ポルシェ『911ターボ』(Porsche 911 Turbo)が登場してから50年になる。1974年にパリモーターショーで初めて一般公開された911ターボは、モータースポーツの技術が市販車へ移行した象徴的なモデルだ。
ポルシェ・ヘリテージ&ミュージアムのアヒム・ステイスカル部長は、「ターボシリーズほど、ポルシェの革新的な企業姿勢を鮮明に反映しているモデルはない」と述べている。
初の911ターボ、「911ターボ No. 1」は、実は市販車ではないワンオフだった。1974年の夏、創業者フェルディナント・ポルシェの娘ルイーズ・ピエヒが70歳の誕生日に受け取ったマシンがそれだ。
240psのパワーを誇るこの車は、1975年からの市販仕様と異なり、911カレラのナローボディを持ち、“Turbo”のロゴではなく“Carrera”のロゴを装着していた。また、オーストリアの山岳風景を色鮮やかに見るために、フロントガラスの色付けを避けたという逸話もある。グローブボックスにはLPのイニシャルと「Turbo-Porsche No. 1, Stuttgart-Zuffenhausen, 29 Aug. 1974」の文字が刻まれたプレートが装着されている。
4月25日から28日にかけて、ドイツ・シュツットガルトで開催されるレトロクラシックス2024にて、ポルシェは「Beyond Performance - 50 Years of Porsche Turbo」と題した記念イベントを行なう。イベントは、クラシックカー愛好家やスポーツカーのファンに向けたもので、ポルシェのターボ技術が誕生してから50年の歴史を振り返る。
イベントでは「911ターボ No. 1」が展示されるほか、1975年の「911ターボ3.0」クーペや、1996年の「911 GT2」、軽量レーシングカーの「911 GT1」(1998年)、ポルシェエクスクルーシブによって製造された「911ターボS」(1998年)といった、希少で非常に速い車が展示される。
◆レトロクラシックス2024展示予定
911ターボ3.0クーペ(1975年)
シルバーグリーンダイヤモンドに塗装された個体は、最初に量産された30台のうちの1台。ミラーは「カレラ」のもので、車体と同色に塗装されている。幅の広いウィングは手作業で車体に装着されたという。
911 GT2(1996年)
ウィングが延長され、エアインテークを追加した。リアウィング側面にエアダクトの開口部がある。グラム単位で軽量化が図られ、スパルタンな仕様になっていた。ドアやボンネットはアルミ製、リアとサイドウィンドウは薄いガラス製で、断熱材は省略されていた。ツインターボエンジンは標準モデルより20PS高いパワーを発揮した。
911 GT1(1998年)
重さわずか970kgの軽量レーシングカー。スチールではなく、カーボンファイバーとプラスチックからなるモノコックボディシェルが特徴だ。水冷3.2L・6気筒エンジンは2つのターボチャージャーを備え、約404kW(550ps)を発生する。燃料消費が非常に少なく、ルマン耐久レースにおいて決定的な利点となった。
911ターボS(1998年)
ポルシェエクスクルーシブによって製造された911ターボSはわずか435台。空冷ツインターボボクサーエンジンは331kW(450ps)を発揮し、993世代で最も強力なモデルの一つだった。シャーシは15mm低くされ、ボディの前後にスポイラーを備えたエアロパッケージが特徴だ。車内ではほとんどのプラスチック部品が革で覆われている。
911ターボS“Duet”(2020年)
ポルシェと航空機メーカーのエンブラエルとの協力による製品だ。『フェノム300E』ビジネスジェットを選んだ人は、ツートンのシルバーでカスタマイズされた911ターボSを購入できた。650PSのスポーツカーは、多くのディテールで航空を彷彿とさせる。例えば、サイドエアインテークやサイドウィンドウのトリムは、ジェットエンジンの外観を思わせるブリリアントクロームになっている。そしてジェット機の登録番号がリアウィングの下および車のキーに表記される。さらに航空機の翼にある警告文を模して、ドアシルのパネルに「NO STEP」と書かれている。
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