初代エスティマ、初代プリウス、スピンドルグリルを初採用したレクサスGSにC-HRなど、トヨタのデザインが変わり「おっ!」と驚くタイミングがしばしば。最近ではランドクルーザー250がいい例だ。いずれのクルマも、CALTYがデザインを手がけたものだ。その素晴らしい仕事を、最も多くのモデルデザインを任されたセリカを例に、味わっていきたい。
文:佐々木 亘/写真:ベストカーWeb編集部
■CALTYの代表作といえば、セリカXXでしょ!!
CALTY(キャルティ)は1973年にトヨタ自動車がアメリカに設立したデザインスタジオだ。
他社にさきがけてアメリカのニーズや嗜好に応えるため、カリフォルニア州エルセグンドを拠点とし、トヨタ車に従来までとは違う感性のデザインを提供し続ける。
そんなCALTYが、1977年デビューの2代目セリカでトヨタの量産車デザインを初めて手掛けた。
先代とは大きく違う空力重視のデザインで、日本初の三次元曲面サイドガラスが採用されたことでも大きな話題となる。
その翌年にはセリカXX(ダブルエックス)が登場。低く長く伸びたノーズに彫りの深いマスク、鋭く輝く目が日本車然とはしていない。なんともしなやかなボディは、美術品として鑑賞するのもおススメだ。
先代のダルマセリカとは大きく違うデザインは、まさにアメリカン。
ヘッドライトからフロントバンパーの形状は、本家アメリカンスポーツカーの3代目カマロが真似をしたのではないかと思えるほど洗練されていて美しい。
トヨタ、ひいては日本車のデザインに一石を投じるCALTYの緻密な仕事は、ここから大きく飛躍していくことになる。
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■近未来デザインここに極まれり! 5代目セリカは時代の美意識を映した傑作
1989年に登場した5代目セリカ。こちらももちろんCALTYデザインだ。先代のデザインを踏襲しているものの、ボディラインは先代の直線基調から曲線美に変化した。
2代目セリカが彫刻だったら、5代目はアートに近いだろう。
ワイド&ローを強調するフロントバンパーやフォグランプ、滑らかな曲線が有機的に交差しあうサイドミラー。ボディラインは流れるような曲線を描きながら、光の筋を残してリアエンドに流れて溶け込んでいく。
クルマの大きさをあまり感じない美麗なデザインながら、各所を締めることで迫力もしっかりと残しているのだ。
どこから見てもセリカとわかり、どの角度から見ても美しくカッコいい。筆者は5代目セリカのデザインが、CALTYひいてはトヨタ車史上最高のデザインだと思っている。
老若男女、見る人によってクルマのデザインに対する感じ方は異なるが、このセリカだけは、誰が見ても共通に「カッコイイ」と感じるはずだ。
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■最後のセリカ。最新のスポーツカーデザインよりも新しく見えない!?
セリカの最終モデルとなった7代目もCALTYデザイン。鮮烈な印象を残すスタイリングが特徴的だ。
走りと同様にシャープで軽快なボディライン構成と流麗なフォルムは、新しい感性で構想され、見る者を惹きつけてやまない。
「未来のクルマってこんな感じ」を1999年に描き出し、今なおそのデザインに時代が追いついていないようにも思える。
CALTYの手がけたセリカのデザインは完全にアメリカナイズされていない。日本車としては異国感を十分に感じられる思い切ったデザインなのだが、どこかに日本人が安心する形や雰囲気が残っている。
それが単純な海外への憧れとは少し違う、肌になじんだカッコよさに繋がっているのだろう。
セリカがもしも復活するのなら、もちろんデザインはCALTY。そう信じて、CALTYが残してくれたセリカという美術品の数々を愛でておこう。
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