自転車は子どもから大人まで、多くの方が利用するとても身近な乗り物ですが、5月に改正道路交通法が可決・成立しました。
自転車に関連した100を超える違反項目が設けられ、悪質運転、危険運転には反則金が設けられます。
私たちの暮らしに欠かせない自転車について、どのようにかわるのか調査してみました。
対象者と主な対象行為
16歳以上の利用者に適用され、113の違反行為が対象です。
16歳以上ということは、高校生を含む学生や未成年者も、反則金の支払い対象となる可能性があります。
車やオートバイと同様に、交通違反をしてしまうと、いわゆる「青切符」が交付され反則金を支払わなくてはなりません。
ほんの一部ですが、違反行為を挙げてみると次の通りです。
信号無視
例外的に歩道を通行できる場合でも徐行などをしない
一時不停止
携帯電話を使用しながら運転する
右側通行などの通行区分違反
自転車の通行が禁止されている場所を通る
遮断機が下りている踏切に立ち入る
ブレーキが利かない自転車に乗る
傘を差したりイヤホンを付けたりしながら運転するなど
今回の改正では、自動車のドライバーにも全くかかわりがないわけではありません。
車が自転車の右側を通過する際、十分な間隔がない時は間隔に応じた安全な速度で進行し、自転車もできる限り道路の左端に寄るよう、いずれも罰則付きで義務を課されます。
それぞれの反則金の金額などについては今後検討されますが、5,000円から1万2,000円程度になるのではないかと推察されています。
2024年11月から施行されること
改正道路交通法は、2年後の2026年を目途に施行されますので、もう少し時間があります。
しかし、「自転車での酒気帯び運転」「スマートフォンなどを使用しながら運転」については、2024年11月から以下のように罰則付きで違反となります。
ながら運転
走行中携帯電話等を手で持って通話したり、画像を注視する
→ 6月以下の懲役または10万円以下の罰金
携帯電話などを使用して走行し交通事故を起こす
→ 1年以下の懲役または30万円以下の罰金
酒気帯び運転
3年以下の懲役または50万円以下の罰金
自転車の酒気帯び運転をほう助した者
車両を提供 → 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
酒類提供・依頼して同乗 → 2年以下の懲役または30万円以下の罰金
参照:広島県三次市
さらに、酒気帯び運転とスマホながら運転は、危険な行為を繰り返した人が受ける自転車運転者講習の対象に加わりました。
講習は数千円の受講料がかかるうえ、受講しなければ命令違反として5万円以下の罰金が科せられることになります。
ちなみに、11月1日からペダルを備えた原動機付き自転車「モペット」についても、ペダルだけで走行しても原付きバイクの扱いとなることが明記されました。
自賠責保険への加入やヘルメットの着用などが義務づけられています。
背景には深刻な事故発生率あり
2022年中の交通事故発生件数は30万839件、前年比-4,357件で1.4%減っています。
参照:交通事故総合分析センター
しかしながら、自転車対歩行者事故件数は平成28年から激増しており、
≪画像元:警視庁(pdf)≫
自転車関連事故件数は全体の20%をこえる割合になっています。
現在も悪質な違反には交通切符、いわゆる「赤切符」が交付され、刑事罰の対象として検察庁に送られます。
ですが、違反者の多くは起訴されず、罰則が適用されるケースは少ないのが実情でした。
自転車運転者の取り締まりをしやすくする方法として、刑事罰となる赤切符ではなく、より簡易的な手続きで済む青切符が採用されるというわけです。
ルールの遵守とともに、損害賠償責任保険の確認を
自転車はとても身近で手軽な乗り物ではありますが、使い方を誤るととんでもない事故をひきおこします。
もしもに備えるために、損害賠償保険に加入しているかについても確認しておいてください。
自転車の場合は、自動車保険や火災保険、傷害保険、共済、各種団体保険などの特約として、損害賠償保険に相当する補償が付いている可能性があります。
また、自転車にTSマークが貼られている場合は、TSマーク付帯保険に加入しています。
ただし、TSマーク付帯保険には期限があり、TSマークに記載されている点検基準日から1年以内が有効です。
反則金はルールさえきちんと守っていれば、本来は払わなくてもよいはずのお金です。
暮らしを大きくかえてしまう事故を引き起こさないためにも、今一度交通マナーについて再認識しておきましょう。
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