注目を浴び、人々の記憶に残っていくいいクルマ。対して、決して目立つ存在ではないが、ちょっと不思議な魅力を放つ「地味にいいクルマ」。今回は清水草一氏がそんな地味にいいクルマの歴代トップ3を考えた!

※本稿は2024年6月のものです
文:清水草一/写真:日産、マツダ、スズキ、トヨタ
初出:『ベストカー』2024年7月26日号

■「地味にいいクルマ」歴代トップ3

清水草一氏が選ぶ、地味にいいクルマの歴代1位は初代日産 プリメーラ

●清水草一が考える「地味にいいクルマ」の条件
一、見た目が地味
一、メカ的に地味
一、知名度が地味
一、売れゆきが地味
 これらのどれかを満たしつつ、カーマニアの心に刺さるいい走りを持つのが「地味にいいクルマ」である。

 第1位は、誰がなんと言おうと初代プリメーラだ。発売は1990年。もはや中高年しか知るまいが、初代プリメーラこそ地味にいいクルマの「神」なのだ!

 見た目は全高が高めの堅実なセダン。実に欧州車的でバランスは最高だったが、派手さはなかった。

 内装も地味で堅実。パワーウィンドウスイッチがセンターコンソール側にあって地味に不便な点も得点が高かった。

 最高出力は2リッターで150馬力とこれまた堅実。それでいてハンドリングは驚異的に素晴らしく、フロントマルチリンクサスペンションがもたらす接地性のよさは感動モノ。欧州車的な乗り味にカーマニアは狂喜した。これを超える「地味にいいクルマ」は、もう出ないかもしれない。

■ハンドリングが良かったマツダ プレマシー

第2位はマツダ プレマシー(最終型)。マツダ車の「地味にいいクルマ」歴代ベストがコレだ。見た目は地味と言うよりカッコ悪いけど、ハンドリングは最高

 第2位は最終プレマシーだ。マツダの不人気ミニバンで、これを最後に絶版になったが、これまたハンドリングが恐ろしくよかった。接地感ビンビンという点は初代プリメーラと同じ! 接地性は「地味にいいクルマ」のカギである。

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■知る人ぞ知る名車スズキ SX4

第3位はスズキ SX4。スズキの歴代ベスト。日本ではウケなかったデザイン+地味なメカ、ハンドリングは欧州仕込みで抜群!

 第3位はスズキ SX4。知る人ぞ知る名車だ。デザインはジウジアーロのイタルデザインながら、日本人的にはかなり地味。メカも地味。だけどハンドリングが超最高! 接地性抜群! 思い出すと涙が出る。

■初代プリメーラは本当に地味だったのか?

初代プリメーラは、地味ながら売れた良いクルマだったのだ

 初代プリメーラは地味じゃないのでは? という声もある。確かに名車の誉高いし、売れゆきもかなりよかった。

 ただそれは、あまりにもいいクルマだったがゆえで、デザインやメカは間違いなく地味だった。地味な超いいクルマなのによく売れたという、国内市場では稀有な例だったのである!

 そのキモは、地味ながらバランスの取れたデザインと、優れたパッケージングにあったのではないか。チーフデザイナーは前澤義雄氏。今年もお墓参りに行きます。涙。

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