車内で電気を用いた機器を使うシーンが増えている。家族や仲間とドライブに出かけるとスマホの給電ポートが足りなくなることもある。そこで車内の電源強化をDIYで実施する方法を考えてみた。

クルマの中でスマホの充電や空気清浄機など、車両の電源を使った給電を利用するケースは増えている。車両側にも従来のシガーソケット(アクセサリーソケットなどとも呼ばれる)に加えて、USBポート、さらには100V(AC:交流)の端子を備えるクルマもある。しかし乗車人数やユーザーそれぞれの使用方法もあり、必ずしも純正状態で十分とはいえない。そこで車内の電源充実のパーツ類を使ってDIYで電源を整備してみることとしよう。

◆シガーソケット

拡張性を持たせられるのは車両に幅広く設置されているシガーソケット。12V(DC:直流)の電気が流れているので、対応する機器を使うことができる。しかも車両のアクセサリー電源(ACC)と連動しているので車両の起動に合わせて電源がオンになるのも使い勝手が良い(一部の輸入車では常時電源の車種もある)。

カー用品にはシガーソケットを使ったさまざまなアイテムが用意されている。代表的なもののひとつがUSBポートを備えた変換ソケットだ。シガーソケットに差し込むだけでUSBポートを利用できるようになるので、スマホ充電などを実施したい場合にも便利に使える。また複数のポートを備えたソケットを使えばUSBを利用した電気機器+スマホ充電など、複数のUSB機器を利用できるのもメリット。

また、シガーソケットの形状を持った電源入力部を備えた車載専用の電気機器もある(空気清浄機やマップランプ、扇風機等々)。こちらはシガーソケットに差し込むだけで使えるので非常に手軽だ。車内で使いたい電気機器を増設するには絶好のチョイスとなる。

◆電力容量に注意

しかし、ここで注意したいのは電力容量だ。車載されているシガーソケットから給電できるのは一般的には10A程度。車両の電圧が12Vのクルマの場合、12V×10A=120Wが利用できる最大容量だ。電気機器に記載されている消費電力がこれを超えてしまうようだと車両のヒューズが切れてしまうので要注意だ。もちろんタコ足配線などして合計の容量が超えてしまっても同じ。接続する電気機器の消費電力はあらかじめ計算して利用するようにしよう。

同じように純正で設置されているUSBポートも容量が決まっている。こちらは一般的には2~3A程度。USBは5Vなので5V×3A=15W程度が使用できる最大容量となる。

いずれも、車両のヒューズボックスに設置されているシガーソケット/USBポートに対応するヒューズを見ればその容量は一目瞭然。ヒューズのサイズ(10Aなど)が差し込まれているようならば、それ以上の電流が流れない仕組みになっているのだ。誤ってヒューズを切ってしまった場合には純正と同じ容量のヒューズを用意してセットするようにしよう。この時に、より大きな数値のヒューズは利用しないこと。配線までを含めて最大容量が決められているので、ヒューズだけを大きくすると危険なのでNGだ。

さらに車内でいつも家庭で使っている100V仕様の電気機器を使いたいと思うこともあるだろう。純正で100Vコンセントが設置されている車両もあるが、シガーソケットにインバーターと呼ばれる12V(DC:直流)→100V(AC:交流)への変換機器を接続すれば100V使用の機器が使えるようになる。ただし先に紹介したシガーソケットの電力の最大供給量は変わらない。12Vの場合に10A程度の最大電流の場合、100Vで使用する場合は理論上は1.2A程度しか供給できないという計算になる。そこでより大電流を使用する場合にはバッテリー直電源を利用することになる。

◆バッテリー直電源を設置

ここからはちょっとハードルが高い作業になるのだが、バッテリー直電源を設置するためには車載とは別の配線を敷設する必要がある。

まずはエンジンルームにあるバッテリーに(+)(-)の電源ケーブルを接続、配線にはトラブル対策のためにヒューズの設置が必須。配線をバルクヘッドなどの純正グロメットに割り込ませるようにして車内に引き込み、最後はACC(アクセサリー電源)に連動するようにリレー回路を組んでインバーターに接続するといった配線だ。

これらの配線キットはオーディオ用のバッテリー直電源用として一式がキット化されているものもある。バッテリー直電源は配線の太さやインバーターの容量を自由に選ぶことができるので、100Vの機器も消費電力に余裕を持って利用することができる。車中泊仕様で100V電源の利用頻度が高いユーザーはプランしても良いだろう。

電気は目に見えないので未経験者にはハードルが高いが、増設した際の便利度は大きい。もちろんプロに任せて安心のシステムを組むのが最善だが、USBソケットの設置など、ごく簡単な作業から自己責任でDIYをはじめて利便性を享受するのも良いだろう。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

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