かつて国内市場で人気爆発したトヨタのコンパクト2ボックスの「bB」。一目でbBと分かるデザインや、あらゆる用途に対応できる広くて快適な室内空間などによって、特に若者の間で人気となったモデルだ。2000年の初代登場以降、2世代16年にわたり愛されたが、2016年8月に生産終了となっている。

 そんなbBだが、生産終了から7年経った2023年秋、ジャパンモビリティショー2023でトヨタが出展したコンセプトカー「KAYOIBAKO(カヨイバコ)」がbBに似ていると話題になった。はたして、KAYOIBAKOは次期bBとなるのだろうか。

文:吉川賢一/写真:TOYOTA

「好きなときに・好きな場所で・好きなことを」変幻自在なコンパクト2ボックス

 スクエアなボディに低扁平のタイヤホイールなど、「bB」によく似たビジュアルの「KAYOIBAKO」。トヨタはこのKAYOIBAKOについて「好きなときに・好きな場所で・好きなことができる」モビリティの未来を実現するコンセプトモデルだと説明している。

 小口輸送などの働くクルマとして使うもよし、個人やカップル・ファミリーで出かけるもよし、内外装をカスタマイズして楽しむもよし。使用目的に応じて内外装のパッケージを変えることができる超拡張性能がKAYOIBAKOのコンセプトで、座席を増やして乗り合いバスとして活用したり、車いすを利用する人が乗り込みやすいよう、車内で運転席に移動しやすい設計にするなど、KAYOIBAKOは移動の自由にも貢献することができる。

 また、自動運転システムによって、拠点の間を行き来しながら部品や製品を安全かつ効率的に運ぶスマートグリッドなど、知能化された社会システムの一部としての活躍も期待できるようだ。

KAYOIBAKOは、ウインドウラインの高いコンパクト2ボックススタイルを採用。フロントグリルはスケルトンで、運転席から前方真下を覗くこともできる
スクエアなボディに、Bピラーレスの大きなスライドドアを備えたKAYOIBAKO。なお運転席側にはスライドドアが備わらないはめ殺しタイプとなっている
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次期ルーミーカスタムに「bB」のネーミングが与えられるのでは!?

 そんなKAYOIBAKOだが、トヨタが公開した画像のなかには、フロントグリルに「bB+ CONCEPT」という文字が光っているものが含まれていた。デザイナーの遊び心なのだろうが、そのエクステリアデザインからも、KAYOIBAKOがbBと全く関係がないとは思えない。

トヨタが公開した画像のなかには、フロントグリルに「bB+ CONCEPT」という文字が光っているものが

 bBが若者に大ヒットしたのは、ベース車をプレーンかつ廉価につくったことで、ユーザーがカスタマイズできる余地があったということが大きな理由だといわれている。2000年にデビューした初代モデルは、「箱」のような四角いシンプルなデザインが新鮮で、当時の価格は129万円~173万円。初期受注はなんと3万台にもなり、当時ライバルだったホンダ「S-MX」を完全に打ち負かした。2005年に登場した2代目も134万円~184万円と安価で、「つくりが良く、しかも安い」と若者だけでなく幅広い年齢層から支持された。

 これはKAYOIBAKOのコンセプトにも当てはまり、実現すれば、「ルーミー」に近い存在となるが、そのルーミーは2016年の登場と、いつフルモデルチェンジとなってもおかしくないタイミング。筆者は、KAYOIBAKOは次期ルーミーのデザインを示唆したモデルであり、次期ルーミーカスタムに「bB」のバッヂが与えられ、「ルーミー bBスタイル(仮)」が誕生するのではないか、という気がしてならない。

2005年から2016年まで販売された2代目bB
現行型ルーミーも、2016年の登場から早8年が経過している。次期ルーミーカスタムに、「bB」のネーミングが与えられるのではないだろうか

バッテリーEVのほか、ガソリン車、e-SMART HEVの1.0Lエンジン版も出るのでは!??

 KAYOIBAKOの設定はバッテリーEVであるが、おそらく次期ルーミーには現行モデル同様にガソリン車も用意されるだろう。加えて、現行ロッキー/ライズに搭載されている1.2Lエンジン発電の「e-SMARTハイブリッド」の1.0Lエンジン版も用意されるのではないか、と筆者は考えている。

 現行ルーミーは税込156万円~210万円と、令和時代のクルマとは思えぬほどに超安い。これがKAYOIBAKOデザインとなった次期ルーミーでも維持できるのかは気になるところだが、価格上昇を最低限に抑え込めれば、人気爆発は必至だ。はたしてKAYOIBAKOデザインの新型ルーミーbBスタイル(仮)はいつ登場するのか、今後が非常に楽しみだ。

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