政治の世界で使われるその“支持率”という言葉をクルマ界に置き換え、最近気になる出来事をベストカー読者のみなさんへアンケート調査。その結果と分析をお届けしよう……という本誌企画をプレイバック。「あなたは支持しますか? 支持しませんか?」(有効回答数:526名/本稿は「ベストカー」2013年7月10日号に掲載した記事の再録版となります)
構成:編集部 ※読者コメントの●は支持する、▲は支持しないを表します。
■Q1. 1年遅れで登場するピンククラウン。トヨタのこの戦略を支持しますか?
去年(※2012年)12月登場の現行クラウン。強烈な話題を振りまいたのはピンククラウンだが、その発売は1年後という“先出し”。じらされ感がなくもない。
販売戦略のひとつといえるがどう思う? と聞いた結果が下記。「やや支持する」を合わせた「支持」が56.3%と過半数をオーバー。1年後販売という戦略より斬新さが印象深いというのは意見でもわかる。紹介しましょう。
●色の面で新しい風を吹かせてくれた。似合うかどうかは別としてピンククラウンに乗ったその辺のおじさん、なかなかインパクトがあると思います(三重・40歳)
●保守的なイメージが強いトヨタだが、おもしろい決断をしたなと思う。爆発的に売れるかどうかは二の次。ユーザーに夢を与える姿勢を評価したい(北海道・44歳)
♠清水草一はこう思う。
・アンケート結果を見てどう思う? → 思ったよりも支持が多いのは大変いいことだと思う。既成概念を打ち破らねば、発展はないのだから! ただ、見世物的にウケている面もあるだろう。
・清水さんは支持しますか?→ 強く支持する。新型クラウンアスリートにあのピンクは非常によく似合う。保守的でありながら適度にスポーティなため、あのピンクとは最適なミスマッチ感が醸し出されるからだ。適度なミスマッチ感は魅力を大幅に増幅させてくれる。
■1年遅れ登場のピンククラウンと戦略を支持しますか?
・強く支持する……20.7%
・やや支持する……35.6%
・あまり支持しない……18.4%
・まったく支持しない……25.3%
■Q2. 次期スバルWRXは1.6Lターボになるようですが、これを支持しますか?
11月登場とされる次期WRX STI。1.6Lにダウンサイジング、ハイパワーと低燃費の両立を図るスバル肝いりのモデル。スバルファン待望のこのモデルが、小排気量ターボという新たな道を進むことを支持するのか!? これを聞いてみた。
結果は85%が「支持」と圧倒的な多さ。世界的流れの小排気量ターボに国産車も乗り出すということへの期待の表われもあるだろう。主な支持の声は……。
●燃費問題もそうですが、今時の“モースポ”のグローバルスタンダードは、1.6Lもあれば充分に速い(愛知・44歳)
●この車両でぜひWRC復活を希望します(愛知・47歳)
●ハイパワー版とダウンサイジングターボの二刀流でやってほしい(愛媛・41歳)
……などのコメント。いっぽう「不支持」の声は……。
▲2Lターボに乗っている私としては、スペックダウンしたように感じてしまう(神奈川・47歳)
▲2Lターボを磨いてほしかった(東京・45歳)
♠国沢光宏はこう思う。
・アンケート結果を見てどう思う? → 日本人のクルマ好きの多くが基本的にダウンサイジングを望んでいる、という結果。ただスバルの1.6Lは2Lと共通のシリンダーブロックを使っているため、エンジンの小型軽量化という点からすれば効能はイマイチですけど……。
・国沢さんは支持しますか?→強く支持する。WRXは競技車両のベースであってほしいと強く思う。今や2Lエンジンで出場できる国際規格の競技などなし。といったことからすればWRXも1.6L以外ありえない。これを採用したことでWRXに対する希望が少しだけ残った。ターマックラリーなんかも可能性あり。自分としては圧倒的に支持する。
■次期WRXは1.6Lターボになる見込み。これを支持する?
・強く支持する……43.6%
・やや支持する……41.4%
・あまり支持しない……12.6%
・まったく支持しない……2.4%
■Q3. マツダのクリーンディーゼル戦略を支持しますか?
