日産のラインアップの中でも、長い歴史を持つスカイライン。しかしながらその状況が芳しくないのは確かだ。セダンが不人気というのもあるが、同クラスのライバルに比べても勢いが感じられない。スカイラインが今後どうあるべきなのか?
文:西川昇吾/写真:日産
■スカイラインの現状は?
現行型となるV37型スカイラインは2014年に登場した。もうモデルライフは10年近くになる。
いくつかの改良を繰り返して現在に至る訳だが、現在は標準グレードとなるGT系グレードと、スポーツグレードとなる405PSエンジンを搭載する400R、そして400RをベースにNISMOがチューニングしたNISMOがある。
以前はハイブリッドやダウンサイジングターボの2.0Lターボといったパワーユニットがあったが、現在は3.0LのV6ターボのみのラインアップだ。今となっては貴重なFRレイアウトを採用し、V6ターボのみという思い切ったラインアップは、走りのイメージをとても大切にしている印象だ。
そんなスポーツセダンのスカイラインだが、販売状況は芳しくない。2023年の1か月平均登録台数は174台となっている。
セダン不人気だから仕方がないと思われるかもしれないが、販売台数的には日本国内での販売が終了したカムリよりも売れていないし、同じFRセダンであるISと比べても大差を付けられている(こちらは1か月平均登録台数780台)。この状況はどうして生まれているのだろうか?
■スカイラインの課題とは?
まず現行のスカイラインの課題点として基本設計が古いことが挙げられる。10年もフルモデルチェンジしていないのだから当然だ。
しかし、同じ日産のGT-Rは17年もフルモデルチェンジをしていないが熱狂的な人気を誇っている。また、ライバルと言えるレクサス ISも、現行モデルは10年以上だ。つまり、古いことだけがスカイラインが売れない理由ではない。
他にスカイラインの課題を挙げるとすれば、運転支援システムが古いことだろう。一時期プロパイロット2.0を展開していたこともあったが、グレードラインアップの変更により無くなってしまった。同クラスのライバルと比べても旧世代的な運転支援システムしかないし、サイドブレーキは未だに足踏み式だ。
スポーツカーならいざ知れず、ニーズとして高速移動時の快適性も求められるセダンでこのような装備内容だと、ライバルに大きく差が付けられてしまうと言える。
■スカイラインの人気を復活させるには?
ではスカイラインが復活するためにはどうすればいいのだろうか? やはりビッグマイナーチェンジで新鮮さ得て、商品力を増すことだろう。現にライバルであるISはビッグマイナーチェンジでエクステリアデザインも大きく近代的に生まれ変わり、運転支援システムも満足度の高いものになった。
理想で言えばフルモデルチェンジだが、コスト的な現実問題を考えると難しいところだろう。
ISのビッグマイナーチェンジはレクサスだから出来たことという声もあるかもしれないが、フェアレディZが実質ビッグマイナーチェンジで話題を呼び、売れるようになったことを考えるとスカイラインのビッグマイナーチェンジだって出来るはずだ。
スカイラインのビッグマイナーチェンジで望まれるのは運転支援システムの強化、そして現代的なエクステリアデザインだろう。
伝統の丸目4灯のテールライトは残すべきだが、灯火類のLEDの使い方を見てもいささか古臭さを感じる。クルマを買う理由にデザインは大きな要素を占めるので、ここはひとつスカイラインの伝統と現代のトレンドが融合したデザインを期待したい。
以前、スカイラインの開発中止が報道され話題となったが、日産はこれを公式の場で否定した。それならばスカイラインがより魅力的になることに期待していいはずだ。日産伝統のモデルの今後に期待したい。
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