急激に増加した「アクセルとブレーキの踏み間違い事故」を受けて、自動車メーカーでは、踏み間違い加速抑制システムを開発し、事故防止の努力を続けてきた。そんな中、国土交通省が踏み間違い事故を防止する安全装置を義務化すると発表。なぜ今になって義務化なのか? その真意を探ってみた。
※本稿は2024年7月のものです
文:角田伸幸/写真:トヨタ
初出:『ベストカー』2024年8月26日号
■踏み間違い防止装置「義務化」の真意
国土交通省が、アクセルとブレーキの踏み間違い事故を防止する安全装置を義務化すると発表した。
この踏み間違い防止装置、すでに日本では標準装備というクルマが結構ある。後付けも可能で、自動車メーカー各社がそれぞれ製品を発売しているほか、カー用品店などでアフターパーツ商品を買うことも可能だ。
そういう意味では今回の義務化は「今さら?」という感もあるのだが、ポイントは別にある。今回のような日本が先行した技術を、国連下の国際標準作りに上手く落とし込むことができたということだ。
これまで自動車のさまざまな国際ルールを決めるなかで、日本は優れた技術を持ちながら議論をリードできず、結果不利な立場に追い込まれる事例があった。
今回、国土交通省はこの轍を踏んではいけないと、加速抑制装置に関するデータや知見を国連に持ち込み、見事国際的な指針に採用されたというわけだ。
指針作りを主導した国は、その技術に関しては当然アドバンテージを持つ。日本の自動車業界は今後も声をあげて、国際標準の主導役になることが大切だろう。
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