ハリアーの兄弟モデルとして2000年に登場したトヨタ・クルーガーVは、広々した室内が自慢のSUVだった。オフロードも走れて走りもバッチリだったのに、日本では1代限りのモデルに。しかし聞いてくれ、クルーガーには見事な「後日談」があるのだよ!!

文:ベストカーWeb編集部/写真:

■6代目カムリから生まれたハリアーの兄弟モデル

トヨタ クルーガーV

 1997年にデビューしたトヨタ・ハリアーは、海外ではレクサスモデルとなるラグジュアリーSUV。そこでトヨタは、海外のトヨタブランドで売るハリアーの兄弟モデルを開発する。

 それが2000年に登場したハイランダーだが、日本では「クルーガーV」という車名で販売された。車名のVは販売チャンネルである「ビスタ店」の頭文字だ。

 クルーガーVのシャシーは、初代ハリアー同様6代目カムリがベース。ただしエクステリアはスペシャリティ感の漂うハリアーに対し、オフロードも似合いそうな直線基調のたたずまいとされた。搭載エンジンは2.4L直4と3LのV6で、これもハリアーと共通だ。

 クルーガーVは最低地上高180mm、アプローチアングル28度という本格的なオフロード性能を持ち、3L・V6エンジンとあいまって優れた動力性能を誇った。

 とはいえ最大のポイントは家族4人のレジャーなどにも対応する広い室内。ハリアーのような高級感こそなかったがダッシュボード回りの造形もなかなか立派で、3眼オプティトロンメーターやエレクトロマルチビジョン、JBLスピーカーなども設定されていた。

 2003年、クルーガーVはマイナーチェンジを実施し、広い室内を活かした3列シート7人乗りが追加される。合わせてカローラ店でも販売が始まり、こちらは「クルーガーL」を名乗った。

 さらに2005年、2代目ハリアーといっしょにハイブリッドモデルが追加される。こちらは3.3Lエンジンを組み合わせた4WDモデルで、7人乗りのみの設定。リッター17.8kmという省燃費(10・15モード)とともに、システム出力272psで侮れない速さを見せた。

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■日本では1代で終わるも海外でハイランダーが大ヒット!

現代のクルーガーともいえるグランド・ハイランダー

 そんなクルーガーV、質実剛健なクルマで実に魅力的だったのだが、いかんともしがたい弱点を持っていた。日本では同じトヨタ系列で、ゴージャス版のハリアーが買えたのだ。

 結局クルーガーV/Lはハリアーとの違いをうまく差別化できず、2007年1代限りのモデルライフを終えてしまった。

 ではクルーガーは失敗作だったのかというと、むしろ逆。ハイランダーと呼ばれる海外モデル(オーストラリアだけはクルーガーを名乗った)は大ヒットし、世代を重ねているのだ。

 2007年に2代目、2013年には3代目、さらに2019年には4代目ハイランダーが登場し、とくにアメリカと中国では絶大な支持を集めてきた。ちなみに4代目は中国で「クラウン・クルーガー」という泣ける名前で販売され、これまたヒット作となった。

 そして2023年、ハイランダーは4代目ハイランダーも継続販売する形で「グランドハイランダー」をデビューさせ、今に至る。先代から採用したGA-Kプラットフォームをベースにサイズを拡大し、全長5.1m余という堂々たる体躯となった。

 日本では伸び悩んだが、海外で予想を超えるヒット作となったクルーガー。どこか元カノ/元カレの活躍をみるようで、ちょっとウルッとくる話だ。

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