「ゴールド免許」は、免許取得者のなかでも優良運転者のみに与えられるもの。長きに渡って無事故・無違反を維持している証として知られ、実はさまざまな特典を受けることができる。そこで今回はそんなゴールド免許について。

文/山口卓也、写真/写真AC

■ゴールド免許取得の条件とは?

 運転免許証には3色あり、運転免許証を初めて取得した時に交付されるグリーン免許(有効期間3年)、グリーン免許からの最初の更新で交付されるブルー免許(有効期間3〜5年)、過去5年間無事故・無違反だった場合に交付されるゴールド免許(有効期間5年)がある。

●ゴール免許取得の条件は全部で3つ!

 この“5年間無事故・無違反”はよく知られているが、ゴールド免許取得にはあとふたつ条件がある。

 ひとつ目は「継続して免許を受けている期間が5年以上あること」。この条件をクリアできないのは、運転免許を取得したばかりの人だ。

 初めて交付される運転免許証、初回更新時に交付される運転免許証はともに有効期間は3年。

 ということは、運転免許を取得したばかりの人はゴールド免許取得まで最短でも6年かかることになる。

 ふたつ目は「重大違反教唆ほう助・道路外致死傷をしたことがないこと」。

 これは、自分は運転していなくても重大な違反を他人にそそのかしたり、違反と知りながら止めない・公道以外で人身事故を起こしていないこと。

 これらを行っていると道路交通法上は“無違反”でも、ゴールド免許は取得できないので要注意。

●ゴールド免許取得率は全体のうちでどのくらい?

 2023年の免許更新時に、優良運転者講習(ゴールド免許取得者)を受けた人は全受講者の約6割。

 これを見て、「毎日乗っている人はそんなに高くないだろう」と思われるが、確かにゴールド免許取得者のうち3人に1人は「ペーパードライバーの自覚がある」と三井住友海上火災保険株式会社の調べでわかっている。同調査では、「実際には運転をしていないがゆえに、無事故・無違反であることがうかがえる」と分析している。

 となると、日常的にクルマを運転している人でゴールド免許を取得している人は4割程度にまで落ち込むと考えられる。

■ゴールド免許取得者の特典は大きく3つ!

1.免許更新時の講習時間が短く、手数料が安く、次回更新までの期間が長い!

 更新時の手数料も講習時間もまったく違う。特に講習時間が2時間と30分では大きく違うので、これは大きなメリットだろう。

 また、有効期間が5年と長いのもメリット。ゴールド免許でない場合、更新のたびにお金と時間を余分に使うことを考えると……メリットはかなり大きいと思うはず。

2.免許更新手続きが最寄りの警察署でできる!

 免許更新時に多くの人が「免許更新、面倒だなぁ……」と思うのでは? それは、講習時間の長さもさることながら、免許更新時に運転免許センターや試験場に行かなければならないからではないだろうか?

 特に自宅や職場から運転免許センターや試験場が遠い場合は、ほぼ1日を費やして免許更新をすることになる。その点、ゴールド免許であれば最寄りの警察署でできるのでかなり大きなメリット!

3.自動車保険の保険料が安い!

 ゴールド免許取得者は「事故を起こす可能性が低い」とみなされ、任意保険料も安くなる。割引を受けられる金額は保険会社や契約内容によって異なるが、なかには20%近くも割引が受けられる場合もあるのだ。

 契約の時点でゴールド免許を取得していれば、その後にゴールド免許ではなくなっても“次回更新までは”割引後の保険料でサービスを受けられる。

 逆に、保険契約期間中にゴールド免許を取得しても、次回更新時までは割引後の保険料は適用されないので知っておきたい。

 ただし、保険料を安くしたいばかりに「ゴールド免許です」と嘘をついて契約すると告知義務違反となる。こうなると、事故の際に補償を受けられないことがあるばかりか、契約解除の可能性も大! 絶対にやめておいたほうがいい。

■ゴールド免許が剥奪されるのはどんな時?

うっかり失効はゴールド免許を失う可能性大。更新のお知らせはしっかりチェックしよう

 ゴールド免許は無事故・無違反の優良運転者にのみ与えられるので、取得後に違反点数のつく違反や人身事故を起こしてしまうと次回更新時にブルー免許となる。

●違反点数のつかない違反ならゴールド免許維持

 “無事故・無違反”の証なので、違反点数が1点でもつく違反、例えばシートベルト未着用では剥奪される。

 しかし、違反行為ではあるが違反点数が加算されない泥はね運転や免許不携帯、警音器使用制限違反などの軽微な違反ではゴールド免許は剥奪されない。

●違反点数のつかない物損事故なら問題ないが……

 違反点数のつかない物損事故であればゴールド免許は維持されるが、当て逃げや建造物損壊などの重度の物損事故になるとゴールド免許ではなくなってしまうので注意!

 つまり、物損事故を起こした場合は危険防止措置と警察への事故報告が義務となっているが、これを果たさなかった場合は“当て逃げ”となる。

 この場合、安全運転義務違反で2点と危険防止措置義務違反で5点の違反点数となり、「無事故・無違反」ではなくなってしまうのだ。

●ゴールド免許の更新を忘れたらどうなる?

 ゴールド免許の有効期間は5年となるため、ついつい更新を忘れて失効してしまうことも考えられる。

 また、免許更新の案内ハガキは自宅に届くようになっているが、引越しなどで住所が変わっている場合は届かないこともあって失効の可能性も高まる。

 この場合、失効から6カ月以内に更新手続きをすれば“免許”の再発行は受けられる。

 しかし、入院や長期出張などのやむを得ない場合を除いて(もちろん、その事実を証明する書類の提出は必須)免許の色はゴールドからブルーへと変更になってしまうので要注意!

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