ディディは広汽アイオンと共同で自動運転車両の量産に乗り出す。写真は同社が2023年4月に発表した無人運転タクシーのコンセプトカー(ディディのウェブサイトより)

中国のネット配車サービス最大手の滴滴出行(ディディ)とEV(電気自動車)大手の広汽埃安新能源汽車(広汽アイオン)は4月7日、「レベル4」の自動運転が可能なEVを生産する合弁会社を設立したと発表した。

(訳注:レベル4の自動運転では、高速道路など特定の条件下におけるすべての運転操作をシステムが担う)

新会社の名称は「安滴科技」で、ディディの自動運転事業の子会社と広汽アイオンが折半出資する。ディディ側の発表によれば、第1号モデルは設計の最終段階にあり、2025年の量産開始を目指す。将来はディディのネット配車サービスに数万台単位で大量導入する計画だ。

すでに3年の協業関係

ディディと広汽アイオンの協業の起点は3年前にさかのぼる。両社は2021年5月に戦略提携を結び、レベル4以上の自動運転システムを組み込んだ量産車を共同開発すると発表。2年後の2023年5月には提携関係をさらに踏み込み、合弁会社を設立して無人運転車両の生産に乗り出すと宣言した。

今回の安滴科技の設立は、両社の協業が具体化の段階に移ったことを意味する。ディディによれば、広汽アイオンはEVの大量生産能力に加えて、スマート・ドライビング技術の蓄積を持つ。そこにディディの自動運転技術とネット配車サービスのノウハウを組み合わせることで、信頼性の高い無人運転車両を低コストで大量生産できるという。

中国にあまたある自動運転技術の開発企業のなかでも、ディディは先発企業の1社であり、2016年から独自の研究開発を続けてきた。

ディディは独自開発の自動運転技術を活用し、幹線物流向け大型トラックの定期運行サービスにも参入している(写真はKargoBotのウェブサイトより)

同社の開示情報によれば、2019年8月に自動運転事業を分社化して「滴滴自動駕駛(ディディ・オートノマス・ドライビング)」を設立。社外からの出資を受け入れ、2020年に約5億2500万ドル(約796億円)、2021年に約3億ドル(約455億円)を調達した。

北京や上海で約200台を運用

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ディディ・オートノマス・ドライビングは、2023年3月時点で1000人近い社員を擁し、北京市、上海市、広東省広州市、江蘇省蘇州市などの都市で合計約200台の自動運転車両を運用している。

また、2021年には傘下企業の「KargoBot(カーゴボット)」が幹線物流向け大型トラックの自動運転サービスを開始。すでに100台を超える自動運転トラックが、天津市と内モンゴル自治区の間で定期運行の試験サービスを行っている。

(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は4月7日

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