毎年クルマ好きがワクワクするイベントが東京オートサロン。さらにツウが唸るのが日産自動車大学校の学生が作ったクルマたちだ。カスタマイズを学ぶ「カスタマイズ科」を擁する日産京都自動車大学校の作品が、今年もやばいらしいぞ。

文/写真:ベストカーWeb編集部

■学生の募集に辛口評論家も立ち上がる

オープンキャンパスに来た国沢光宏さん(中央青いシャツ)と森田充儀さん(中央灰色のシャツ)

 日産京都自動車大学校といえば全国に5校を構える整備専門学校。整備士を取り巻く環境は厳しい声があるのも事実だが、自動車業界としても整備士がいなければ安全な自動車社会は作れないし応援するしかない!!

 ということで自動車評論家の国沢光宏さんも立ち上がり、入学を検討する高校生が集うオープンキャンパスに参加することになった。

 国沢さんとベストカーWeb編集長との掛け合いトークショーも行い、クルマの魅力、そして整備士の現実と未来を分析することで少しでも日産自動車大学校の魅力を感じることができたのではないだろうか(たぶん……)。

 さらに日産自動車からリーフなどのデザインを担当し、現在はニスモラインナップのデザインを担当する森田充儀氏も参加。デザイン面での葛藤や、カスタマーを考慮した色使いなど現役カーデザイナーでしか語れないトークショーは、参加者の皆さんと編集担当としても貴重な経験だった。

■新世代のスカイラインをどう作っていくのか

かなり挑戦的にノーズを伸ばす想定をしていた学生。ベース車両のバランスなどを考慮するとかなり大胆だ

 国沢さんと森田さんがさんが来校するなら、ということで日産京都自動車大学校が誇る「カスタマイズ科」の見学となった。

 前述したようにオートサロン、オートメッセなどに向けたカスタマイズ車両を制作しているのだが今年はスカイラインとフェアレディがテーマとなっている。

 まず見学したのが「NEOスカイライン」と名付けられたスカイライン。スカイラインクーペ(CPV35)をベースに、学生が大好きなケンメリスカイラインのエッセンスを投入して次世代のスカイラインを作るという。

サイドはケンメリのサーフラインを意識しているという

 CPV35は担当も愛車として乗っていた車両で最大の魅力は完成されたデザインだ(一説にはポルシェデザインとも)。まあ「スカイライン」という名前が偉大過ぎてやや厳しい評価も多かったが、それでも日産の歴史においてかなり高評価すべきデザインだろう。

 そのスカイラインクーペに大胆にメスを入れる。しかもこれまた歴史の深いケンメリをテーマに……。現状では丸目ヘッドライトを採用し、ケンメリのサーフラインをイメージさせたデザインになるという設計だった。

 仮に作られたボンネットを見るとかなり思い切った加工を施すようだった。そこで森田氏がアドバイスを送る。

「たしかにケンメリは角がたったデザインだったけれど、そのままでやるとバランスがおかしなことになる。僕なら少し丸みを帯びたようにするかな。もちろん角はスパッと落とすけれど、そのいいところの塩梅を探るのがポイントだと思います」。

 スカイラインはファンが多い車種であると同時に、それぞれに思い出が詰まったクルマでもある。学生たちはどう挑むのだろうか……見ているこちらもソワソワしてきた……。

 だからこその難しさ、そして達成感はかなりのものだ。応援しているぞぉ!!!

■市販してもいい!? フェアレディZ「シューティングブレイク」

ぱっと見の完成度は超高い!!!!

 もう1台はM35ステージアをベースにフェアレディZのスポーツワゴンを制作している。フロントマスクは現行フェアレディZを移植しており、すでにその雰囲気は抜群にかっこいい。

 ただリアゲートがステージアはかなりスパッと切ったもので、フェアレディのボリューミーなイメージとはちょっと合わない。そうなるとステージアのフレームを切ることとなり、車検取得が前提の京都校は「ひずみ試験」に挑むことになった。

 学生はリーフのリアゲートを移植してこの難関に挑むという。ぱっと見はまとまっているこのクルマだが今度は国沢さんからのアドバイスがあった。

「ほら、ワゴンというとちょっと実用性をイメージするじゃない? だからシューティングブレイクとかこじゃれた名前のほうがZらしさがあるよね」。

リアゲートはリーフを移植。ブルーの部分がリーフのそれだ

 元はと言えば猟犬を荷台に乗せてハンティングにいくクルマがシューティングブレイク。通常のサルーンなどを改造して誕生している車種も多いが、まさに今回の学生のフェアレディZスポーツワゴンのイメージにぴったりだろう。

 学生たちがシューティングブレイクと名付けるのかは自主性に任せられるが、こちらのクルマは確実に人気を得る宿命を負っているクルマになるだろう。若さ溢れる2台に今後も期待してほしい。

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