アクティブより、ハンターカブ用のパフォーマンスダンパーが登場。多数のカスタムパーツが存在するハンターカブにおいても、他に類をみない唯一無二の制振装置。これまでにない機能パーツということで、注目度も非常に高い。
そんなハンターカブ用パフォーマンスダンパー。同社よりサンプルをお借りして装着&試運転してみたので、さっそくレビューしてみるよ。

  文/若林浩志 Webikeプラス  

パフォーマンスダンパーとは

パフォーマンスダンパーはヤマハ発動機が開発した制振装置。変形や不快なノイズ、振動を吸収する機構で、車体剛性ではなく車体粘性に注目した、これまでにない機構。元々は自動車用に開発され、その後二輪初の車体制振ダンパーとして「パワービーム」が登場。初期ラインナップはSR、セロー、T-MAX用。その後、四輪用と名称が統一されパフォーマンスダンパーに。
ヤマハ技研の開発した技術だけあって、当初はヤマハ車用のみが設定されていたけど、ヤマハから技術提供を受けたACTIVEから、ヤマハ以外の各メーカー用もラインナップされるように。
ちょうど技術説明会での記事もあがってるので、詳しくはそちらも参考にしてね。

     

ハンターカブ用パフォーマンスダンパーのこだわり

というわけでハンターカブ用パフォーマンスダンパー。JA55、JA65のどちらにも対応してるよ。
ACTIVEでは、これまで中・大型車向けのラインナップを展開してきたんだけど、遂にこの度ハンターカブ用がラインナップされたってわけですよ。

 



 

 小型車向けとしては、KTM 125DUKE(’17-20)用が既に設定されてるけど、国産原付二種用としてはACTIVE初の試みでもある。

 せっかくなので、開発担当の方に色々とこだわりなどを聞いてみたよ。

 



 

本日は宜しくお願いします。
まずハンターカブ向けにパフォーマンスダンパーを設定する際にこだわった点を教えてください。

 苦労した点はありますか?

なるほど、名前は同じハンターカブとはいえ、エンジンも違えば形式番号も違いますもんね。
ほんとは別の車種扱いにしたいですよね。

 



 

 小排気量車ということで、中・大型車とは効果の違いもあったりしますか?

 カブ系って割とフレームがやんちゃですよね。

 制振っていまいちピンとこないんですが、自分でも体感できますかね。

 自分、かなり鈍感というかアレなので、三割に入りそうです。

取り付けは簡単

 さて、話も聞いたしパフォーマンスダンパーも借りれたし、さっそく自分のハンターカブ(JA55)に取り付けをしていくよ。

必要な工具

まずは必要な工具。特別な工具はあまりないけど、制振装置だけにトルク管理はしっかりとしておきたい。
ちなみに六角棒レンチじゃなく、ヘキサゴンソケットにしてるのは、ちょっと届きづらい場所があるから。エクステンションも必要になるのよ。

8mmソケット

12mmソケット

5mmヘキサゴンソケット

6mmヘキサゴンソケット

エクステンション

ラチェットハンドル

トルクレンチ

12mmメガネレンチ

 



 

 一か所、トルクレンチが入りづらい場所があるので、12mmのスパナヘッドをつけたトルクレンチとかあると理想的かも。

取り付けしてみよう

行程をわかりやすくするために、マフラーを外してあるけど、実際にはマフラーを外さなくても装着できるよ。
ただ、ヒートガードは外しておいた方が楽。

 まずはフロント側のステーを組んでおこう。組むといっても組み合わせるだけ。

 



 

 アンダーパイプの上側にある黒い樹脂パーツ(Rフロントステーカバー)に2本のボルト(ソケットボルト8×16)のうち、向かって左側を外そう。工具は6mmのヘキサゴソケット。ちょっと深いところにあるので、六角棒レンチよりもソケットの方が楽だと思う。

 



 

 外したところに、さっき組んだフロント側ステーを仮止め。本締めはまだよ。

 



 

 次はリア側のステーを組んでおこう。穴が一個なのが後側。穴が3個あるのが前側ね。で、JA55の場合はみっつある真ん中の穴に付属のボルトを通しておくよ。

 



 

 Rクランクケースカバーのボルトを2個外そう。ボルトの二面幅は8mm。クランクケースが邪魔なのでエクステンションを使うと楽。

 

 

 配線を留めるためのクリップも外しておいてね。

 



 

 で、さっき作ったリア側ステーを仮締めしたら、前後のステーにパフォーマンスダンパーを仮締め。パフォーマンスダンパーの取付は、ダンパー側が前で、ロッド側が後ね。ロゴステッカーがちゃんと読めるように装着すれば問題なし。

 



 

 最後に、配線クリップを外しちゃったので、付属のタイラップをリア側ステーにある一番下の穴に通して配線をまとめておこう。

 



 

各部をトルクレンチで締めよう

 あとはバランスを見つつ各部を本締め。

 まずはフロント側ステーの車体との取り付け部分。ここは6mmのヘキサゴンソケットで22Nm。

 

 

 

 次にリア側ステーと車体との取り付け部。ここは2本とも10Nmね。

 



 

あとひといき。パフォーマンスダンパーとステーの取り付け部分。20Nmね。
ほんとはナット側にトルクレンチを使いたいけど、シリンダーが邪魔だし、ナット側にうまいこと届くトルクレンチをもっていないので妥協してボルト側で計測するよ。

 



 

最後は前側。ここも20Nm。
こっちは空間に余裕があるので、ナット側にトルクレンチを使うことが出来た。

 



 

 パフォーマンスダンパーとノーマルマフラーとのクリアランスはこれくらい。

 



 

