メルセデスベンツ、BMW、そしてアウディ。古くからこの3社をまとめてドイツ御三家と呼ぶのだが、昨今の自動車業界の情勢の変化によって、ドイツ御三家が世界の自動車産業をリードするという時代の終わりが近づいている!?!? BEVの失速を受け、電気自動車への先鞭をつけてきた三社は5年後どちらに舵を切るのだろうか!!

※本稿は2024年8月のものです
文:桃田健史/写真:メルセデスベンツ、BMW、アウディ ほか
初出:『ベストカー』2024年9月26日号

■2030年のジャーマン3

メルセデスベンツもEQシリーズなどBEVを展開するが、勢いは減速気味

 ジャーマン3が世界の自動車産業をリードする……そんな時代は終わりを告げようとしているのかも?

 キモは、データプラットフォーム活用のバリューチェーンの大変革にある。そうした動きはグローバルですでに始まっており、2030年頃までには勝負がついているかもしれない。

 ジャーマン3は、旧来の自動車産業の枠組みを超越した形で、エネルギー産業やIT産業と多様かつフレキシブルな連携を模索しているところだが、その方向性がまだはっきりと見えていない。こうした状況は日系、米系、中国系、韓国系メーカーも同じだ。

 欧州でEVシフトが減速しているから、ジャーマン3の先行き不透明という見方もあるだろうが、話はそんなに単純ではない。

 そもそも欧州EVシフトはVWが2010年代半ばに打ち出した中期経営計画が引き金。また、メルセデスベンツがCASE(コネクテッド・自動運転・シェアリングなどの新サービス・電動化)というマーケティング戦略を世に広めた。これをBMWが横目で見てきた。

 それから約10年で、自動車産業の変革はもっと根深く、さらに社会全体を巻き込む抜本的な動きへと様変わりしている状況だ。

 かのジャーマン3をもってしても、先読みできない時代。それが2030年代だ。

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■「もしトラ」は微妙になったけど……米国メーカーのビッグ3はどうなる!?

トランプ政権が再度樹立しても、利益のキーになるのはSUVと見られる

 やはり最大の要因は「もしトラ」だ。2017年、民主党オバマ政権から共和党トランプ政権へと移った時、ビッグ3は燃費規制や自動運転関連などで事業計画の方向転換を迫られた。

 ビッグ3はグローバル企業だが、利益率の高いSUV主体の米市場の動向は企業業績に直結する。

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