3列シート7人乗りSUVの新型CX-80。そして最強ミニバン、アルファード。インテリアの豪華さ、3列目の広さなど、3列6~7人乗りを買おうと思っている人向けに比べてみたいと思う。

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、マツダ、トヨタ

■3列7人乗りのCX-80とアルファードを比較してみた

3列シート7人乗りのSUV、新型CX-80

 ミドルクラス~ラージクラスの3列シート7人乗りSUVは、エクストレイル、アウトランダー、ランクル250、ランクル300、レクサスRX450hⅬなどがあり、ここにマツダCX-80が参入。

 いっぽう、ミドルクラス~ラージクラス3列シート7人乗りミニバンとなると、ノア&ヴォクシー、セレナ、ステップワゴンのミドルクラス勢。上のラージクラスはアルファード&ヴェルファイア、オデッセイ、別格のグランエースがある。

街中で見かける機会が増えてきた40系アルファード。いまだ受注停止中

 CX-80のライバル車は、3列シート7人乗りのクルマとして考えた場合、高級感やサイズ感、そして価格帯から見て、異種となるが、今回はアルファード&ヴェルファイアと比べてみることにした。

 CX-80のライバルは、「エクストレイルやアウトランダー、レクサスRX450hⅬでしょ」と思う人もいるかもしれない。でも実際のところ、それらのクルマは先代のCX-8含め、3列目の快適性はもはやCX-80の敵ではない。CX-80のホイールベース3120mmの恩恵が絶大だ。

3列シート7人乗りのエクストレイルG e-4ORCE

 エクストレイルの3列シートのすべてに大人が座ると窮屈で、シート形状の違いにより、足元空間は若干の余裕があるが、2、3列目の膝先空間はほとんど確保されない。しかも3列目は床と座面の間隔が不足して、膝が大きく持ち上がる。3列目に座った乗員の足が、2列目の下側にかろうじて収まるが頭上空間も、身長170cmの乗員が座ると頭部が天井に触れる。

エクストレイルの3列目シート

 アウトランダーにしても、身長170cmの大人6名が乗車した時、2列目の膝先空間を握りコブシ1つ分まで狭めても、3列目に大人が座るのは難しい。3列目に身長170cmの大人が座るには、2列目に座る乗員の膝先が1列目の背面に触れるまで前寄りにスライドさせ、3列目の足元空間を最大限度に広げる必要があるのだ。

 レクサスRXもやはり3列目シートはエマージェンシーレベルで、10cm後ろにスライドできるが、床面と座面が15cmくらいしか高さがないので、膝を抱えるような着座姿勢になる。

リアクォーターウインドウのメッキ加飾が特徴のCX-80

 CX-80のサイズは、全長4990mm、全幅1890mm、全高1710mm。ホイールベース3120mm(先代のCX-8は2930mm)。アルファードは全長4995mm×全幅1850mm×全高1935mm、ホイールベースは2900mmと、全高とホイールベースを除けば近い数値だ。

 CX-80の外観デザインは、実際の見た目は高級感が漂っており、縦フィングリルの中に、アクセントとして3本のスリット=メッキ加飾「グリルインシグニア」やメッキ加飾のリアクォーターウインドウの形状などがCX-60と異なる。

CX-80のフロントグリルに入る3本のスリット、グリルインシグニア

 いっぽう、アルファードはみなさんもご存じの通り。フロントマスクは40系の現行モデルになって多少上品になった気もするが、そうはいってもオラオラ顔は健在。ヴェルファイアのほうがオラオラ度は上か。

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■パワートレーンの違いは?

アルファードハイブリッドエグゼクティブラウンジ

 CX-80に搭載されるパワートレーンは、XDが3.3Lディーゼル、XDハイブリッドが3.3Lディーゼル+Mハイブリッドブースト(48Vマイルドハイブリッド)、PHEVがe-SKYACTIV PHEVという3種類。

 アルファード&ヴェルファイアに搭載されるエンジンは、アルファードZのみ2.5LのNAガソリンエンジン(182ps/24.0kgm)でハイブリッドは2.5LのNAガソリンエンジン(190ps/24.1kgm)+モーター(182ps/27.5kgm)。ヴェルファイアのみ搭載される2.4Lターボエンジンは279ps/43.8kgm。

 まだCX-80のスペックは公表されていないが、CX-60とほぼ同じことが予想される。動力性能については、CX-80は当然だがSUVのため、ドライバビリティという点においてはアルヴェルよりも優位。

 ただ、ガソリンターボのヴェルファイアZプレミアにはフロントドアにスタビライザー、フロントサスペンションメンバー部分とフロアにブレースが装着されているため、ハンドリングはラージミニバンとは思えないほどしっかりとしている。

スタビライザーやブレースを入れてボディ剛性が向上した2.4LターボのヴェルファイアZプレミア

■2列目、3列目シートの広さは?

