰も！

近所のコンビニやスーパーなどで買い物をした際、バイクのハンドルにレジ袋をかけて帰った経験がある人もいるかもしれません。また、レジ袋だけでなく、カバンやバッグをハンドルに引っ掛けて走っている光景も、街中では時々みかけます。
さらに、スクーターの足元に荷物を置いて走るライダーもたまに見かけますが、いずれの場合も、車体のバランスを崩して転倒するなどのおそれがあり、とても危険な行為だといえます。
しかも、これらの運転は、いずれも法律上でも違反行為。もし捕まれば一定の処罰を受ける可能性があり、最悪のケースでは懲役などの重い罪に問われる場合もあります。では、それぞれ、どんな違反に該当するのでしょうか？　

文/平塚直樹 Webikeプラス

ハンドルに荷物は「積載方法」または「安全運転義務」の違反

　まず、バイクのハンドルにレジ袋やバッグなど、荷物をひっかけて走る運転。これは、以下２つの違反に当たる可能性があります。

乗車積載方法違反

　ひとつ目は、「乗車積載方法違反」です。道路交通法第55条第2項には、以下のような規定があります。

　「車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない」

　これを読むと、「ハンドルその他の装置の操作を妨げ」「車両の安定を害し」といったことが明記されており、これらがハンドルに荷物などをかけて走行する行為にも該当する可能性があるといえます。とっさにハンドル操作がしにくくなるし、バイクの重心が荷物をかけたハンドル側に傾くなどで安定性も悪くなり、転倒のリスクが大きくなるからです。

　もちろん、実際に判断をするのは取り締まる警察官なので、厳重注意だけで済む場合もあるでしょう。でも、もし、この規定が適用され、「乗車積載方法違反」で検挙された場合は、

・違反点数：1点
・反則金：２輪車6000円/原付5000円

　を科せられることになります。

安全運転義務違反

　また、「安全運転義務違反」に該当する可能性もあります。これは、道路交通法第70条に規定されているもので、以下のような規定が明記されています。

　「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」

　この規定は、周囲のクルマや歩行者に何らかの害を及ぼすような運転は、違反となって取り締まりの対象になるということを示しています。

　そして、ハンドルにレジ袋などの荷物をぶら下げた状態で走行することも、「ハンドル操作が確実にできない運転」と判断される可能性があり、もし捕まれば、これを適用され、安全運転義務違反を科せられる可能性もあります。

　そして、この場合の罰則は、

・違反点数：2点
・反則金：２輪車7000円/原付6000円

　となります。

　ちなみに、バイクを片手運転した場合も、同じく安全運転義務違反になる可能性があります。片方のハンドルを握らずに走ることも、安定した走行や確実な操作をできない運転とみなされ、転倒や事故などにより他人に危害を及ぼす危険性があるからです。

スクーターの足元に荷物を置くと重い罪になるケースも！

　一方、スクーターなどの足元に、ちょっとした荷物などを置いて走ったケース。この場合も、適用される可能性があるのは、まず、安全運転義務違反。

　前述の通り、車体のバランスが取りづらくなるため、安定した走行や確実な操作をできない運転とみなされ、転倒や事故などにより他人に危害を及ぼす危険性があるからです。

　また、道路交通法第55条には、

　「車両の運転者は、当該車両の乗車のために設備された場所以外の場所に乗車させ、又は乗車若しくは積載のために設備された場所以外の場所に積載して車両を運転してはならない（以下略）」

　といった規定もあります。スクーターの足元に荷物を置いて走るのは、この規定に違反する可能性もあります。

　なぜなら、スクーターの足元スペースは、フラットで広いボード状になっているモデルも多いですが、荷物を置く場所として設計されていないからです。そのため、「積載のために設備された場所以外の場所に積載して車両を運転してはならない」という規定に反する可能性もあるからです。

　そして、この規定に違反したとみなされた場合、問われるのは乗車積載方法違反。前述のような違反点数や反則金を科せられる可能性があります。

走行中に足元の荷物をまき散らすとどうなる？

　加えて、もし、走行中にバランスを崩し、足元に置いていた荷物を道路上にまき散らしてしまうと、「転落積載物等危険防止措置義務違反」が適用される可能性もあります。この場合、もし捕まれば、

・違反点数：1点
・反則金：２輪車6000円/原付5000円

　が科せられることになります。

　さらに、もし、荷物を散乱したことが原因で死傷事故が起こると、「過失運転致死傷罪」に該当。

７年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金

　という重い罪に問われる可能性もあります。

自分はもちろん、周囲の安全も考えた走りを！

　ご存じの通り、バイクは、バランスを取って走らないとスムーズに走れない乗り物。安全かつ安定した運転にはある程度のスキルも必要となります。

　だからこそ、思うように走れたときには爽快な気分も味わえますが、そのためには、ハンドルはもちろん、アクセルやブレーキなど、運転操作に必要な各パーツは、使いやすく、とっさのときにも対応できるようにしておく必要があります。

　そのため、荷物などをハンドルにひっかけたり、スクーターの足元に置いて走る行為は、そうしたバイクの繊細な操作を阻害しやすく、場合によっては転倒したり、周囲のクルマや歩行者にも迷惑や被害を及ぼす危険性が高いのです。法律的にも違反ですが、そもそものマナーとしてやらないことが重要だといえます。

　特に、スクーターには、コンビニのレジ袋など、ちょっとした荷物をひっかけることができる専用フック（コンビニフック）が設けられているモデルもありますよね。また、シート下の収納スペースがかなり大容量なタイプも数多く販売されています。愛車に、せっかくそうした装備があるのであれば、ぜひ活用し、安全な走行を心掛けましょう。