解禁前は「道路が無法状態になるのでは?」と危ぶまれた電動キックボードだが、蓋を開けてみたらシェアリングサービス以外ではほとんど普及が進んでいない。だがその変わりに問題となっているのが電動モペットによる違法走行だ。

※本稿は2024年7月のものです
文:国沢光宏/写真:AdobeStock ほか(トップ画像=maroke@AdobeStock)
初出:『ベストカー』2024年8月26日号

■現在の路上の厄介者は電動モペッド

首都圏の繁華街や観光地で見かけるのはシェアリングサービスのナンバー付き電動キックボードばかり。あまり普及は進んでいないようだ(picture cells@AdobeStock)

 電動キックボードが『特定小型原付』という正式な乗り物になって1年経った。

 イッキに普及するだろう、という意見もあったなか、意外や意外! いまだナンバー付き電動キックボードを見る機会は、東京近郊でも渋谷や赤坂といった繁華街か横浜のような観光地に限られる。シェアリングサービス以外のナンバー付き電動キックボードについて言えば“ほぼ”見かけないと言ってもいい。

 なぜ普及しないかと言えば、多くの日本人が「怪しさ」や「危うさ」を感じているんだと思う。

 電動キックボードは自転車ほどの安定性や運動性能を有しておらず、緊急回避操作などしにくい。電動キックボードの違反者に対し講習を義務づけているけれど、警察関係者に聞くと、受講者の多くがいわゆる“輩”と呼ばれるタイプだという。街中で見かけてもそんな感じ。

 ここにきて「何とかしたほうがいいのでは?」と思えるのは、電動モペットと呼ばれる自走可能なペダル付きの電動2輪車だ。

 東京都内でクルマに乗っていると見かけない日はないほど。電動モペットを使ってデリバリーサービスをしているケースも目立つ。20km/h制限のある特定小型原付と違い、40km/h以上出るようなモデルもある。歩道だってお構いなしに走るから危なくて仕方ない。

 ペダル付きの2輪車であり、平坦地において漕がなくても走れば運転免許証を必要とし、自賠責保険の加入と税金を負担しなければならない。

 逆に運転免許証を持っていても、自賠責保険未加入なら「50万円以下の罰金」だし、登録されていなけば「脱税」ということになる。警察官からすれば脱税の取締りこそハードル高いものの、無免許や自賠責未加入は日常的に適用してます。

 つまりナンバーなしの電動2輪車が街中を走っていたなら(ウインカーなどが付いてないため判別可能)、停車を命じられる。

 止めたらペダル漕がないで走ることを確認のうえ「自賠責保険未加入の疑い」で免許証の提示を求め、所有していなければその場で「無免許運転」ということなる。通常の無免許運転と同じ手続きをすればいいだろう。罰金です。罰金の相場は40万円ほど。

 免許証を所有していれば続いて自賠責保険証の提示を求める(書類を保管する場所のない電動キックボードは写メでOK)。

 加入していないなら、その場で自賠責保険未加入の取締りです。こちらは50万円以下の罰金なので、30万~40万円という相場になるんだと思う。警視庁管内で専属チームを2~3立ち上げれば、輩達のSNSであっという間に広まるだろう。

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