編集部員が一台のクルマをよってたかって評価するベストカー本誌の名物企画。今回は2024年3月登場のホンダ アコードがターゲット。長~い歴史を誇るアコードだが、実は現行型から日本向けモデルはタイ生産に切り替わったのだ。果たしてその影響はあるのだろうか? みんなで乗れよ乗ればわかるさ!!

※本稿は2024年8月のものです
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部、ホンダ
初出:『ベストカー』2024年9月10日号
※評価は5点満点

■ホンダ アコードってどういうクルマ?

2024年3月に発売されたホンダ アコード。レジェンドが2022年に販売終了し、現在はホンダの最上級セダンとなっている

 今回登場するクルマは、2024年3月に発売されたホンダ アコード。1976年に初代が登場して以来、2024年で48年目、11代を数える由緒正しきセダンだ。

 11代目はアメリカと中国、そしてタイで生産。現行型から日本向けはタイ生産となり、e:HEVのみのモノグレード構成に絞り込んだ。

 日本ではあまり見ないが、海外、特に北米市場では同じホンダのシビックや、トヨタのカムリとともに、とてつもない支持を得ているアコード。

 レジェンドなき今、ホンダの最上級セダンとしての役割が求められている。帰国子女モデルとなった11代目アコードの出来はどうだ!?

●ホンダ アコード e:HEV 主要諸元
・全長×全幅×全高:4975×1860×1450mm
・ホイールベース:2830mm
・車両重量:1580kg
・エンジン:直4 DOHC直噴+モーター
・総排気量:1993cc
・最高出力:147ps/6100rpm
・最大トルク:18.6kgm/4500rpm
・モーター出力:184ps/34.2kgm
・トランスミッション:CVT
・サスペンション:F)マクファーソン式 R)マルチリンク式
・タイヤサイズ:235/45R18
・WLTCモード燃費:23.8km/L
・価格:544万9400円

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■飯嶋はこう見た!

飯嶋は乗り心地がかなり気に入った様子。静粛性の高い車内に響くエンジン音が、疑似的なものとわかってはいるが、かなり心地よい

 発売は2024年3月と、そんなに昔じゃないのに、8月現在、早くもチョット目立たない存在になってるアコード。

 でもこのクルマ、かなりイイです。特に気に入ったのは乗り心地。しっかりめながらドライバーに不快と思わせないのは、シャシー剛性が高く、ちゃんと足が動いているのでしょう。

 車内の静粛性も、逆にウインカーの音が気になっちゃうくらい優れています。

 そしてアクセル踏み込めば車内に響くエンジン音。シビックにも採用された疑似的なものなんですが、これ、やっぱり気持ちいいです。

「NORMAL」の澄んだ音もいいですが、「SPORT」にした時の野太さを増した音もいいです。

 あとは約545万円という価格ですよねぇ。悩ましいですよねぇ。

●飯嶋の評価
・パワー感:3点
・ハンドリング:3点
・乗り心地:4点
・お買い得感:2.5点

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■飯干はこう見た!

 アコードの走りはレベルが高い。2L e:HEVは静かでトルクがあって燃費もいいし、乗り心地もよくて凄く快適。ミドルセダンとして理想的な仕上がりだ。

 ただし「いいクルマ=売れるクルマ」でないのは常識で、この業界に長くいれば、アコードもそんなに売れるクルマでないのは予想がつく。

 もちろんホンダもわかっており、日本での月販目標はわずか200台。もしかしたら、ホンダ本体や関連会社、販社の役員送迎用にラインナップしているのではないかという気さえする。

 でも、それって最高かもしれない。役員送迎用のクルマを平社員も乗れるなんて夢のようじゃないか。中古で平社員でも買える値段になるのを待ちますか。それならマジお薦め!

●飯干の評価
・パワー感:4点
・ハンドリング:4点
・乗り心地:4点
・お買い得感:2点

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■梅木はこう見た!

インパネは、シビックとも共通する水平基調のデザインを採用。素材を厳選し、高級感を演出している。エアコンの操作は物理スイッチで行うことができる

 最初に言うと、アコード、とってもいいクルマです。乗り心地はいいし、後席は広いし、斜め後方から見た姿はスタイリッシュだし。運転してもe:HEVのモータートルクによる瞬発力は力強くスムーズだし。

 ただねぇ……。ワタクシ、アコードの試乗会に行ったんですよ。で、ホンダの開発陣とも話をしたんですよ。その時にも言ったんですが、いかんせんお値段高すぎ。約545万円よ?

