昨今、雷が鳴るのは夏に限った話ではなくなってきた。中でも夏から秋にかけて、夕立を伴った雷の発生確率が高まるのだ。気象庁のデータによると放電数は8月が最も多く、12月~2月の約100倍にもなるという。雷から体を守るための安全な避難場所として、クルマを挙げる人も多いと思うが、実際の安全性はどの程度なのだろうか。発雷時に使える、クルマを使った正しい非難や防災について、考えていこう。

文:佐々木 亘/写真:ベストカーweb編集部・AdobeStock(トップ画像=Elchin Abilov@AdobeStock)

■音が鳴ったらすぐ避難! 雷は想像よりも怖い

走っていたら突然の雷雨が… 何てこと、少なくないですよね(Ameer@AdobeStock)

 まず初めに、近くで雷が鳴っていて落雷の危険性が高いと判断した場合、避難するべき場所は頑丈な建物の中ということは覚えておいてほしい。

 特に鉄筋コンクリート製などの、ビルや学校などが避難場所として最適である。まずは、ココに逃げること。

 しかし、そうした場所が発雷時には必ずしも見つかるとは限らない。このような場合、クルマへ避難することは、正しい行動の一つだ。

 雷の直撃はもちろん、雷が落ちた物体の近くにいて感電する「側撃」でも死に至るケースは多く、日本国内においては雷による死亡率は7割近い。

 雷に対して正しく怖がり正しく逃げることは、現代社会における必須スキルだ。

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■では本題、落雷時にクルマが安全と言われる理由

「クルマは避雷針」なんて言葉も耳にしたことありませんか(artsakon@AdobeStock)

 雷の正体は、言わずもがな電気である。電気は金属などの導体(電気を通しやすいもの)を伝って流れていくものだ。

 では、クルマが落雷を受けた場合、どうなるのか。クルマのボディは、表面がほとんど金属で囲われている。

 また、タイヤが地面と接しているため、落雷を受けてもボディ表面を電気が流れていき、タイヤを伝って地面に電気を逃がしてくれるのだ。

 中にいる人間には、感電する可能性が低いことから、クルマは発雷時に安全な場所と言われている。

 ただし、乗り方やクルマの使い方を誤ると、安全な車内でも雷の被害を受ける可能性は出てきてしまう。

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■安全なクルマなのか、感電しないかを見極めろ!

とは言ったものの、場合によっては感電の可能性もchanidapa

 まず避けなければならないのは、電気が流れている状態のボディに触れることだ。落雷の危険がある場合は運転をやめて、金属部に体が触れないように注意したい。

 特に盲点なのが、ドアノブやシートベルトの金具など。意外と無意識のうちに、車内では金属と触れ合うことが多いから、発雷時は「避難」に徹することが重要だ。

 また、ソフトトップのオープンカーなど、車の天井部分が金属以外でできている場合、クルマが雷に対して安全な避難先にはならない。

 ソフトトップは雷の衝撃で破損することがあり、乗員を守ることが難しいのだ。すべからく、全てのクルマが安全とは限らないので、ココにも注意を払っておきたい。

 さらに、落雷の可能性が高い場合にはガラス部分からも離れておこう。

 基本的にクルマのように金属が多い物体では、ガラスに電気が流れて感電する危険性は少ない。ただ、稀に雷が窓ガラスへ直撃することがある。

 この時、雷の電流が車内の金属へ向かって流れる可能性があることを知っておくべきだ。

 また、雷が落ちた時の衝撃は、想像を絶するものであり、ガラスは割れ、ダッシュボードなども大きく破損するという事実を付け加えておく。

 万が一ガラスに雷が直撃し、ガラスの下に人がいた場合は、雷の直撃を受けたのと同程度の被害が想定される。クルマへの避難時には、出来るだけガラスの下には入らないようにしよう。

 フロントガラスはもちろんだが、忘れがちなのはサンルーフ。屋根一面が大きなガラスになっている車種も、最近は増えてきた。

 こうしたパノラマルーフ等の装着車は、前述のソフトトップのクルマと同様に、雷の避難先としては適さない。

 発雷時には比較的安全と言われる車内だが、構造や使い方によっては避難場所として不適切な場合もある。

 発雷確率が上がっていくこの時期だからこそ、普段使うクルマが避難先になるのかどうかは、確認しておきたいところだ。

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