7月31日、認証不正があったとして国土交通省から是正命令を受けたトヨタが、再発防止に関する報告書を同省に提出した。トヨタでは経営による認証への関与が不十分だったとし、経営層による開発・認証業務の理解促進を図るとともに、新たに社内審査官を任命し、認証試験に立ち会わせるという。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部
■G-CQOの宮本眞志氏が認証の責任者に就任
トヨタでは、認証作業での異常に気づき、すぐに行動できる仕組み・体制の見直しを速やかに進めるとして以下のような具体策を盛り込んだ。
まず、今回不正が起きた背景には認証業務全体を見渡せる責任者がいなかったということが挙げられる。今回CTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)の中嶋裕樹副社長が開発の総合判断責任者、G-CQO(グローバル・チーフ・クオリティ・オフィサー)でカスタマーファースト推進本部本部長の宮本眞志氏が認証の総合判断責任者とそれぞれの責任を明確化した。
認証業務の内部監査を充実させるため法規主監を任命し、その法規主監が認証体制の有効性を評価し、G-CQOとCRO(チーフ・リスク・オフィサー)長田准執行役員に報告する体制を作る。さらにCROが内部監査室によるプロセス監査の実施を検討する。
不正を防ぐための開発や認証全体の業務管理手法も改善する。ここではCTOの統括責任下で車両カンパニープレジデントが責任者となり、次の工程への移行可否を判断するとし、判断を透明化するとともに、柔軟に計画が変更できるようにした。
さらに開発データを認証試験に用いる際は、認証主管部署が試験指示書(指示かんばん)を発行し、法規主管が試験に立ち合い、指示通り実施されていることを確認するという。
いっぽうで不正が起こりうるというリスクを織り込んだ業務の実施体制も構築する。G-CQOが任命する法規主管を「社内審査官」として配置、認証試験に立ち会わせ、実施状況や正確性を確認する。
併せて社内審査官は認証試験の能力や設備が法規要件を満たしているか、時間的制約などが試験の適切を妨げていないかを確認する役割も担うとのことだ。
■G-CQOが社内に認証の審査官を任命する
再発防止策を国土交通省に提出した佐藤恒治社長自らが記者団に説明した内容の骨子は以下の通り。
国土交通省から是正命令を受けた際、特に指摘されたのは大きく2点。ひとつは経営陣の認証業務への関与が不十分ということとエビデンスとしてのデータ管理が不十分という点だという。
認証業務の規定や手順の整備といった基盤の改善が急務であり、経営として現場に依存しすぎていたことを反省し、現場がモノを言える環境づくりに加え、異常が見つかった際、それを止め、すぐに行動して改善できる組織作りを経営と現場が一体となって進めていくという。
そして認証業務は現在約400名が担当しているが、リソーセスとして約10%の増員を検討しているという
また、現在出荷停止中のカローラ フィールダー/アクシオ、ヤリス クロス、そしてノア・ヴォクシーに関しては9月をめどに出荷の再開を目指すが、3万台規模の影響が出ていることを明らかにした。
経営の責任については役員報酬に反映させるかたちを取ると明言した。
最後に今後の改革については、会長、社長はもちろん経営陣が現場に足を運び、現場を知ることに加え、現場から声が上がる体制作りを進めたいと改めて強調した。
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