タイヤの空気はパンクしていなくても徐々に抜けていくため、定期的な点検と調整が欠かせません。自宅にエアーコンプレッサーや空気入れがあれば良いですが、そうでなければ給油と同時にガソリンスタンドの空気入れを使うことがあるかもしれません。そんな時に重宝するのが、全長50mmにも満たないL字型の金具です。スクーターから大型車まで、どんなバイクにも使えるエアーバルブエクステンションを紹介します。
文/栗田晃 Webikeプラスガソリンスタンドの空気入れのエアーチャックはストレート型が主流
バイクに乗っても乗らなくても、パンクしていなくても自然に抜けていくのがタイヤの空気。街中を走っているバイクの中には「そんなに潰れていても気がつかないの!?」というほど空気が抜けた状態で走っている車両もあります。
乗り心地や走行性能に深く関わる空気圧は、タイヤメーカーのホームページによれば一か月で10%ほど低下することもあるそうです。そのため、定期的なチェックと調整は不可欠なのです。
バイクでも自動車でもエアーゲージで空気圧チェックを行い、規定値より低下していればエアーバルブにエアーチャックをつないで空気を入れるのがタイヤメンテナンスの流れですが、バイクと自動車ではエアーチャックの適正形状が異なります。
一般的に販売されているエアーチャックや、ガソリンスタンドの空気入れサービス用に備え付けられているダルマタイプのエアータンクに付いているエアーチャックは、多くの場合ストレート型と呼ばれるものです。
これはエアーバルブがホイールリムから外側に向かって取り付けられていることが多い、自動車用タイヤでは何の問題もありません。しかしエアーバルブの先端がリムからホイールの中心に向かって立っているバイクのタイヤにとっては使いづらいことこの上ありません。
エアーバルブを大きく傾けることで、ストレート型チャックを押しつけられることもありますが、バルブの損傷につながるリスクがあるためおすすめできません。
スーパースポーツモデルやアフターマーケットのスペシャルホイールの中には、エアーバルブがリムから横向きに取り付けられているものもあり、この場合はストレート型のエアーチャックがスムーズに使えますが、多数派とは言えません。
またエアーチャックにも、ストレート型以外にエアーパイプと先端部分が直交するL字型やT字型の製品があり、自宅にコンプレッサーがある場合にはそれらを使えば不便さを感じることはありません。
ただしエアーチャックを持ち歩いても、外出先でガソリンスタンドなどのホースに差し込めるとは限りませんし、エアーゲージのチャックがストレート型であればやはりホイールやブレーキと干渉してしまいます。
こうした場面で役に立つのが「エアーバルブエクステンション」です。
ホイールハブやディスクローターとの干渉を避けるためのL字型形状
エアーバルブエクステンションはさまざまなメーカーやブランドから販売されていて、固有の製品名はまちまちですが、純正のエアーバルブに接続して向きを変えるという機能は共通しています。
キャップを取り外した純正エアーバルブにエクステンションをねじ込むと、バルブコアが押し込まれてL字型の内部にタイヤ内の空気が流れ込みます。
L字型のもう一方の筒にもバルブコアが内蔵されていて、キャップを外してもタイヤ内部の空気が噴き出すことはなく、エアーゲージやエアーチャックを押し当てることで空気圧チェックや空気圧調整が可能となります。
文字にするとたったこれだけのことですが、このエクステンションによってタイヤのメンテナンスにまつわる不都合が劇的に改善されるのです。
スクーターの小径ホイールはリムからハブセンターまでの距離が短く、ストレート型のエアーチャックを使うことはほぼ不可能です。ところがエアーバルブエクステンションを取り付けることで方向が90度変換されるため、ストレスなくストレート型エアーチャックを使えるようになります。
右側にマフラーやブレーキローターがあり(リヤディスク仕様の場合)、左側にCVTユニットがあるスクーターのリヤタイヤではさらに重宝します。エアーバルブエクステンションをセットした状態で純正エアーバルブにはある程度の柔軟性があるので、大きくひねることなくエアーチャックをセットできます。
フロントホイールに大径ブレーキローターを装着し、リヤホイールにも左右にブレーキロータとスプロケットが装着されたスポーツモデルでも、エアーの通り道を90°振るだけのエアーバルブエクステンションが大いに役立ちます。
後付けでエアーバルブの向きが変わる利便性の高さを知ると、はじめから横型エアーバルブを採用している機種やホイールが羨ましく感じるほどです。
それほどまでにタイヤメンテナンスの作業性向上に貢献するのがエアーバルブエクステンションなのです。
車載工具やパンク修理キットに入れておけば出先での空気圧調整がラクになる
自宅にコンプレッサーやT型のエアーチャックがなく、タイヤの空気圧調整はもっぱらガソリンスタンドで行うのであれば、エアーバルブエクステンションをバイクに搭載しておくことをおすすめします。
自宅にエアーがあれば、自宅とバイクの両方にあっても良いでしょう。機能と有用性に対して価格は明らかに安価だからです。
取り付けてあったエアーバルブエクステンションを外す際、ホイール側のバルブコアから若干のエアー漏れが生じるため「せっかく調整した空気圧が変わってしまうのでは?」と不信感を抱くユーザーがいるかもしれません。
しかし数秒にも満たない「プシュッ」と抜ける空気量が、一か月で10%自然減してしまう圧力より多いことはありません。また使いこなして手際が良くなることで、エアーバルブエクステンションのネジを素早く回して、エアーが漏れる時間を短縮することもできます。
何よりも、エアーバルブをグイッと押し曲げる動作から解放される安心感には代えがたいものがあります。
ストレート型エアーチャックによる空気圧調整に少しでもストレスを感じるなら、問答無用でエアーバルブエクステンションを試してみることをおすすめします。
- ポイント1・多くのバイクが使用しているエアーバルブに対して、ストレート型エアーチャックは使い勝手が悪い
- ポイント2・エアーバルブエクステンションで90°向き変えすることで、ストレート型のエアーチャックがスムースにセットできるようになる
- ポイント3・車載工具に追加しておけば、ガソリンスタンドの空気入れを使った調整が容易にできるようになる
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/maintenance/383879/
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