大規模のショッピングモールなどの施設にクルマを駐車した後、いざ戻ってきた時「あれ?どこに停めたっけ」と焦った経験はないだろうか。また増え続ける車両盗難に対しても常に自車位置を把握しておくことは重要だ。そこでオススメしたいのが「スマートトラッカー」の活用。一体どのようなメリットがあるのか、筆者が自腹で購入しレポートした。

文:高山正寛/写真:高山正寛・アイキャッチ(yamasan@Adobestock)

■昨今のクルマには付いているが・・・

トヨタ純正のテレマティクスサービスである「T-Connect」にあるカーファインダー機能。

 昨今のクルマにはテレマティクスサービスの採用が増えてきている。車両に搭載されているGPSや通信回線を使うことで自車位置をスマホ側で確認できる。しかし、それが搭載されていない車両、例えば中古車などの古いクルマはどうすれば良いのだろうか。

 そこで本来の使い方ではないが、今、スマホ関連用品の中で非常に売れている「スマートトラッカー」を活用することをオススメしたい。

 「スマートトラッカー」は「スマートタグ」とも呼ばれるもので、本来は自分のクルマや家の鍵、財布などに付けておくことで、紛失を防止するデジタルガジェットだ。

 家の中に絶対あるはずなのに、いくら探しても見つからない・・・。そんな時、専用のスマホアプリからその場所、またはすぐ近くにある場合は「スマートトラッカー」に内蔵されたブザーを鳴らすことで見えない場所に埋もれている鍵などを見つけることができるわけだ。

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■きっかけはやはりあの企業の製品

「スマートトラッカー」が世界中で大人気になったきっかけは2021年に発売されたAppleの「AirTag(エアタグ」)にある。

 iOS14.5(iPadOSも同様)以降を搭載したiPhone&iPadをBluetooth接続することでタグの位置をスマホ上で確認できるという考えは同じだ。

 基本AirTagはアップル製品のみでしか使えない。一部サードパーティ製アプリとNFCを搭載したAndroid携帯でも利用は可能だが保証はできない。ゆえに他のメーカーからAndroid OSでも使える「スマートトラッカー」が数多く発売されたことで一気に市場が拡大したのだ。

 この考えを元に「スマートトラッカー」をクルマ側に置くことで冒頭に述べた「駐車時の場所の把握」また万が一盗難にあった際、自車位置の追跡が可能になるわけだ。

 ただ、ここで多くの読者の方は疑問に思うだろう。「デジタルトラッカーにはGPSが無いのに何故自車位置がわかるのか?」という点だ。

 確かに「デジタルトラッカー」にはGPSは搭載されない。ただBluetooth接続によりスマホ側のWi-Fiやモバイル通信回線を使うことで自車位置が確認できる。

 ここで重要なポイントとなるのが、クルマから離れるとBluetooth接続が切れてしまい、自車位置は把握出来ないのではないか、という点だ。

 これもまた正しくて、要はスマホで確認できるのは最後に接続が切れた場所なのである。

 駐車場などの場合は駐車後基本クルマは動かないわけだから、スマホで(最後の)場所は把握できる。スマホアプリ上の地図画面を見ながら車両の位置を確認しながら近づいていき、接近したらBluetoothが再接続されるのでブザーを鳴らすことも可能だ。

 補足するとApple製品には「探す」アプリというものがあり、自分のBluetooth接続が切れても、そのAirTagの近くを他のiPhoneや通信機能付きiPadが通過すれば位置情報が更新される。日本は特にアップル製品が売れているので都市部など人口の多い場所であれば結構な頻度で更新されるが、逆にユーザーが極端に少なくなると更新頻度は落ちることになる。

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■筆者自腹購入、オススメのデジタルトラッカー3選

1.AirTag(Apple)。実勢価格4779円(Amazon調べ)

 世界的ヒットとなった「デジタルトラッカー」。前述したように他のiPhoneやiPadが近くに入れば自車位置が更新される。

 デメリットはiOSでなければ使えないこと。そして本体にはボタン類がないので、AirTag側からスマホを鳴らす事が出来ない点だ。そしてやや高めの価格だ。

Appleの「AirTag」。バッテリーは1年持つと表記されているが、他のApple機器とのやりとりも多く、消費は多い。それでも「CR2032」型のボタン電池なので入手はしやすい。

2.Tile Slim(Tile)。実勢価格5000円前後(Amazon調べ)

 AirTagより遥かに早く「デジタルトラッカー」を世に送り出しているのがTile(タイル)。Slim(スリム)の名の通り、クレジットカードサイズにわずか0.27cmの厚さなので財布はもちろん、クルマであれば車検証の中に入れておくこともできる。またトラッカー側からスマホを鳴らす事が出来る。

デメリットとしては電池交換ができない点。基本的には接続が切れた最後の位置と時間を記録する設計、他のTileユーザーがBluetooth圏内に入ると自車位置更新はされるが、更新頻度はあまり高くない印象を受けた。

やや価格は高めだが、その分バッテリー寿命は最大3年間と長い。左下のロゴを押すと接続されたスマホを鳴らすことができる。

3.Anker Eufy Security SmartTrack Link(Anker)。実勢価格2990円(Amazon調べ)

 モバイルバッテリーやデジタル家電の領域でシエアを拡大しているAnker(アンカー)の「デジタルトラッカー」。Appleの「探す」アプリに対応しているのでAirTag同様の使い方ができる(Apple端末のみ)。

 デメリットとしてはバッテリーが1年しか持たないこと。

Android端末では現在位置の特定は出来ない(Bluetooth接続圏外の場合)が、専用アプリ「Eufy セキュリティ」をインソールすればトラッカー側からスマホを鳴らすことが出来るなどコスパ自体は非常に高い。

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■便利ではあるが、使う側のモラルも問われる

 非常に便利な「デジタルトラッカー」だが、使用者側のモラルも重要だ。

 ユーザーとしてはクルマに置いておくことで自車位置の確認が出来るメリットはあるし、万が一盗難された場合でも犯人がその存在に気がつかなければ、ある程度逃走ルートを把握することもできる(ゆえにトラッカーは目立たない場所に隠すのが基本)。

 ただ裏を返せば、自分自身がいたずらでバンパー裏などにガムテープなどを使い、トラッカーを貼り付け、自宅等を特定しようとすれば、それはしっかり「犯罪」である。

 実際、アメリカなどではトラッカーを使った犯罪(ストーカー行為)も行われているが、この手の不正利用に対し、メーカー側は注意を呼びかけると同時にOS側で対応するように開発を進めているという。

 冒頭に述べたように、本来の使い方ではないが、中古車などを購入した際、結構使える「神デジタルガジェット」としてオススメである。

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