高級車はデカい、高級車はセダン――というイメージは今となっては昔のこと。過去にもちっちゃい高級車はあったにせよ、イマドキのクルマはさらにその流れが強くなっている。狭いニッポンでは“ちっちゃい”が正義かも!?

文/FK、写真/トヨタ、日産、ホンダ、マツダ

■高級コンパクトハッチのパイオニア=マツダ・ベリーサは数十万円で買えちゃう!

“verita”(イタリア語で真実の意)と“satisfaction“(英語で満足の意)をあわせた造語を車名としたベリーサは、日本カー・オブ・ザ・イヤー2004-2005 では特別賞のBest Valueも受賞。シックで上質な仕上がりとその見た目から“小さなカイエン”ともいわれた

 ちっちゃな高級車として最初に紹介したい1台は、玄人好みの内容でありながら昔も今もなぜか人気がいまひとつのベリーサだ。

 上質なデザインと丹念な作り込みによる高い質感を特長とするベリーサは、2004年6月にデビュー。

 ベース車両は2代目デミオだが、それとはあきらかに一線を画すシックで上質な個性を追求した内外装デザインによって、従来のコンパクトカーの概念を打ち破る高級路線を色濃く打ち出したマツダの意欲作でもあった。

 特に、ディテールの作り込みにはこだわりを感じさせる部分が多く、質感の高いブラックメタリック調のインパネ、室内の間接照明に採用したブルーLEDによる夜間空間の雰囲気づくり、乗降時の足元を照らすドアミラー内蔵グラウンドイルミネーションランプ、メーカーオプションに設定されたレザーパッケージなどの贅沢装備は高級コンパクトカーを謳うベリーサの大きな魅力でもあった。

 2006年8月には上級グレードにブラック&ブラウン2トーン色の本革を標準装備とするなどのマイナーチェンジを実施。

 その後も毎年のように行われた一部改良によってプレミアム感を高めていったベリーサだったが、デミオとの統合によって2015年11月に生産終了となった。

 そんなベリーサは現在の中古車市場で高くて100万円前後、安い個体であれば30万円前後の価格設定で推移しており、平均価格も40万円前後とリーズナブル。

 また、フルモデルチェンジを行うことなく車生を終えたこともあって、見た目にも古さを感じさせないメリットがある。それゆえにセカンドカーとしてはもとより、ファーストカーとして活用するのもアリな選択かもしれない。

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■ちっちゃくてプレミアム感もバッチリのCT200hで“いつかはレクサス”を叶えよ

 一番安いモデルの新車車両本体価格が450万円以上という一般庶民にとっては高嶺の花のレクサス。

 しかし、そのプレミアム感を一度は体験したいという人もいるだろう。そんな人にお薦めしたいのが、2011年1月に発売された5ドアハッチバックのCT200hだ。

 FFレイアウトのメリットを活かすべく前席はゆとりの足元スペースを確保しながら、後席は足元をフラット化することでゆとりのあるレッグスペースとヘッドクリアランスを確保したCT200h。

 アンダーフロア、フロントスプリングサポート周辺、リアサスペンションタワー周辺、ドア開口部を中心にボディの高剛性化を図ることで小さなたわみや微振動を吸収し、俊敏な操舵性と上質な乗り心地も両立していることも特筆点といえる。

 ハイブリッド専用の1.8リッターアトキンソンサイクルエンジンも低回転から高トルクを発揮する高出力モーター、発電用モーター、動力分割機構、リダクション機構を組み込み、クラストップレベルの燃費性能を実現。

 それでいて、エンジンブレーキやエンジン回転数を走行状況に合わせて切り替えられるパドルシフトや“NORMAL”・“ECO”・“SPORT”の3つのモードが選択できるドライブモードセレクトスイッチで走る楽しみも味わえる。

 加えて、フロントグリル、ロアグリル、シート表皮などを専用意匠とし、サスペンションの専用チューニングや高性能タイヤなどを採用したスポーツバージョンのF SPORTも設定されており、こだわり派も満足のラインナップを誇る。

 2022年10月に生産が終了したCT200hだが、現在の中古車市場で150万円前後の平均価格で推移。安い個体であれば100万円以下でも購入できるため、“絶対にレクサスに乗りたい”という人にとっては狙い目の1台であることは間違いない。

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■MAZDA3は高級感あるコンパクトセダンの代表格

2019年にタイランド・カー・オブ・ザ・イヤーや中国カー・オブ・ザ・イヤーを獲得し、2020年にもワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、世界的にも評価が高いMAZDA3

 昨今は絶滅の危惧に瀕している国産セダンのなかで、“ちっちゃいのに高級感のあるセダン”として存在感を発揮しているのがMAZDA3だ。

 ファストバックとセダンの2種類のボディタイプが設定されていて、どちらかといえばファストバックのイメージが強いMAZDA3。しかし、コンパクトにまとめられたセダンも評価がすこぶる高い。

 その最大の特徴は、独自の燃焼制御技術であるSPCCI(火花点火制御圧縮着火)によってガソリンエンジンにおける圧縮着火を世界で初めて実用化した新世代ガソリンエンジンSKYACTIV-Xの採用だろう。

