三菱自動車が技術支援する「チーム三菱ラリーアート」は、2024年8月11日(日)~17日(土)にタイで開催されたアジアクロスカントリーラリー2024(通称アジクロ)に新型トライトンで参戦。一昨年(2022年)総合優勝を飾ったチャヤポン・ヨーター選手がラリー全般を引っ張り首位を独走していたが、レグ5でトラブル&無念のリタイヤ。チーム三菱ラリーアートの最上位は田口勝彦選手の総合5位だった。
文:ベストカーWeb編集部/写真:三菱自動車
■ベース車は新車、伸びしろはたっぷりある!!
今年のアジアクロスカントリーラリー2024は、8月11日、タイ南部の都市スラタニエリアのランドマーク、時計塔広場でセレモニアルスタートを実施。レグ1からレグ6まで総走行距離2075.54km、うち競技区間939.58kmで競われた。
昨年(2023年)7月にタイで正式発表され、同年12月から日本でも発売された新型トライトンはT1仕様=改造クロスカントリー車両で参戦。総合優勝を目指して4台がエントリーし、2022年以来の優勝を目指すべく激走した。
優勝候補でありエースドライバー(前年は総合3位)のチャヤポン・ヨーター選手は連日上位タイムを重ね、最も過酷となったレグ4終了時点で2位以下に20分以上の差をつけ総合首位に立っていたが、レグ5でまさかのマシントラブルにより走行不能、そのまま無念のリタイヤとなった。
またアジアパシフィックラリーで2度の総合優勝を獲得したラリードライバー田口勝彦選手は2年目のアジクロ挑戦。7番手スタートからナビゲーションの難易度が高いコース設定に手こずりながらも丁寧な走りで堅実に毎日のSSを走り切り、昨年の総合8位から順位を上げて総合5位入賞と、今回の三菱車最上位となった。
社員ドライバーとして参戦した小出一登選手は総合24位、4台目を駆るサクチャイ・ハーントラクーン選手は総合27位となった。
なお総合1位はマーナ・ポーンシリチョード選手(トヨタ・ハイラックスレボ)で、総合2位はスワット・リムジラピンヤ選手(いすゞ・D-MAX)。
■チーム三菱ラリーアート総監督、増岡浩のコメント
「今年のトライトンは、本当にいいクルマに仕上がりました。ライバルとの排気量差を埋める力強い動力性能を見せて、一時は総合首位にも立ちましたが、結果的に優勝できなかったことは残念です。しかし、長年にわたって培ってきた三菱自動車ならではの悪路走破性も十分発揮できたので、そこは評価に値すると思います。日本に戻ってからは初参戦した社員ドライバーの小出選手を中心に、今回の参戦で得た貴重なデータ、知見を市販車開発に反映してもらい、『過酷なモータースポーツの現場での経験に導かれたクルマづくり』の新たな1ページを作っていってほしいと思います。また来年に向けて、しっかりテストで走り込んで、完全復活したいと思います。協賛各社様からの多大なるご支援、世界各地のファンのみなさまからの熱いご声援、本当にありがとうございました。」
■今回、新たにサポートカーとしてデビューした『デリカミニ』でチーム三菱ラリーアートに帯同した自動車ジャーナリストの竹岡圭さんのコメント
「今年のAXCRはロックセクションあり、川渡りあり、想像以上に過酷なラリーでした。しかもコースが難しい。生命力の強いタイの草花たちは、ラリー車が走るルートを表すコマ図を作ってからラリー本番までの期間で伸び放題になってしまうため、日本人の感覚ではとても道に見えないような場所にも入っていく必要があるので、コドライバーのナビゲーションはさぞかし大変だったと思います。私はサポートカーの『デリカミニ』のドライバーを担当しましたが、行く先々で『デリカミニ』とデリ丸。は大人気! 街中でちょっと停めると撮影会が始まり、走行中もビデオを撮られたりすることが多々ありました。『デリカミニ』はバンコク周辺では、大人気モデルになるかもしれませんね。もちろん走破性もバッチリで、タイの赤土オフロードも、ひび割れて穴だらけの舗装路も、頼もしく駆け抜けてくれました。」
過酷なラリーでタフさとスピードを見せつつ無念の結果となった三菱トライトン。三菱のスリーダイヤと「ラリーアート」の名前がモータースポーツの現場に帰ってきてくれたのは嬉しいが、勝ってこそ「三菱らしさ」の復権となる。
ベース車のトライトンが「フルモデルチェンジしたて」ということで、ラリー車両としての伸びしろはまだまだある。そのうえで爪痕は残した。あとは勝つだけだ。来年こそ全車完走、総合優勝を勝ち取ってほしい。
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