運転免許証の表面にある帯の色には、「グリーン」「ブルー」「ゴールド」の3種類があり、有効期間のだいたいの目安などを確認できますよね。
でも、実は、免許証の区分は、これら色だけでなく、過去の交通違反やケガのある事故の有無などにより、全部で5つの区分に分かれています。しかも、それら区分により、免許証の有効期間や更新時に受ける講習などに違いがあり、また、色によってはいくつかの特典を受けられる場合もあります。
さらに、警察庁では、マイナンバーカードと運転免許証を一体化する「マイナ免許証」を2025年3月に導入予定です。もし、この制度が実施されると、免許証の区分や更新時の手続きなどに、なんらかの変更点はあるのでしょうか? 
ここでは、そんな意外に知らない運転免許証の色にまつわるルールなどについて調べてみました。

  文/平塚直樹 Webikeプラス  

免許証の5つの区分とは?

 まず、運転免許証にある帯の色には、それぞれ以下のような意味があります。

【グリーン免許】

・免許の区分:新規取得者
・有効期間:3年
・免許を受けてからの継続した期間:初めて
・違反や事故の有無:─

 

 

【ブルー免許・その1】

・免許の区分:初回更新者
・有効期間:3年
・免許を受けてからの継続した期間:5年未満
・違反や事故の有無:違反運転者講習の区分に該当しない

【ブルー免許・その2】

・免許の区分:違反運転者
・有効期間:3年
・免許を受けてからの継続した期間:─
・違反や事故の有無:違反が複数回またはケガのある事故

【ブルー免許 その3】

・免許の区分:一般運転者
・有効期間:5年
・免許を受けてからの継続した期間:5年以上
・違反や事故の有無:点数が3点以下の軽微な違反が1回のみ

 

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【ゴールド免許】

・免許の区分:優良運転者
・有効期間:5年
・免許を受けてからの継続した期間:5年以上
・違反や事故の有無:無事故・無違反

 

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 ここでいう免許証の「有効期間」とは、免許を取得した日から3回目もしくは5回目の誕生日を迎えるまでの年数のことです。有効期間が3年の場合は、免許を取得した日から3回目の誕生日、有効期間が5年の場合は5回目の誕生日を意味します。

 ただし、実際の有効期間は誕生日の1か月後までとなります。たとえば、有効期間が3年の運転免許を持つ人で、6月20日が誕生日の場合、免許を取得した日や前回の更新日から3回目の誕生日を迎える年の7月20日までが有効期間となります。

 また、「免許を受けてからの継続した期間」とは、免許を取得した通算の経過年数ではないので注意しましょう。たとえば、免許の有効期限が過ぎ、期限切れの手続きを行って免許を再取得した人は、再取得後の経過年数だけが対象となります。

 さらに、免許証の帯の色と有効期限については、誕生日の40日前の日からさかのぼって5年間の交通違反やケガのある事故などの全ての点数が反映されます。

 そのため、たとえば、免許停止処分を終了した人が、1年以上無事故・無違反の場合は「前歴なし」とみなすなど、行政処分における一定の条件を満たせば、その後の点数を累積しない場合とは異なります。この点も注意が必要だといえます。

 

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グリーン免許が有効期間前にブルーになるケースもある

 これら5つの区分のうち、グリーンの帯が付いた免許証は、初めて免許を取得した人が持つもので、3年間はこの免許証を使うことになります。

 ただし、有効期間を迎える前に、ブルーの帯に変わる場合もあります。たとえば、最初に4輪の普通自動車免許を取得し、1年経過しないうちにバイク免許を取得した場合。

 また、普通自動車免許を持っていない人でも、たとえば、初めての運転免許として原付免許を取得後、最初の更新手続きを迎える前に、普通二輪免許や大型二輪免許などの上位免許を取得した場合。

 これらのケースでは、初めて免許を取得してから3年を経過していなくても、免許証の帯はブルーに変わることになっています。

 

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違反や事故歴で有効期間が変わるブルー免許

 一方、ブルーの帯がある免許証は、実は3つの区分に分かれていて、それぞれ有効期間や更新時に受ける講習の内容などが変わります。

上記の【ブルー免許・その1】にある「初回更新者」 とは、グリーン免許の新規取得者が、次に更新する際に違反や事故が違反運転者講習の区分に該当しない場合に与えられる区分のことです。

 ちなみに、違反運転者講習とは、免許証の有効期間満了日直前の誕生日の41日前から起算し、過去5年間に違反歴(3点以下の軽微な違反が1回のみを除く)、事故歴などがある人が受ける講習(70歳未満の人が対象)のことです。つまり、グリーン免許の取得後3年間で無事故・無違反か、3点以下の軽微な違反1回のみの人が初回更新者となります。

また、【ブルー免許・その2】にある「違反運転者」 は、違反が複数回あるか、またはケガのある事故を起こしてしまった人が対象。前述の通り、グリーン免許の新規取得者でも、免許取得後の3年間で、違反運転者講習の区分に入る場合は、違反運転者に区分されます。

【ブルー免許 その3】にある「一般運転者」とは、継続して免許を受けている期間が5年以上、かつ3点以下の軽微な違反が1回のみの人が対象。免許証の帯は、初回更新者や違反運転者と同じブルーですが、有効期間は通常5年となります。

 

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更新時の講習時間などに優遇もあるゴールド免許

 一方、優良運転者を意味するゴールド免許は、継続して免許を受けている期間が5年以上、かつ違反やケガのある事故を起こしていない人が対象となります。

 ブルー免許の一般運転者と有効期間は同じですが、後述する免許更新時の講習について、時間が短く手数料も安く、運転免許試験場だけでなく警察署などでも更新手続きができるといったメリットがあります。

