三菱ふそうトラック・バス(以下「MFTBC」)が京都市内で、バッテリー交換式のEVトラックの公道実証を開始する。この実証では、米国カリフォルニア州に本拠を置くAmpleの交換モジュールを装着したMFTBCのバッテリー交換式のEVトラック『eキャンター』を使用する。

京都市内に設置したAmpleのバッテリー全自動交換ステーションにおいて、ENEOSホールディングスと連携してeキャンターのバッテリーの交換を行う。ヤマト運輸がバッテリー交換式のeキャンターを京都市内の集配業務に使用する。

バッテリー残量が少なくなったeキャンターがバッテリー全自動交換ステーションに入庫すると、ロボットが自動でバッテリーを交換する仕組み。バッテリーの交換時間は5分を目標としている。

MFTBCは2023年のジャパンモビリティショーにてこの技術を展示しており、次の段階として公道での実証を行う。MFTBCおよび参加各社は、実用における利点や課題の洗い出し、技術の拡張性の確認を行い、日本における将来的な実用化の検討を進めていく。

この実証は、MFTBCにとってEVトラックのさらなる普及拡大を目指すうえでの重要な取り組みだ。2017年に国内初の量産型電気小型トラックとしてeキャンターを発売以来、MFTBCは輸送部門の脱炭素化をけん引してきた。MFTBCは全世界のユーザーの下で1200万km以上を走行している既存のeキャンターに加え、バッテリー交換式EVトラックの商業化を目指す。それによって、従来のディーゼル小型トラックに匹敵する多様な用途への対応をEVトラックでも可能にし、より多くのユーザーの物流のカーボンニュートラル化に貢献する。

2023年3月に発売されたeキャンターの新型モデルは、3つのバッテリーサイズで航続を選べるほか、国内モデルでは28の型式によって多様な架装・用途に対応できるのが特徴。排出ガスゼロや低振動、快適性、静粛性といったEVトラックならではの価値を提供している。

一方で、バッテリー交換式EVトラックは、航続にとらわれない運用やさらなる用途拡大、車両非稼働時間の大幅な短縮などにつながり、EVトラック利用の可能性を広げることができる。また、交換式バッテリーは技術の進化に合わせて最新のものを導入すれば、ユーザーは常に最先端のバッテリーを利用できる。

今回の実証では、ダイムラー・トラック・ファイナンシャルサービス・アジアが、eキャンター専用リース商品「FUSOグリーンリース」を用いて、バッテリー交換式EVトラックのビジネスモデルの検討も行う。

あわせて、バッテリー全自動交換ステーションが新たなエネルギー供給インフラとして普及していくための運用ノウハウ蓄積と将来的な商業化に向けた課題の洗い出しを行う。Ampleのバッテリー全自動交換ステーションは、EVトラックのみならず、乗用車と共用できる点が大きな強み。Ampleのバッテリー全自動交換ステーションをEV向けバッテリー交換のインフラとして定着させることができれば、脱炭素社会の構築に向けた社会全体の課題であるゼロエミッション車両の普及において、大きな原動力となると見込まれる。

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