日本では車両の登録において車庫証明の取得が必須だから、駐車場のサイズが購入車種に大きく影響する。だから日本で高級車を販売するセールススタッフが一番気を揉むのは顧客の駐車場問題だ。しかし、イタリアはちょっと事情が違うようで…。

文・写真:越湖信一

■気付けば必須のチェック項目になった全幅

都心部で良く見られるマンションなどの立体駐車場。車幅に加え、最近のクルマはワイドタイヤが当たり前なので、数字上問題なくても入らないケースは意外と存在している。

 日本ではクルマのサイズ、中でもクルマの全幅に関心が注がれ、輸入車の現地法人のスタッフ達はニューモデルの全幅の数値に一喜一憂する。

 特に機械式駐車場においては数値だけでなく、センサーの具合で微妙なバラツキが生まれ、数値上はギリギリ問題なくとも、駐車不可能だったりするから、現地にデモカーを持っていって無事に入庫できることを確認しないと商談が完結しないケースもある。

 オーナー達も「日本の狭い道にこんな幅広いクルマがフィットするワケはない」とか「自分の下手な運転ではこんな幅広いクルマは迷惑をかけるし…」と、ワイドボディ化にはあまり良い顔をしない。

 世界的に見ても、側突安全基準の強化や、ゆとりあるキャビンスペースへのニーズからクルマが横に広がっていく傾向にある。また、スタイリングの面でも、ワイドなデザインの方がクルマとしての魅力を表現し易い。

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■感覚が違うイタリア人と日本人

 先日イタリアの友人とこの件に関するハナシをしたのだが、どうも噛み合わない。そこには日本人とイタリア人のメンタリティの違いがあると彼は主張するのだ。

「少しくらい横幅が広くなったからといって、運転が難しくなるかね? もちろんイタリアにも細い道は多いさ。しかし、君たちみたいにそんなに相手のことを気にしないね。すれ違いが難しかったって何とか、解決するだろう。それより広い室内があったほうがよくないか?」

 と、全く解さない。つまり日本人は自意識過剰であるというのだ。

 日本では違法駐車どころか、放置自動車に見られてしまうイタリアの駐車事情。各車両の前後スペースの無さが激戦ぶりを表している。

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■日本人はイタリア駐車事情に馴染めない?

 しかし、駐車スペースに関しては彼らも両国間に大きな違いがあることは認める。つまりイタリアには車庫証明というモノが存在しない。実質的に止められるところがあればいいのだ。そして、この点では彼らも少し困ってはいる。

「だいたい昔の家に作った駐車スペースは小さいのが多い。それこそ古いチンクェチェントに合せて作ったモノなんて、今のクルマは入らない。だからそこは今、物置のようになって、その前に道に駐めているよ。イタリアでは建物の外観の改築はそう簡単に認められないから」と。

 イタリアの市街地における道路には青線、黄線の駐車枠があり、居住者にとっても早いモノ勝ちで駐めるから、日本人の筆者からするとかなりのストレスだ。しかし彼らはあまり気にしない。何事も何とかなるという彼らのココロのDNAが根付いているようだ。

 ただし、そこそこ良いクルマとなると彼らもそう言っていられない。当地では自動車盗難も多いし、日本のように月極駐車場がそれなりにあるワケではないからだ。

2代目のフィアット500、通称チンクエチェントは全長約2970×全幅約1320×全高約1320mmという現代では考えられないボディサイズだった。大ヒットしただけにこのクルマで設計した家がまだ数多く残っているのだという。

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