CX-5やアテンザに搭載されたマツダのクリーンディーゼル、SKYACTIV-Dの評価は高い。ディーゼルとは思えないレスポンスのいい走りに、自動車評論家の方もうなるばかり。今後もアクセラに搭載などクリーンディーゼル戦略が続く見通しだが、読者のみなさんはどう感じているのか?
これまでのなかで最も「強く支持する」が高い68.9%という結果に。逆に「不支持」は合計でも4.7%とかなり低い。「支持」の主な声は……。
●ディーゼル車のイメージを変えたのはスゴイこと(兵庫・17歳)
●ハイブリッド採用なしでも、ディーゼルの課題となっていた排ガスをプラスα技術でクリアし、低燃費なクルマを作った。ぶれない戦略も強く支持します(滋賀・47歳)
●国内メーカーで唯一のセダン搭載は評価できるが、今後は小さいクルマへの搭載を期待したい(神奈川・57歳)
……と革新的にディーゼルを変えたマツダディーゼルへの賛辞が多い。国沢氏の意見は……。
♠国沢光宏はこう思う。
・アンケート結果を見てどう思う? → 当然の結果だと思う。ある程度以上のボディサイズにはディーゼルエンジンが最も効率がいいことを読者諸兄もキッチリ認識しているのだろう。ただマツダに燃費抜群のハイブリッドなんかもラインアップされていれば、ここまで極端な結果にはならなかったと考えます。
・国沢さんは支持しますか?→ 強く支持する。ディーゼルエンジンの太いトルク感やロングツーリング時の快適性などは魅力だ。しかもマツダは高価なNOx触媒を使っていないため、比較的リーズナブル。ガソリンエンジンを基準とした時に、ハイブリッドとディーゼルが同じ車両価格&ランニングコストでもけっこう競争力あると思う。
■マツダのクリーンディーゼル戦略を支持しますか?
・強く支持する……68.9%
・やや支持する……26.4%
・あまり支持しない……3.4%
・まったく支持しない……1.3%
■Q4. より大きくなる次期スカイラインを支持しますか?
5月にラインオフしたインフィニティQ50こそ9月登場の次期スカイライン。前号でも伝えたが現行より全幅が70mmほど大きくなり、ワイド&ローが強調された感じ。こんなに大きくなっていいのか!? ということで読者のみなさんへ聞いてみた。
不支持2つを合計して77%、「まったく支持しない」=35.6%と北米に目を向けたクルマ作りはそっぽを向かれた雰囲気。
▲R34型ほどの大きさにしてMTも設定。電子制御などをオプションにして安くすれば魅力的だと思う(静岡・17歳)
▲シルビア復活モデルを少し長くして6気筒エンジンを積んで、4ドアに。それをスカイラインにしてもいいくらい(広島・34歳)
……と「不支持」の意見からは、改善策や復活策までも飛び出している。逆に、数少ない「支持」側ではこんな意見も。
●グローバルで戦うには仕方がない。クラウンのような日本専売のFRセダンを出してほしい(滋賀・31歳)
……と賛否意見は交錯するが、このお題の締めとして国沢光宏氏からコメントをもらった。
♠国沢光宏はこう思う。
・アンケート結果を見てどう思う? → すでに日本で販売されているクルマの全幅は、使い勝手を考えれば限界に近い部分まできた。「日本の道路環境を考えれば、幅が狭くて魅力的な車種に乗りたい」。読者の、そんな素直な気持ちを明確に感じます。
・国沢さんは支持しますか? → あまり支持したくない。Q50がスカイラインという車名じゃなかったら受け入れるかもしれないけれど。多くの日本人にとってスカイラインって小粋なスポーティセダン&クーペ。大きいボディに大排気量エンジンを搭載するなら『フーガ』にしてほしい。
■大きくなる次期スカイラインを支持しますか?
・強く支持する……6.9%
・やや支持する……16.1%
・あまり支持しない……41.4%
・まったく支持しない……35.6%
■Q5. ホンダのF1参戦を支持しますか?
ホンダは先日の会見で2015年F1参戦を表明。クルマ界にとって大注目の出来事になったが、ベストカー読者の支持、あるいは不支持の割合と反応はいかに?