CX-80プレミアムスポーツのコクピット

 インテリアを比較してみたい。CX-80はCX-60で絶賛された高い質感のインテリアとほぼ同じ。特に上位グレードに組み合わされるルーセントクロスの内張や木目調加飾は上質で豪華。

 アルファードも加飾パネルやソフトパッド、プレミアムナッパレザー(エグゼクティブラウンジ)など高級ミニバンとしての豪華さ、上質さは問題なし。

豪華で上質なヴェルファイアのコクピット

 CX-80は、匠、クラフトマンシップにこだわり、メープルウッドの加飾パネルやナッパレザーなど、ジャパニーズプレミアムを表現するなど、上質さという点においてはアルヴェルより上かもしれない。

CX-80の2列目シート

 CX-80の2列目シートは、CX-8に比べると103mmもショルダールームが拡大し、つま先も前席下に大きく入るようになった。ヘッドルームも8mm拡大したから、大柄な人でもゆったりくつろげる。

 CX-80の3列目シートは、身長170㎝相当の乗員が座れる空間を確保しており、天井高を上げ、着座位置をCX-8比で25mm下げたため、ヘッドルームはトータルで30mm広い。またサイドの窓の面積が拡大し、前方視界も拡大し、3列目へのアクセス性を改善してスムーズな乗降性を実現するために、ドア開口部の高さや乗降ステップといった空間設計だけでなく、乗車用グリップやワンタッチウォークイン機能など細部まで気を配っている。

CX-80の3列目シート。CX-8に比べ格段に広くなった。写真は身長183cmの人が3列目シートに座った状態

 とはいえ、CX-80に身長175㎝の人が3列目シートに座ってみると、頭上空間はこぶし1つ、膝前空間はこぶし1つ入る程度で2列目シート下に足(靴)を入れることができる。

 CX-80は2-2-3の7人乗りが、コンソール付きのキャプテンシート、コンソールなしでウォークスルーできるキャプテンシートのほか、2-3-3の2列目がベンチシートとなる8人乗りの3種類。アルファード&ヴェルファイアは2-2-3の7人乗り(レクサスLMは4人乗り、6人乗り)。

アルファードの2列目シート。膝前空間、頭上空間ともに広さは申し分なし

 いっぽう、アルファードの2列目シートの広さは申し分ない。3列目の広さは、2列目シートに身長175cmの人が座ると膝前空間、頭上空間ともに余裕の広さ。

 そこで膝前がこぶし3つ分になるようにシート位置を調整し、3列シートに座ると膝先にこぶし3つ半の余裕があり、足元空間、頭上空間ともに、グランエースを除くと国産ミニバンのなかで最も広い。

アルファードの3列目シートに身長176cmの人が座っている様子。膝を抱えるように座っていない点に注目

■エントリーグレードのCX-80XDは400万円切り、アルファードは540万円から

CX-80の価格はまだ未発表。写真はXD Sパッケージ

 さて、注目の価格はどうか? まだCX-80の価格が明らかになっていないため、予想価格となるが、ベースグレードのXDはおそらく400万円を切ってくる可能性は高い。CX-80の最も売れ筋グレードとなりそうなディーゼルハイブリッドは570万円スタート、PHEVは650万~700万円。

 アルファードはガソリン車のZ 2WDが福祉車両のGを除けば最安価格の540万円。Zハイブリッドは620万円。ヴェルファイアはターボのZプレミアが655万円、Zプレミアハイブリッドが690万円。ちなみにエグゼクティブラウンジは850万~872万円なのでもCX-80とは価格が違いすぎる。

アルファードのエントリーグレード、Xグレードが近々発売される予定(写真はZグレード)

 CX-80は、国産ミドルクラス以上の3列7人乗りSUVのなかでは頭1つ出た広い室内と豪華さを持っているのがウリ。アルヴェルほど後席の快適性はもっていないものの、運転することが好きで、たまに3列目シートを使う人向きといえるだろう。また、マツダこだわりのクラフトマンシップ溢れるインテリアも所有欲を満たされるはずだ(特にタンレザー内装のプレミアムスポーツ)。

 パワートレーンも3種類あるし、XD/XD Sパッケージ/XD PHEV Ⅼパッケージ、XDハイブリッドエクスクルーシブモダン/エクスクルーシブスポーツ、XVハイブリッドPHEVプレミアムモダン/プレミアムスポーツとグレード展開も豊富なので選びがいがある。

 CX-80の発売は2024年秋。いっぽう、アルファード&ヴェルファイアはいまだ受注停止状態で新車は買えない。ただ2024年9月~10月には一部改良&400万円台のXグレード、PHEV追加という情報が流れているが、認証不正の影響で年末から来春に遅れるかもしれないという情報も入ってきており、いまだ先が見通せない状況ということも頭に入れておきたい。

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