欧州ではBEVへの移行が停滞気味。そんな中で注目されているのがHEVだ。日本では各メーカーで独自のハイブリッドシステムが開発されている。ここでは、もうすぐ登場予定の新型ホンダ フリードe:HEVを、ライバルであるトヨタ シエンタハイブリッドと比較する。

※本稿は2024年5月のものです
文:渡辺陽一郎/写真:ホンダ、トヨタ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年6月26日号

■ついに登場した新型フリード

2024年6月に登場した新型ホンダ フリード。標準仕様の「エアー」とクロスオーバーの「クロスター」の2種を用意。ハイブリッドは1.5L e:HEVを搭載

 新型のフリードとシエンタは、両車ともに全長が4300mm前後のコンパクトミニバンだ。シエンタは全車が5ナンバーサイズに収まり、フリードはSUV風のクロスターの全幅は1720mm。フリードのエアーは5ナンバー車だがクロスターは3ナンバー車だ。

 居住性は一長一短だ。身長170cmの大人6名が乗車した場合、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシ1.5個分に調節すると、フリードでは3列目の膝先にも同程度の余裕が生じるが、シエンタの膝先は2列目の背面に触れる。

 その代わりシエンタは、薄型燃料タンクの採用で3列目の床と座面の間隔がフリードを40mm上まわり、腰が落ち込んで膝の持ち上がる姿勢になりにくい。

現行シエンタは2022年8月に登場。1.5Lハイブリッドはシステム出力116psで、WLTCモード燃費は25.3~28.2km/L

 3列目の格納方法は、フリードは左右に跳ね上げる方式で操作しやすい。シエンタは3列目を2列目の下に格納するから、格納状態では3列目が荷室に張り出さずスッキリするが、格納の作業では2列目を動かすから面倒だ。

 よってシートアレンジを頻繁に行うならフリード、通常は格納して荷室に使い、稀に多人数で乗るならシエンタがいい。

 ハイブリッドの動力性能は、モーター駆動が中心のフリードが力強く滑らかだ。WLTCモード燃費と価格は、フリードで主力のe:HEVエアーEXの6人乗りが25.4km/Lで304万7000円。シエンタハイブリッドZの7人乗りは28.2km/Lで291万円になる。

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