結果は、「強く支持」と「やや支持」の合計で90.7%と予想以上の高い数値! クルマ好きは何か変化を求めていることの表われともいえそうだ。
その支持する理由を知りたいが、読者のみなさんの声からピックアップしてみよう。
●ターボエンジンになることで市販車への技術転用もしやすくなり、楽しいクルマ作りにつながるのではないかと思う(神奈川・26歳)
●世界で活躍する日本車を子どもに見せたい♪(神奈川・34歳)
●嬉しいけどF1は欧米のお金をつぎ込む道楽。本業の技術開発に使ったほうが有意義(大分・40歳)
……と3人目の方のような注文をつける方もけっこういた。いっぽう不支持の意見は……、
▲勝てなくておもしろくないからやめて、でもやっぱりやりたい。でも、やめた……。大事なことは継続だと思う。苦しい時こそ続けてほしかったので今さら支持できません(茨城・22歳)
経営的戦略はあるにせよ、4回目の挑戦となる今回は続けてほしいもんです、ホンダさん。
■5月に発表されたホンダのF1参戦を支持しますか?
・強く支持する……65.5%
・やや支持する……25.2%
・あまり支持しない……5.7%
・まったく支持しない……3.6%
■Q6. 軽自動車界の「0.2km/L刻みの燃費争い」を支持しますか?
2012年9月、スズキワゴンRがJC08モード28.8km/Lの燃費で話題をさらったが、その3カ月後にはMCされたダイハツムーヴが29.0km/Lで登場。そして新型日産デイズは29.2km/L……と、最近の軽自動車界は「0.2km/L刻みの燃費争い」を繰り広げている。
燃費重視はわかるが、正直小さいところをウリにしすぎではないか? と思う。ベストカー読者のみなさんはこの燃費争いを支持するのか、しないのか?
結果は「まったく支持しない」=35.6%に表われているように「不支持」が多い。
▲JC08なのだから、そんな細かい数値まで興味がない(神奈川・26歳)
▲燃費も重要だと思いますが、安全面ももっと競ってほしい(神奈川・33歳)
▲燃費競争ばかりで走って楽しくない車種ばかりになった(静岡・49歳)
と、現状でも充分いい燃費のよさよりほかの面を磨いてほしいという声が多かった。わずかな燃費争いより新しい刺激が軽にも求められているのだろう。逆に「支持」では、「限界まで挑戦してほしい」(大阪・34歳)という声も。
♠清水草一はこう思う。
・アンケート結果を見てどう思う? → こんなに否定派が多いとは思わなんだ。JC08で0.2km/Lいいからって実際にはほとんど判別不能。でも技術ってのはそうやって進歩するものなので……。ま、それで宣伝されてもなぁ、ということでしょうね。
・清水さんは支持しますか? → やや支持する。技術は牛歩で進歩するものなので、これを否定しちまったら終わってしまう。「2番じゃダメなんですか?」と問われれば「1番じゃなきゃ意味がないんです」ということだすな。もちろん1番を取るためだけの技術じゃ困りますが、やっぱり進歩は肯定しないと。
■軽の「0.2km/L刻みの燃費争い」を支持しますか?
・強く支持する……15.0%
・やや支持する……21.8%
・あまり支持しない……27.6%
・まったく支持しない……35.6%
■Q7.近頃主流のDCT。それでもMTを支持しますか?
輸入車に特に多いDCT(デュアルクラッチトランスミッション)は近頃主流になりつつある。「確かにDCTはいい。が、い~んや俺はMTじゃなきゃダメ!」という方はどれくらいか? その結果が左上の通り。
MTを「強く支持する」=41.3%と微妙な数値だが、「やや支持する」との合計なら80.3%と支持派が圧倒。
●Dモードがあるクルマはマニュアル変速する意味がない。よって3ペダルも残していってほしい(広島・33歳)
●嫁の関係で購入するのはDCT。意のまま操って楽しいと思えるのはMT(滋賀・47歳)
……と、MTでなきゃダメという熱すぎる声は意外と少ない。では、清水さんの意見は?
♠清水草一はこう思う。
・アンケート結果を見てどう思う? → うれしい結果だ。MT支持が多いということはつまり人間は額に汗して働かなきゃならん! という精神が底流にあるからだよね。あるいは、技術のある者はエライ! ラクしてるヤツはエラくない、という。
・清水さんは支持しますか?→強く支持する。自宅のクルマ3台は、ついにすべてATになってしまいましたが、それでも息子にはMT車を押しつけている。男たるもの、MT車に乗れなくてどうする! という、古い固定観念があるのでございます。
■近頃主流のDCT。それでもMTを支持しますか?