 社外マフラーの場合も試してみた。手持ちのマフラーだと純正よりは少ないもののクリアランスは確保できてた。

 もしかしたらエキパイを内側に追い込んでるマフラーだとギリギリ干渉するかも。とはいえ、パフォーマンスダンパーの位置にちょうど触媒があるとかじゃなければ、大抵のマフラーは大丈夫そう。

 



 

 ともあれ、無事に装着完了。

 



 

 GoProやフォグランプのせいで見づらくなってるけど、実に収まりが良い。

 



 

いざ試運転。パフォーマンスダンパーの効果や如何に

試乗をしてきたんだけど、その前に注意点。
あくまで試運転での体感で自分が感じた印象ね。
車両の状態やカスタム仕様、乗り方によっても印象や効果は違うと思われます。

 ではあらためて。

まず乗り始めて気づくのは振動の少なさ。単気筒らしさをスポイルすることなく、ノイズ的な微振動が大きく減少してる。
ハンターカブで気になる振動というと、グリップやシート、あとステップあたり。ステップに関しては正直そこまで変化ない気がしたけど、グリップとシートに関しては露骨に振動が減ってる。

 



 

というか、単純にグリップとかシートとかの部分部分だけじゃなく、全体的に車体がしっかりとした感じ
かといってフレーム補強とかで車体剛性を高めた雰囲気とも違うのよ。

車体の剛性が上がっても、微振動が消えるわけじゃないじゃん。硬くするだけじゃ振動は消えないからこそラバーマウントとかもあるわけで。
パフォーマンスダンパーに関しては、剛性が上がったというよりも、ゆったりとしたしなやかさで許容度が高くなったというか、誤解を恐れず言えば生物的な感じ。金属をガチガチ組み合わせるというよりも、骨と関節と肉で吸収する雰囲気。これが車体粘性ってやつなんじゃないかな。

 信号待ちをしてて、ふと気づいたのが地面に吸い付くような安定感。

逆にいうとこれまでは振動で微妙に浮足立ってたことに初めて気づいた。ハンターカブってシートが高いし振動もあるから、信号待ちで多少不安定な感じがしてたのね。
細かい振動が吸収されてる影響なのか、妙に路面に吸い付くように安定するので、足つきの悪いハンターカブでも信号待ちが楽になってた。

 



 

さて目的地の有料道路に突入。
パフォーマンスダンパーに期待してるのは、一定速で巡行したときのストレス軽減。
ハンターカブに限らず、カブ系ってある程度高い回転数で巡行してると振動で尻や手がジーンってなるし、乗っててやっぱ落ち着かない部分があるのよね。そういうとこもカブらしくて好きなんだけど。正直言うと、そういうカブと長距離走る自分が好き。

 とはいえ、快適なのに越したことはないわけで。

で、実際に一定速で巡行してみると、実に楽で良い。
ちょうど良い速度と回転数なのに振動が気になるって場面あるじゃん。そういった定速巡行の邪魔になる不快な振動が相当改善されてる。

 マフラーとかサスを交換すると、違いってなんやかんやでわかりやすいけど、パフォーマンスダンパーに関してはフレームの許容度が上がってるというか、文字通りあらゆる場面で少しずつ快適になってる印象。

特に気に入ったのが、アクセルを戻した時。
バーって走っててアクセル戻すとジャーってノイズでるじゃん。でっかいバイクだと、グゥーンって静かにエンブレ掛かるけど、ハンターカブだとノイジーで安っぽかったのよね。でもパフォーマンスダンパーを付けた後は、ノイズが明確に減少してて、こういっていいかわかんないけど高級なバイクになったみたい。
陳腐な表現だけど、ワンランク高い上質さを感じてしまった。

 



 

車体のしなりを緩やかにしている効果なのか、コーナーとかでもより素直な挙動。
挙動が落ち着きつつも不自然に入り込むこともないので。個人的にはかなり好みなハンドリング。アプローチでのクイックさが欲しい人の場合は、サスセッティングで対応しても良いかも。

予想外に良かったのが、微振動とかの細かいノイズは少なくなって、車体の感じが凄く良くなってるのに、エンジンの感触がスポイルされてない こと。

 



 

 フレームとエンジンのバランスってのがあって、フレームが勝ちすぎるとアンダーパワーに感じるはずなんだけど、単気筒エンジンの心地良さはそのままに、不快なノイズが減ることで、よりエンジンを無駄なく使えてる印象すら受ける。

 正直、フレーム自体もしっかりとした、いわゆるフレーム剛性があがった印象も少しある。自分のハンターカブは、前後サスを硬めにしてるけど、ノーマルサスだったらより車体がびしっとした印象を受けるかも。

 ただ、剛性感以上に車体全体のノイズが低減された効果が凄い。車体全体のガチャガチャした感じが落ち着くことで、すべての挙動がスムーズになるし、なによりもハンターカブの挙動やエンジンを邪魔されずに感じることができるのよ。

 ただ、あんまりにもスムーズなのでパフォーマンスダンパー装着前の感触をすぐ忘れてしまうかも。

まとめ

 ハンターカブのノイジーな部分がクリアになることで、正直予想以上に車体の印象が良くなってしまった。完全にワンランク上のバイクに仕上がった感じ。

 アクティブからは各メーカーの車種向けにパフォーマンスダンパーのラインナップを展開しているけど、中でもハンターカブとかの小型向けは特に効果が大きいんじゃないかって気がする。そういえば安宅さんもハンターカブ用は効果がわかりやすいって言ってたし。

 車種専用設計なので、対応車種のオーナーはぜひ一度体感してほしい。正直感動するよ。

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/parts-gears/379092/

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