 また、たとえば、ゴールド免許だと、自動車保険の保険料が割り引きされるなど、ほかにもさまざまな特典があります。

 なお、ブルー免許の一般運転者とゴールド免許について、5年という有効期間は70歳未満が対象です。70歳では有効期間4年、71歳以上では有効期間3年となります。近年、自動車のアクセル踏み間違いなどによる事故が社会問題となっている高齢者の場合は、たとえ無事故・無違反でも有効期間は短く設定されているのです。

 

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更新時の講習も免許の区分で異なる

 これら免許の区分では、免許の更新時に受ける講習についても、時間や内容、手数料が変わってきます。主な違いは以下の通りです(2024年9月現在)。

【優良運転者講習】(ゴールド免許)

・講習時間:30分
・更新・講習手数料:3000円

【一般運転者講習】(ブルー免許)

・講習時間:1時間
・更新・講習手数料:3300円

【違反運転者講習】(ブルー免許)

・講習時間:2時間
・更新・講習手数料:3850円

【初回更新者講習】(ブルー免許)

・講習時間:2時間
・更新・講習手数料:3850円

 これらのうち、優良運転者講習は運転免許試験場だけでなく、指定された警察署でも受講できるほか、たとえば、東京都に居住している場合は、運転免許センターでも受講可能です。

 また、一般運転者講習も、東京都の場合などは、運転免許試験場か運転免許センターで受講できます(講習を受ける場所は各都道府県の公安委員会によって違うため要確認)。

 

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マイナ免許証の導入で講習費用なども変わる?

 ちなみに、警察庁は、2025年3月24日から、運転免許証とマイナンバーカードを一体化した「マイナ免許証」の運用を開始する方針です。

 マイナ免許証とは、運転免許証のICチップに入っている免許固有の情報を、マイナンバーカードのICチップへ記録するもの。運転中は、それを携帯していれば、運転免許証を所持していることと同じ扱いになります。

 なお、運転免許証とマイナンバーカードを一体化するか否かは任意。「従来の免許証だけ」「マイナ免許証だけ」「従来の免許証とマイナ免許証の2枚持ち」といった3つの方法を選択可能です。

 

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 このマイナ免許証の導入により、免許証の区分などに大きな変更はないでしょう。ただし、警察庁では、この制度導入を契機に、免許更新時の手数料などを見直すことも公表しています。

 免許の区分に応じた更新を行う際の手数料などを基本的に値上げするほか、前述の「従来の免許証だけ」「マイナ免許証だけ」「従来の免許証とマイナ免許証の2枚持ち」といった各ケースの手数料を変える方針を明かにしているのです。

 より具体的には、例えば、免許証を更新をする場合、免許証交付の手数料は以下の金額になる方針です。

・マイナ免許証のみ:2100円(-400円)
・従来の免許証のみ:2850円(+350円)
・両方持つ場合:2950円(+450円)

 従来、免許証を更新をする場合、免許証交付の手数料は2500円。そのため、マイナ免許証のみの場合は値下げとなりますが、従来の免許証のみや両方持つ場合は値上げとなります。

オンラインの講習も全国で開始される予定

 また、更新時の講習については、マイナ免許証を持っている場合、同じく警察庁が運用開始を進めている「オンライン更新時講習」も受けられるようになるようです。

 このオンライン更新時講習とは、2022年(令和4年)2月から、北海道、千葉県、京都府、山口県で試験的に実施されているモデル事業のこと。優良運転者や一般運転者でマイナンバーカードを保有する人を対象に、免許更新時の講習をスマートフォンやパソコンで受講できる取り組みを行っています。

 警察庁では、このオンライン更新時講習の運用を、全国に拡大することも進めていて、もし実現すれば、マイナ免許証を取得することで、このサービスを受けることも可能になります。

 

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 ただし、もしオンライン更新時講習を受けたとしても、現状では、新しい運転免許証の交付を受けるには、従来と同じく更新期間内に運転試験場などに行く必要があります。あくまで、この制度は、免許更新時の講習を好きな時間や場所で受講できるということですから、念のため。

 ちなみに、更新時に受ける講習費用についても、マイナ免許証の導入に応じて変更されるようです。

 たとえば、優良運転者講習は、従来の免許センターや警察署などで受ける対面講習は500円と据え置きですが、オンライン更新時講習の場合は200円になるようです。

 また、一般運転者講習の場合、従来の対面講習は800円とこちらも据え置きで、オンライン更新時講習は同じく200円の手数料。

 これらに、上記の「マイナ免許証だけ」「従来の免許証とマイナ免許証の2枚持ち」それぞれの場合に応じた免許証の交付手数料を加えた金額が、更新時の費用となります。

 つまり、たとえば、優良運転者が更新を行う場合、マイナ免許証のみでオンライン更新講習を受ければ、費用は最安の2300円。一方、従来の免許証とマイナ保険証の2枚持ちで、対面講習を受ける場合では3450円となり、現在の更新費用3000円よりも450円高くなることになります。

 

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 ほかにも、マイナ免許証については、従来の免許証にある色の帯が表示されませんから、ぱっと見で免許の区分が分かりづらくなることが考えられます。そのため、例えば、自分の免許情報をすぐに確認できるようなアプリをリリースするなど、導入に際しては、利用者の利便性も十分に考慮した運用を行って欲しいものです。

 ちなみに、警察庁では、2024年9月13日~2024年10月12日の30日間、マイナ免許証などの改正内容に関して一般からのパブリックコメントを募集中。それを踏まえ、必要な場合は政令などを改正し、前述の通り、2025年3月24日に施行することを目指しているといいます。

 *写真はすべてイメージです

 

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https://news.webike.net/bikenews/405733/

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