 クラウンクロスオーバーは435万円からだし、30万円プラスすればBMW 318iスタンダードが買えちゃう。正直、ターゲットユーザーが見えてこないんですね。

 そうそう、せっかく後席区間が広いんだから、もうちょっと座面の前後が長いとゆったり座れてなおよいと思った次第です。

●梅木の評価
・パワー感:3点
・ハンドリング:3点
・乗り心地:3点
・お買い得感:1点

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■古川はこう見た!

北米メインだけに大ぶりな前席だが、適度なクッション性を備え、長距離ドライブでも疲れにくい

 新型アコードには以前、発売前の事前試乗会で新旧比較試乗を助手席で体験している。

 この時は旧型よりも、静粛性やボディのしっかり感、内装の質感などがアップし、コーナーではより素直にノーズがインを向いて曲がる様子を助手席ながら確認できた。新型は全体的に進化している。

 それで今回、初めて公道で運転してみたら、2L e:HEVはスポーツモードでアクセルを深めに踏んだ時の加速フィールが気持ちいいことも実感。

 乗り心地もストローク感のあるしなやかな足というほどではないけど、荒れた路面でのあたりがソフトで上質な乗り味。いいクルマ感がありだ。

 ただ、旧型から80万円近く値上がりした544万9400円という価格は、ややお高めに感じます。

●古川の評価
・パワー感:3点
・ハンドリング:4点
・乗り心地:4点
・お買い得感:2点

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■林はこう見た!

後席足元スペースは広々。183cmの編集部員が座った状態で、頭上空間は手のひら1枚分といった具合

 一般道、首都高とさまざまなシーンを試しましたが、2L e:HEVは燃費、パワー、音と三拍子そろっていい感じ。

 乗り心地は抜きん出てというレベルではないものの、しっかり角を落としていていい感じ。ハンドリングもシャープすぎずクルマのキャラクターをきちんと意識した味付けでいい感じ。まとめると、とってもいいクルマです。

 走りで気になった点を挙げれば、ブレーキを奥まで踏まないと利かないことと、タッチがいまいちな点くらい。これは好みかなと。

 ただ、こんなにいいクルマなんだけど、「アコードじゃなきゃダメなんだ!」と思わせる個性が薄い……。価格面を考えると、「シビックでよくない?」と落ち着く人も多いかも……? 頑張れアコード!

●林の評価
・パワー感:4点
・ハンドリング:4点
・乗り心地:4点
・お買い得感:2.5点

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■赤澤はこう見た!

 車両価格約545万円、ホンダセンシング360などオプション装備込みで560万円もする帰国子女のアコード。

 まずハンドルを握ると、おぉ~こりゃスムーズ。e:HEVも高速合流で疑似変速の演出をしてくれていて、ファン・トゥ・ドライブも楽しめます。

 お次に後席に座らせてもらうと、こりゃまたいい乗り味。身長161cmのワイ将で、頭上からルーフまでの余裕はこぶし1個分。結構後席空間は広々です。

 それらを踏まえてこのアコード、買いかと言われると、微妙かなぁ。今言った点ってぶっちゃけシビックでも言える良点。

 500万円台のクルマならば、もう少し「アコードじゃなきゃダメだ!」って思わせる何かが欲しいです。可もなく不可もなしが惜しい。

●赤澤の評価
・パワー感:3点
・ハンドリング:3点
・乗り心地:4点
・お買い得感:1点

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■市原はこう見た!

 今回アコードと初対面。今やホンダのフラッグシップサルーンで、サイズの制約がないとここまで伸びやかで優雅になるのだと感心。

 インテリア全体のムード作りはうまいが、金網を張り巡らしたようなダッシュボードはアコードには不釣り合いでやや興ざめ。

 走りはe:HEVの車重を感じさせないシャープな発進加速、スムーズな加速、高い静粛性などこれ以上何を望む、というレベル。

 ドライブモードをスポーツにすれば別グルマのようにシャキッとしてステアリングのドッシリ感は安心感絶大だし、コンフォートを選べば快適そのもの。乗り心地もフラットでいい。

 ただ約545万円の価格を考えると、シビックe:HEVでいいんじゃね? となったのも事実だ。

●市原の評価
・パワー感:4点
・ハンドリング:4点
・乗り心地:5点
・お買い得感:3点

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■望月はこう見た!

