日産ノートオーラNISMOはマイナーチェンジのタイミングで、他グレードには用意されていた4WDが追加に!! 車両重量の増加で動力性能の低下が心配されたが、パワフルなリアモーターのおかげで加速力がとにかくいい! ちょっとGT-R感を味わえるのだからスゴイ!!!!

※本稿は2024年8月のものです
文:国沢光宏、斎藤 聡、橋本洋平、ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部、日産
初出:『ベストカー』2024年9月10日号

■待望の4WDを追加!

2024年7月にマイナーチェンジを受けて登場した日産 ノートオーラNISMO。待望の4WDが追加された

 2021年8月に発表されたノートオーラNISMOは、日産のハイブリッドユニットのe-POWER搭載車で唯一のNISMOモデルだ。スイフトスポーツと並び走って痛快なホットハッチとしてデビューから人気を博している。

 そしてマイナーチェンジを機に待望の4WDが追加された。ノート系の4WDはリアモーターの出力が大きいためFR的な挙動を見せ非常に楽しいと定評がある。

 ベストカー本誌では8月26日号で松田秀士氏による日産グランドライブでの試乗レポートを掲載。松田氏はFFモデルの評価も高かったが、車重の増加が懸念されるなか、明らかに速く、サスのストローク感がスムーズで乗り心地も最高と4WDも高評価。

 今回は国沢光宏氏、斎藤聡氏、橋本洋平氏という走り好きが評価する。

●日産 ノートオーラNISMO(4WD)主要諸元
・全長×全幅×全高:4120×1735×1505mm
・ホイールベース:2580mm
・車両重量:1390kg
・エンジン形式:1.2L、直3DOHC+モーター
・最高出力:82ps/6000rpm
・最大トルク:10.5kgm/4800rpm
・モーター:F=136ps/30.6kgm R=82ps/15.3kgm
・WLTCモード燃費:非公表
・価格:347万3800円

■新時代のスポーツモデル感があり走ってなかなか楽しい!!:国沢光宏

4WDは発電専用の1.2L、直3(82ps/10.5kgm)にフロント136ps、リア82psのモーターを組み合わせている

 いやいや驚きました! 何を隠そうヤリスやフィットより排気量少ない1200ccのハイブリッドということで、動力性能は期待していなかった。

 ところが、だ! DレンジをセレクトしNISMOモードを選んで走り出したら「どうしちゃったの!」。素晴らしく元気です。確かにエンジン出力は82psしかないけれど、フル加速時に走行用バッテリーから引っ張ってきた電力を上乗せする。

 日産はシステム最高出力を公表していないが、おそらく数秒間は前後のモーターと合計で150ps程度を発生していると思う。しかも前後の駆動力配分が上手! コーナーでハンドル切りながらアクセル踏むと、リアから曲がって行こうとする。アンダーステアまったく出ない。

 ただ調子に乗っていると走行用電池を使い切ってしまい、そうなると82ps分の加速しかしなくなる。今回試乗した日産のテストコースだと3分の2周くらいで切れます。使い切ると1周くらい電池を溜めていく走りをする。

 オーラNISMOを速く走らせようとしたら、F1で『デブロイ』と呼ばれるパワーマネージメントをしなくちゃならない。電気を溜め、上手に使うという乗り方です。「新しい時代のスポーツモデル感」があり、なかなか楽しい!

●POINT採点チェック
・ハンドリング……9点
・加速性能……8点
・静粛性……9点
・内外装質感……8点
・乗り心地……9点
・コストパフォーマンス……8点

■NISMOモードでの走りは後輪主体の駆動力配分でR35 GT-R風味!!:斎藤 聡

写真の黒/赤コンビのレカロシートがオススメだが、プロパイロットなどとセット販売のみで80万9600円というのが痛い

 何より4WDの制御の巧さに驚かされた。搭載する駆動用モーターは、フロント136ps/30.6kgm、リア82ps/15.3kgm。

 本来は前輪寄りの駆動配分のため、操縦性も前輪主体の4WDだろうと思っていたのだが、走らせてみるとECOは70対30くらいの駆動配分を持つ前輪主体のフルタイム4WD、NORMALは50対50のセンターデフ式フルタイム4WDのよう。

 そしてNISMOは30対70くらいの後輪主体の駆動配分感を持った4WDで、操縦性はR35 GT-R風味。

 モードの違いは操縦性にも表れていて、ECO→NORMAL→NISMOとモードを変えていくとコーナーで前輪の負担が少なくなっていき、旋回スピードも上がっていく。

 しかもNISMOモードはスラロームでリアタイヤが軽くスライドする。モーター駆動4WDのセッティングひとつでこれほど自在な操縦性を作り出せることに驚かされるとともに、モーター駆動4WDの可能性を感じるクルマに仕上がっている。

 蛇足ながら、乗り心地もしっとりとしていて上質。突っ張るような硬さがなくしなやかにタイヤが路面をとらえてくれるような接地性を見せてくれる。NISMOシリーズでは最も安価なモデルだが、NISMOらしい走りのチューニングが惜しむことなく盛り込まれている。

●POINT採点チェック
・ハンドリング……10点
・加速性能……8点
・静粛性……8点
・内外装質感……8点
・乗り心地……8点
・コストパフォーマンス……10点

■110kgほどの重量増を乗り味の高級感につなげているのはさすが:橋本洋平

キャラに合わせてノーマルのノートオーラとは別物のスポーティーなメーターパネルを採用してスポーツ心をくすぐる

 ノートでオーラでNISMOで4駆という、つまりは全部盛りが選べるようになったことが今回のマイナーチェンジのトピック。

 ノートにもオーラにも4駆があったのに、NISMOだけは速さがなくなるからダメとGOサインが出なかった4駆。けれども今回は基準車から50%もリアトルクをアップ! それを速さだけでなくハンドリングにも活かしたところがなかなかの好感触。

 アクセルを入れていくとテールが巻き込むように動き、ニュートラルにスラロームを駆け抜けられるところが面白い。旋回Gはかなり高くなるから、レカロシートは必須か!?

 これで雪上でも行こうものなら、フルカウンターでコーナーを駆け抜けられるに違いない!? それほどに期待できちゃう動きを展開してくれるのだ。

 電動車ならではの応答のよさもあるし、コントロールする楽しみはかなりありそう。

 ウイークポイントは2駆よりも110kgほど重たくなってしまうこと。俊敏さは劣ることになる。けれどもその重さがしっとりとした動きにも繋がっており、小さな高級車って感じの乗り心地を生み出していることも確か。

 もうチャキチャキだけのNISMOじゃない。あとは回生量コントロールのパドルと、音の演出が欲しかった。全部盛りには必須だ。

●POINT採点チェック
・ハンドリング……9点
・加速性能……9点
・静粛性……9点
・内外装質感……7点
・乗り心地……8点
・コストパフォーマンス……6点

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