2024年4月20日、スーパー耐久が宮城県スポーツランドSUGOで開幕。そこでスーパー耐久機構から記者会見があるというお知らせが来ていた。会見場にはなんとモリゾウさんの姿があったぞ。いったいなにが始まるのよ?

文/写真:ベストカーWeb編集長 塩川雅人

■スーパー耐久は単なるレースから卒業している

モリゾウさん(左)と桑山事務局長の会見

 スーパー耐久機構(STO)事務局長の桑山晴美氏とモリゾウさん(トヨタ自動車豊田章男会長)の2ショットはちょっと新鮮な雰囲気が漂っていた。いったいなにが始まるのだろう、メディアにも緊張感が走る。

 まず発表があったのがスーパー耐久機構は「スーパー耐久未来機構(STMO)」と改称し、一般社団法人となるということだった。

 2018年からスーパー耐久に参戦してきたモリゾウさんだが、スーパー耐久への熱の入れ方はかなりのもの。それはモータースポーツへの情熱はもちろんのこと、開発車両をメインとしたST-Qクラスの設定など「いいクルマ作り」を行うためでもある。

 実際に水素エンジン車両を世界で初めて耐久レースに投入し、年々その信頼性を高め続けているなど未来への投資としてモリゾウさんは挑み続けている。

 2021年からはスバル、マツダもST-Qクラスへの参戦を決めるなど日に日にその規模は拡大し続けている。

■STMOとして「チームやファンに未来を見せたい」

桑山事務局長は亡き夫である、充氏の遺志を引き継いできた

 桑山事務局長は他界した前事務局長であり、夫の桑山充氏の遺志を継ぎ事務局長としてスーパー耐久を2013年から継承してきた。充氏の遺志でもあった「スーパー耐久を自動車メーカーの開発に使ってほしい」という言葉を忘れずに、現状のST-Qクラスの誘致をする形となっている。

 しかしSTOだけでレースの維持をしていくことの困難さも実感してきたという。自動車メーカーが参画し、エントラントも増え、経営やレースの成長を考えればもっとしっかりした経営の母体がほしいということだ。

 そこでスーパー耐久を発展させていくためにも、桑山事務局長は意を決しモリゾウさんに相談したという。「ほかにご相談はされていませんか? それであれば皆によい形になるように考えてみます」と快諾をもらったのだという。

 スーパー耐久はオートサロンと似ているとモリゾウさんは言う。「クルマ好き、チューニング好きなどいろいろな方が参戦できる形が大切だと思っています」。

 今後もスーパー耐久「らしさ」は残した進化を遂げるはずだ。

■スーパー耐久はアジアへ進出する

新たなパワーユニットやカーボンニュートラル達成の研究はスーパー耐久の場でアジャイルに進んでいく

 スーパー耐久は以前よりアジア進出を狙ってきた歴史がある。海外への進出はもちろん検討すべきことだが、モリゾウさんは「海外から日本のスーパー耐久へ参戦してほしい」という。

 スーパー耐久未来機構(STMO)ではモリゾウさんは理事長となり、桑山晴美さんも引き続きSTMOに参画する。

 「旅館で言うと私(理事長)は総支配人です。総支配人はあまり表にでてきませんよね? だからやっぱり女将さんの桑山さんがメインでやりつつ、総支配人はバックアップをしっかりするイメージです」とモリゾウさんは自身の立ち位置を語った。

 今後は富士24時間レースも含めてスーパー耐久のよさは変わらないが、やっぱりよりダイナミックに、そして大規模なレースになっていくだろう。

STMOへの進化はスーパー耐久のよさを失うものではない

「お手並み拝見でも結構です、とにかく見ててください!!」とモリゾウさんは自信を見せる。手の届かない垣根のあるモータースポーツはそれはそれでいいけれど、やっぱりお祭り(モリゾウさんは”村祭り”と表現)としてのモータースポーツがあってもいいよね、というのがSTMOの考えのようだ。

 いい意味で「緩くて」「垣根の低い」スーパー耐久は変わってほしくないが、そこはSTMOもきっちり理解しているようだ。ベストカーもスーパー耐久を盛り上げていきますぞー!!!

 

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