「予定」は「未定」ともいわれるが、夕刊で報じた内容が、その日のうちに変更されるとは、まさに“朝令暮改”の迷走ぶりである。トヨタ自動車が9月2日午前、台風10号の影響で停止していた国内全14工場の稼働を同日夕方から再開するとともに、認証不正問題を受け停止していた『ヤリスクロス』、『カローラアクシオ』、『カローラフィールダー』の3車種の生産についても、3か月ぶりに再開すると発表した。

その発表を受けて、2日付けの読売夕刊なども「トヨタ3車種生産再開へ、認証不正3カ月ぶり」などと取り上げていた。

ところが、一夜明けたきょうの朝刊各紙には「トヨタ、不正3車種生産再開延期」との見出しで「認証不正が発覚したヤリスクロスなど3車種について、生産再開を延期すると発表した」とも報じている。

読売は「2日夜から生産する予定だったが、台風10号の影響で準備が整わなかった。現時点で再開時期は未定だ」としつつ、「ほかの車種の生産を先に終わらせる必要があったが、工程が遅れ、延期した」と掲載。

日経も「2日夜から生産を始める計画だったが、部品の調達状況などを踏まえて先送りした」。さらに「トヨタ広報は『台風10号の影響で生産が流動的になっている』と話した」とも伝えており、生産現場との情報伝達をめぐる混乱ぶりが見て取れる。

それにしても、生産に必要な認証「型式指定」を巡る不正で生産を停止していたヤリスクロスなどの3車種は、国土交通省による出荷停止指示が解除されたのは1か月余り前の7月末。トヨタは台風10号による物流への影響に伴う部品欠品や従業員の安全などを考慮し、8月28日から国内の全工場を停止させていたが、3車種の生産拠点は子会社「トヨタ自動車東日本」の宮城・岩手両県の工場。

少なからず大雨などの影響はあったものの、直撃した九州地方などに比べれば大きな被害は出ていない。延べ6日間の全工場停止の“英断”が、土壇場で再開延期の判断をせざるを得ないほど「不正3車種」にしわ寄せが及ぶというは、なんとも見るに忍びない。

2024年9月3日付

●内部留保初の600兆円、昨年度企業統計、経常利益106兆円、価格転嫁や円安背景(読売・2面)

●トヨタ3車種生産再開延期(読売・7面)

●飲酒運転「多くの人生壊す」伊勢崎3人死亡、遺族が事後根絶訴え(読売・20面)

●中国EV世界警戒、大手BYD,海外販売比率倍増、米欧追加関税、現地生産で対抗 (産経・1面)

●新車販売3.5%減、8月、認証不正影響 (産経・10面)

●認証不正後初の改良、ダイハツ「ミライ―ス」来月発売 (日経・16面)

●EV充電設備を拡大、エネチェンジ、新事業計画、会計処理問題受け (日経・17面)

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