装着タイヤは、低燃費タイヤのミシュラン e・プライマシー。サイズは235/45R18だ

 今回の企画に当たり、歴代モデルについて改めて調べてみました。そこで思ったのは、アコードは1976年の初代から一貫して「知的で」「どこか無国籍風な」「いい道具としてのクルマ」なんだということ。

 それがアコードというブランドの価値だと思います。

 実際に触れてみて、新型アコードにもその価値はバッチリあると感じました。シンプルで端正なエクステリアや、柔らかすぎず適度にインフォメーションを伝えてくる乗り心地。

 決して華やかではないけど、いい仕事を淡々とこなしているようでとても好感を持ちました。

 価格は確かにややネックですが、迎え入れれば絶対よき暮らしのパートナーとして満足できるはずです。

●望月の評価
・パワー感:4点
・ハンドリング:4点
・乗り心地:4点
・お買い得感:3.5点

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■福田はこう見た!

セレクトダイヤル内に美しいグラフィックが表示される。開発者こだわりのポイントだ

 アカザー先輩の横や後ろでたっぷりショーファードリヴン体験してました! 運転抜きの感想としましては、「せっかくだからもう一声ほしい!」そんなクルマでした。

 切り替えがスムーズでパワーも充分だけど、出足の鋭さがもうちょっと続いてほしいe:HEV。

 可変ダンパーのお陰か先代5シリーズを思い出す素晴らしい乗り心地なのに、助手席視点でもハンドル捌きがぎこちなくちょっと気になる運転支援。

 座面は柔らかくて快適なのに、バッテリーのせいか、もうちょっと頭上空間が欲しい後部座席などなど……。

 基本となる部分の出来はいいだけに、ちょっとずつ気になる部分を感じてしまった次第です。

●福田の評価
・パワー感:2点
・ハンドリング:3点
・乗り心地:4点
・お買い得感:2点

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【番外コラム】パワーユニットは進化した2L e:HEVを搭載

EV、ハイブリッド、エンジンという3つのモードをシームレスに使い分ける

 アコードが搭載する2L直列4気筒エンジンは、排気量こそ現行型オデッセイ(LFB11-H4)と同じ1993ccだが、LFD-H6という型式で異なる。

 先代アコードが採用していたポート噴射から、シビックやZR-Vと同じ直噴アトキンソンサイクルエンジンに変わり、2モーター内蔵の電気式CVTも同軸モーターから平行軸モーターへと変更されている。

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【番外コラム】新型アコードの売れ行きは?

11代目アコードの販売計画台数(月間)は200台。健闘しているとも言えるか

 1990年頃のアコードは、登録台数が1カ月平均で1万台前後に達していた。それが2024年1~6月の1カ月平均は約300台だ。

 現行型は全長が約5mのセダンで日本では売りにくいが、販売不振の理由はそこではない。タイ製の輸入車になることからもわかるとおり、海外指向を強めたことだ。日本のユーザーに合わず売れ行きを下げた。

 しかしe:HEVは駆動力が高く加速は滑らかで、乗り心地は少し硬いが安定性はいい。後席も広くて快適だから機能は満足できるが、それだけでは売れないのがLサイズセダンの難しさだ。

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【結論】クルマの出来は高評価 価格と訴求力は課題あり

 編集部員から高評価を受けたアコード。惜しむらくは、その強気すぎる価格設定と、このクルマが欲しいと思わせる強烈なインパクトが足りないことだろう。

 強気な価格設定については、シビック、ZR-Vなどでも指摘されている近年のホンダ車の傾向なのだが、ユーザー目線で言えば、もう少し手の届きやすい価格だと嬉しい、というのが正直なところだ。

 海外生産にはなったが、国内では貴重なセダンモデルなので、撤退という事態にならないように、ホンダにはしっかりと守っていってもらいたいと思う。

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