長野県東御市にある道の駅雷電くるみの里で9月8日、「昭和の名車まつり」が開かれ、1都12県から約120台の旧車や名車が集結した。

2003年の同駅オープンの翌年からスタートしたイベントで、コロナ渦による中止をはさみ今回で18回目。東信地方(長野県東部)の旧車同好会「カードリームオーナーズクラブ」(丸山雄輔会長)が初回から協力・運営している。

雷電くるみの里は軽井沢町と上田市を結ぶ県道79号「浅間サンライン」沿いにあり、江戸時代に活躍した巨漢力士・雷電為右衛門や「信濃くるみ」の産地などで知られる。

この日は朝早くから新鮮な野菜や果物を購入しようと訪問客が詰めかけ、イベント見学者とも重なってかなりのにぎわいとなった。

展示車両はふだんは一般車が駐車できない芝生エリアなどに並んだ。軽自動車から大衆車、商用車、スポーツカーや高級車までバラエティに富み、テーマである昭和の車はもちろん、海外の名車も多数参加した。

常連組の日産『スカイライン』や『フェアレディZ』、トヨタ『2000GT』、ロータス『ヨーロッパ』、フォード『GT40』、歴代フェラーリなどに交じり、今回も地味ながら興味深い車両がいくつもあった。

埼玉県から高速道路を使って快調に飛ばしてきたというのは、2輪メーカーだったホンダが初めて市販した4輪自動車『T360』(1966)。水冷直列4気筒DOHCエンジンを国産車で初めて搭載した驚愕の軽トラだ。4連キャブレターやタコ足などもバイク屋ホンダらしい。この個体は加工鉄チンホイールにセミスリックタイヤを履かせており、サーキットやジムカーナなどでスポーツ走行を楽しんでいるとか。「今でも(エンジン回転数を)1万回転以上回すこともあって面白いです」というオーナーであった。

コルシカブラウンのボディカラーがシブかったのは、1972年式のトヨタ『マークII』バン1700デラックス。バンとはいえ、当時の『クラウン』にも通じる高級感を漂わせる。オーナーによれば、元はボーリング場の営業車だったもので、自身が商用車好きだということも手伝って10年前に入手したという。「地下駐車場に停めてあったので状態が良く、エンジンも丈夫。長距離もストレスを感じずあちこちのイベントに出かけています」。「実用性とボディラインのたたずまいが好きです」とお気に入りの様子だった。

同じくトヨタの商用車『カローラ』バン1200デラックスは1971年式。廃車だったものを約30年前にレストアし、スポーツグレードの「SL」用ツインキャブエンジンと5速ミッションをコンバートしている。「ボディが軽くエンジンも良く回り、軽快です」と満足そうなオーナー。

2代目のダットサン『ブルーバード』(1964)も興味深かった。エンジンを510型のソレックスツインキャブのL18型にしてミッションも5MTに。フロントのドラムブレーキは『フェアレディ2000』用のディスクに換装するとともにテールランプも同型車の丸目としている。オーナーは「軽量化にとバンパーレスにしたら結果的にアルファロメオっぽくなっちゃいました」と目を細めた。これらの換装すべてがしっかりと公認を得ており、充実した旧車生活を楽しんでいるようだった。

この日の午後は恒例となったチョロQレースやビンゴ大会も行われるなど終日にぎわった。

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