・強く支持する……41.3%
・やや支持する……39.0%
・あまり支持しない……16.0%
・まったく支持しない……3.7%
■Q8. 国交省の「高速道路完全無料化」の先送り方針を支持しますか?
国土交通省は、高速道路補修費用確保のため、2050年の「高速道路完全無料化」を先送りにする方針を固めたわけだが、「なぬ~!」と怒るか「やっぱりか」と諦めムードになるか。読者の声は「支持」派が48.2%と意外と多い。「先送りばかりでやる気あるの?」や「維持費を利用者から徴収するのは否定しない」など主張もさまざま。
♠清水草一はこう思う。
・アンケート結果を見てどう思う? → 支持の多さにビックリ。実際のところ大規模補修を料金でやるか税金でやるかの話だから。
・清水さんは支持しますか? → 強く支持する。「50年後に無料開放」という民営化時の方針は、当時の世相がそう言わないと許されなかったから。一種の方便だったと考えている。維持補修費が年々増えていることもわかってた。強く支持しますよ!
■「高速道路完全無料化」の先送り方針を支持しますか?
・強く支持する……12.6%
・やや支持する……35.6%
・あまり支持しない……27.6%
・まったく支持しない……24.2%
* * *
以上、支持率を展開してきたが意外な割合の数値もあった。ユーザーの声は業界をも動かす。読者のみなさまの考えがストレートに伝わる支持率調査だった。
* * *
【番外調査01】Q. 次のなかで一番どれに期待しますか?
1)トヨタから登場予定の(!?)150万円FRスポーツ
2)ホンダNEWビート
3)次期ホンダシビックタイプR
4)マツダの次期ロータリーエンジン搭載車
5)次期ダイハツコペン
6)次期日産 R36 GT-R
これから登場予定&登場が期待される各社肝いりのモデル、上の6モデルから「一番期待するのはどれ?」と読者のみなさまへ聞いた結果を紹介しよう。
期待度が物凄く突出したモデルはなく、わりと均等割れ。そんななか1位はトヨタFRスポーツ。価格の魅力もあり、「GT-Rは高い、タイプRはスパルタン。ならば150万円スポーツに期待」(神奈川)など、身近な存在となりえる安さを主張する声が多かった。
逆に価格で期待度が薄れたのかGT-Rは6位。編集部としては次期型の進化具合がワクワクものだが。
その他のモデルを選んだ読者のみなさんの声もピックアップ。
●「若いうちはスポーツカーに乗りたいからビートで決まり」(沖縄)
●次のシビックタイプRにDCTがついてたら最高に面白そうです(宮城)
●マツダのシンボルエンジンが復活するのは興味があるから。SKYACTIV.REで燃費も期待したい(滋賀)
……みなさんの熱い声が伝わりました!
■番外調査1. 次のなかで一番どれに期待しますか?
1)トヨタから登場予定の(!?)150万円FRスポーツ……29.8%
2)ホンダNEWビート……18.2%
3)次期ホンダシビックタイプR……16.4%
4)マツダの次期ロータリーエンジン搭載車……16.1%
5)次期ダイハツコペン……11.5%
6)次期日産 R36 GT-R……8.0%
【番外調査02】Q. 経産省は充電器整備に1005億円投入。これを支持しますか?
「支持する」が過半数の54%。「整備しないとEVが普及しないというのなら仕方ない」(東京.岩田弘之さん)のような意見が目立った。ここで国沢光宏さんにも、このデータを見た印象を語ってもらおう。
「EVに乗っていない人には関係ないと思いきや、予想以上に支持する方が多かった。それだけEVの将来に期待しているということなんだろう。やっぱり日本は新しい技術を育てる環境としちゃ抜群にいい。コストダウンが急速に進むため、EVの普及は遠くないと考えます」とのこと。国沢さん自身は「やや支持する」という意見で、「問題は維持管理コスト」とのこと。
■番外調査2. 経産省は充電器整備に1005億円投入。これを支持しますか?
・強く支持する……21.8%
・やや支持する……32.2%
・あまり支持しない……26.4%
・まったく支持しない……19.6%
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。