ついに発売されたランクル250。ファーストエディションと通常版という、二本立てでの販売がスタートした。その販売方法を調べていくと、お店ごとに違った特色を持っていることが分かったぞ。各地の販売店の様子や、今後の供給見通しなどを含めてレポートしていく。
文:ジョー城ヶ崎/写真:TOYOTA
■自由な販売方法だからこそディーラーの悩みは尽きない
4月18日の13時30分、ランクル250の受注計上がスタートするタイミングだ。販売現場では、アルヴェルの時のような争奪戦感は薄かった。ショールームでの商談渋滞が起きることもなく、スムーズに人が流れていく。
それもそのはず、トヨタディーラーでは、かなり前からランクル250の販売準備を始めていた。今回の販売方法は、転売対策をしっかりと取れば、販社側が自由に決められるタイプ。しかし、自由だからこそ、その方法に悩むディーラーが多かったようにも感じる。
実際に、ディーラーではどのような販売方法を選択していたのか、具体的に見ていこう。
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■強制ローンやリースは少ない!? 購入辞退も多いってマジ?
先日のランクル70登場時にあった雁字搦めの販売方法は、ランクル250では少なくなったように感じる。
ただ、販売条件の中へは当然のように、「残価設定ローン」や「自社リース」の契約を掲げるところもあった。特に地方へ行くほど、その傾向は顕著である。
強制ローンは絶対に転売されないように、所有権留保の期間を2年ないしは3年設定するための苦肉の策だ。しかし、ユーザー側の金利負担や、リース満了後の車両取り扱いが不明瞭など、転売対策でユーザーの不利益が大きくなるのは、どうにかしなければならない。
具体的な販売方法の多数は、購入希望者を募り販社で抽選を行うタイプ。ローン縛り・リース縛りはセットである。
抽選倍率に関しては、ランクル70の時よりも大幅に緩和されている様子だ。そもそも月販基準台数は2,250台と、ランクル70の5倍以上なので競争倍率は低いだろう。
さらに150系プラドから、価格が大きく上がったランクル250では、事前に購入を検討していたプラドユーザーが、価格を聞いて辞退するというケースが増えているという。欲しい人へ完全に行きわたっているわけではないが、ある程度合格点が出せるくらいの車両供給量にはなってきているのだろう。
それでも地域によっては全く足りていないという場所もあり、ユーザーとメーカーの間に挟まれたディーラーの立場は厳しい。安定供給が約束され、自由に購入できるのは、もう少し先の話になりそうだ。
■顧客との親密度合いで販売を決めるディーラーが多かった
今回のランクル250販売で目立っていたのが、自社客と自社客からの紹介客をメインにした販売方法。販社や営業マンとの親密度合いが高いほど、購入できる可能性が高まるといったものだ。
いつもご贔屓にしてくれるお客様から声をかけ始め、徐々に声がけの範囲を広げていく。特にこの4月中は、新規客には一切販売を行わず、ランクル系の既納客をメインに売ると販社側が決めているケースが目立った。
この方法も、転売対策の一環だ。確実に転売しない人を見抜き、選りすぐって売っていく方法を一定数のディーラーは選択した。ユーザーの素性は知っている状況なので、このケースではローン縛りなどは発生せず、現金一括で購入できることが多いという。
また、混乱を避けるため、既納客メインの販売を決めたお店では、受注開始を発売日から1日遅らせた4月19日とするところも。
新たにランクル250が欲しいと、トヨタディーラーへ駆け込んだ人には気の毒な結果となっているが、世の中の情勢を見れば、こうした販売方法もやむなしか。
また各地のディーラーでは、抽選のやり方にも苦慮している様子が見えた。販売店からは「抽選にするなら、GRヤリスのようにメーカー側でやってほしい。販売方法を販社に任せるなら、トラブルになる抽選は避けたい」という声も上がる。
ランクル70同様、ランクル250も海外需要との兼ね合いで、国内への供給台数は、まだ満足な量とは言えない。トヨタ自体も、超長納期になることは避けたいところだ。長くとも2年間の待ちが確定したところで、ランクル250も受注停止となるだろう。
ただトヨタは、受注停止が永遠に続くものではなく、ある程度の供給量が確保できれば、また注文が再開できるという姿勢を示している。現在受注停止中のランクル300やカタログモデルになったランクル70についても、受注停止のまま生産終了とはならないようなので、そこは安心して再開を待ちたいところ。
販売初日に大混乱とはならなかったが、充足感はまだまだ薄い。クルマが満足に買える世の中に戻るまで、メーカーとディーラーは手を取り合って頑張ってほしい。
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