技術の進歩により、年々高性能化を続けるタイヤ。グリップ性能、ウェット性能、静粛性にロングライフ。だが一方で、カーディーラーやタイヤ専門店で話を聞くと、タイヤの性能が上がるほど「ライフが短い」という声が増えているという。ライフ性能も上がっている最新タイヤの寿命が短い理由とは?
(本記事の写真はすべてイメージです)
文:佐々木 亘/写真:ベストカーWeb編集部:AdobeStock(トップ画像=ronstik@AdobeStock)
■静粛性と運動性能が上がった結果、タイヤは減少していく
物価高や円安の影響は、タイヤ販売にも影響を残す。夏タイヤもスタッドレスタイヤも、原材料価格高騰などのあおりを受け、各メーカーが続々と値上げを発表しているのだ。お財布には、かなり厳しい。
そうなると、タイヤ1セットで長く走りたいと思うのがユーザー心理。予算内で少しでもいいタイヤを装着し、長く使いたいと思うだろう。
ただ、最近の傾向としては、タイヤの性能が上がれば上がるほど、タイヤの実質的な寿命が短くなっているという。特に、静粛性を売りにしたコンフォートタイヤや運動性能を売りにしたスポーツタイヤでは、この傾向が顕著らしい。
また、乾燥路面での静粛性を高めたスタッドレスタイヤでも、短命になる傾向があるという。タイヤの快適性が上がると、日常的に使うアレの頻度が上がるから、タイヤライフが削られるというのだ。
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■よく走り、よく止まるタイヤはブレーキで摩耗していく
最近はスタッドレスタイヤの進化が目覚ましい。雪面やシャーベットはもちろん、乾燥路面でも夏タイヤに引けを取らないほど、静かでよく走るタイヤが増えた。
すると露出するのが、スタッドレスタイヤの短命問題。乾燥路面を走る頻度が高いから、スタッドレスタイヤが減りやすいと思いきや、根本的な原因は違うところにあるというのだ。タイヤ専門店のスタッフはこう話す。
「タイヤを減らす一番の原因はブレーキです。コンフォート性能が高くなったスタッドレスでは、クルマの加減速も結構派手になります。すると、平均速度は上がり、ブレーキタイミングも遅くなる。ただそこで強めにブレーキをかけてもタイヤが音を上げずに止まってくれるため、ドライバーはブレーキを多用するようになってしまうのです。これが、タイヤの寿命を短くする、大きな原因となっています」
雪上性能が高ければ高いほど、タイヤが柔らかいので減りやすいと筆者も思っていた。しかし根本的な原因は、スタッドレスタイヤでも派手な運転ができるようになったところにあるらしい。
確かに、最新のスタッドレスタイヤを装着すると、夏タイヤよりも静かでキビキビ動くものも増えている。そのため、ドライバーのペダル操作はより激しくなるのだろう。
一昔前のスタッドレスでは、タイヤがフニャフニャでスピードを上げて走ろうなどとは思わなかった。それが、夏タイヤ同様の性能を持ち合わせてしまったことで、ユーザーのスタッドレスタイヤに対するイメージや、走りが変わってしまったということか。
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■タイヤを守る運転はお財布に良心的///
タイヤ性能のアップで、日常的に行われている激しい加減速は、タイヤライフを削り、燃費を悪化させる。さらにペダルを絶え間なく踏みかえる運転は、同乗者にも不快な思いをさせるだろう。高性能タイヤに頼って、激しい運転をすることは害しかないのだ。
運転の基本である、流れに乗ってスムーズに走ることは、タイヤにも燃費にも優しい。それは地球環境にも優しいし、お財布にも優しいということになる。
タイや摩耗の真の原因は、私たちドライバーの粗目なペダル操作にあった。いいタイヤを履くと、自然にスピードが上がりペダル操作は増えてしまう。タイヤやクルマのことを考えて優しく運転することが、自分にも優しさが返ってくることになると、肝に銘じておきたい。
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