 ほぼ全域で希薄燃焼を実現し、低回転から高回転まで少ない燃料で高効率な燃焼を可能にした類まれなる技術が体感できるだけでも十分に乗る価値があるMAZDA3。

 2020年5月には1.5リッター直4直噴ガソリンエンジンのSKYACTIV-G 1.5をラインナップに追加。これにより、2.0リッター直4直噴ガソリンエンジンのSKYACTIV-G 2.0、1.8リッター直4直噴クリーンディーゼルターボエンジンのSKYACTIV-D 1.8、2.0リッター新世代ガソリンエンジンのSKYACTIV-X 2.0という4種類のエンジンが選べるようになる。

 また、2022年8月の一部商品改良ではSKYACTIV-G 2.0に代わってマイルドハイブリッドを組み合わせたe-SKYACTIV G 2.0が新たに設定されたが、2023年4月に行われた商品改良でエンジンの統廃合が行われ、セダンではSKYACTIV-G 1.5とSKYACTIV-X 2.0が廃止に。

 エンジンのラインナップは縮小したものの、2023年9月に特別仕様車のRetro Sports Editionを追加するなど商品力の魅力はまだまだ健在のMAZDA3。最廉価グレードで259万3800円と比較的リーズナブルな車両本体価格も魅力のひとつといえる。

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■ホンダのフィットLUXEは高級車を名乗るに相応しいインテリアに注目を!

 2020年2月の発売から1カ月の段階で月間販売計画の3倍以上となる3万1000台の累計受注台数を獲得する好調な立ち上がりを見せた現行のフィット。

 その人気の要因となったのは極細のAピラーに水平基調のインパネやシンプルで見やすいバイザーレスメーターがもたらす心地良い視界、ホンダ初採用のボディスタビライジングシートによる快適な座り心地、日常シーンの大半をモーターで走行して低燃費かつ滑らかな走りを実現したe:HEVの優れた乗り心地など枚挙に暇がない。

 また、“BASIC”、“HOME”、“NESS”、 “CROSSTAR”、“LUXE”という5種類のタイプが用意されたことも現行フィットの特徴のひとつになるが、そのなかでも洗練と上質を兼ね備えたスタイリッシュなLUXEはちっちゃい高級車として人気も上々だ。

 そんなLUXEで注目に値するのはインテリアの充実装備。ヘッドレスト・フロントシートの座面・背もたれの一部に本革を使用したシートをはじめ、ステアリングやセレクトレバーも本革巻の贅沢仕様となっている。

 加えて、運転席&助手席のシートヒーターとステアリングヒーター、運転席マスタードアロックスイッチ付パワードアロック、ワイヤレス充電器もLUXEだけが標準装備となる。

 LUXEの注目装備はインテリアだけに留まらず、ドアロックに連動してミラーを自動で格納するオートリトラミラー、LUXE専用デザインとなる16インチアルミホイール、プラチナ調クロームメッキが施されたLUXE専用エクステリアパーツ、LEDフォグライトなどで高級感をしっかりと演出……。

 これだけの豪華装備で、222万4200円(ガソリンエンジン搭載の2WD車)というリーズナブルな車両本体価格はコスパ高すぎだと思わない? 

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■イマドキのプレミアムコンパクトカーといえば日産のノート オーラで決まり!

ノート オーラは精緻な造形のフロントグリル、伸びやかな曲線を描くルーフライン、リアフェンダーにボリュームをもたせたワイドボディなどによって、コンパクトカーらしからぬ力強い存在感を発揮

 2022年度にベースモデルであるノートと合わせて11万3390台を販売し、いまや日産の顔とも言うべき存在となったノート オーラは、2021年6月にまったく新しいプレミアムコンパクトカーとして登場。

 第2世代のe-POWERによるスムーズな加速や滑らかな減速制御、優れた静粛性などで好評を博しているノート オーラだが、ドライブ中のプライベート空間の快適性にも徹底的にこだわり、ルーフ、ドア、フロントドアのガラスなどに遮音対策を施して高い静粛性を確保するなど、そのつくりは完全に高級車! 

 また、上質なくつろぎを楽しめるように運転席と助手席のヘッドレストにBOSEスピーカーを搭載した国内初のBOSEパーソナルプラスサウンドシステム(メーカーオプション)は、BOSE独自のアドバンスド シグナル プロセッシング テクノロジーがもたらす広がりのあるプレミアムな音響を実現。

 加えて、ヘッドレストスピーカー、ワイドレンジドアスピーカー、ツイーターの8スピーカーと最先端DSP内蔵アンプのシステム構成によるリアルなサウンドやクリアで力強い低音など、各音域での優れた再現性も特筆すべき点で、これまでになかったリッチなサウンドが車内で体験できるのだ。

 2024年6月にはフロントデザインを一新するとともに、機能や使い勝手の向上を図るマイナーチェンジを実施。

 インテリアも大型狩猟犬をモチーフとした内装色(ワイマラナー)を新たに設定するとともに、オーラ(AURA)のアルファベット“A”をモチーフにしたモノグラム柄のジャガード織物と合皮のコンビネーションにブルーグリーンのステッチを施したシート地を採用するなど、さらなる高級感が演出されている。

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